2005年愛知万博の観客輸送で活躍した後、利用者の激減で経営危機に陥っているリニモ(東部丘陵線)にたいし愛知県は税金投入で支援します。
神田真秋知事は愛知県議会に、リニモを運営する第3セクター愛知高速交通株式会社(社長・神田知事)への県の貸付金39億9千万円を出資金に切り換える方法で増資をする補正予算案を出します。約40億円の債権放棄です。
リニモは総事業費約1000億円。当初計画では1日当たり3万1千人の利用を見込み、開業後、15年で単年度黒字化、26年後には借金を完済するはずでした。
県など関係議会で日本共産党議員団が現実離れした過大な利用予測を指摘し、計画の見直しを求めましたが、県は財界や与党の後押しでリニモ建設を強行しました。
万博後の利用は、やはり激減。営業赤字は04年度の約8億円から07年度には約68億円にふくれ、08年度決算では資本金額の71億円を超える見通しです。
リニモ会社は約278億円の長期借入をかかえ、09年度から毎年10億円前後の返済がはじまります。しかし、返済資金はありません。
県は、08年度からリニモ利用が上向きになり、17年度には2万5千人と見込みます。リニモの走る長久手町の原田秀俊・日本共産党町議は「08年度上半期の利用実績は1万7700人です。2万5千人という県の数字はとても達成できるとは思えない。根拠を示すべきだ」と県の数字を疑問視しています。
今後、愛・地球博記念公園の全面利用などのプラス要素もありますが、人口や学生数の減少傾向のもとで、リニモの利用増につながる沿線開発は不透明という、きびしい状況にあります。
県は結局、会社に長期借入金の返済力は期待できないとして、出資金を長期借入金相当額まで増やし、株主負担で肩代わりするほかないと見ているようです。
第3セクターは、民間企業の資金と経営方式の導入で効率的経営が売りものでした。
しかし、結果は逆。県の経営見通しが完全に狂ったわけです。ずさんな計画を容認・推進した神田知事と自民・民主・公明のオール与党の政治責任が問われています。
県は、株主になっている関係自治体や民間企業の増資を検討・調整しているといいます。リニモをまともな公共交通機関として活用するためにも、リニモ会社や関係自治体・企業の動向を監視する必要があります。
リニモ会社への出資
出資者 | 出資比率(%) |
愛知県 | 30.80 |
名鉄 | 15.00 |
長久手町 | 9.70 |
名古屋市 | 9.20 |
日本政策投資銀行 | 7.40 |
豊田市 | 1.60 |
日進市 | 0.30 |
瀬戸市 | 0.20 |
民間25社 | 25.80 |