「教育格差・告発ホットライン」に寄せられた電話、メールから
■若年労働者の低賃金と使い捨てがまん延する中で、夜間高校生の生活状態は深刻です。定時制高校の給食調理員は言います。
「定時制高校で出す夕食がその日初めての食事という生徒がいます。お代わりを勧めても授業料減免を受けているということで断る子もいます」
■両親とも非正規労働者という家庭が増えています。
「授業料の減免を受けているが、授業料以外の学校徴収金、部活動の費用や教材費で年間約20万円かかる。生徒本人がアルバイトで稼いでいる。父は派遣社員、母はパート」(高校教員)
■バイト料を生活費に充てるケースも広がっています。
「授業料を払えない生徒のことで苦慮している。本人もバイトしている。最近はバイト料が生活費に回り、授業料に回ってこない」(高校教員)
■電話相談には大学関係者からの訴えもありました。
「授業料が払えないための除籍が増えた。本人が授業料未納を知らずに、卒業試験まで受けたが、卒業できないことが分かった例がある」
■進学校とそうでないと見られている学校との格差が広がっているようです。
「進学校ではほぼ全員が電子辞書を持っている。ところが、うちの学校では40人のクラスで2人しかもっていない」(高校教員)
「うちの普通科高校は経済的に困難な子が多く、学力も低い。大学進学希望は5%くらい。就職できるのは3割くらい。多くの子がフリーターにならざるを得ない」(高校教員)
増やせ教育予算 広がる打開の取り組み
貧困打開・教育保障の運動が強められています。県内の私立高校では、教職員が資金を出し合って設立した私学奨学資金財団が卒業まで無利子で月1万円の奨学金を貸与しています。同財団は「もっとたくさんの人に貸与したい」と一億円募金運動に取り組んでいます。
県立高校の教職員でつくる愛知県高等学校教職員組合は年間5万円の給付制奨学金を創設しました。原資は教職員や一般市民からの寄付です。
同組合の熊沢知加夫書記次長は「07年度から対象人数を50人から70人に増やしました。今年度は募集枠を超えるぎりぎりのところまで増えています。教育予算が削られています。予算の底上げとセーフティネットの充実が課題。進学保障を実現することと将来的には教育費の無償化をめざします」と教育予算の拡充を求める運動方向を強調しました。