愛知民報

【09.02.01】名古屋市敬老パス 有料化から4年 発行率67%に下がる

やはりつらい高齢者

 かつては名古屋市民が65歳になると、市から無料でもらえた敬老パス(市営バス・地下鉄などの無料乗車証)が、もらう際に5千円などの負担金をとられるようになってから4年経ちました。

 高齢者が増えているのに、敬老パスの発行率は毎年、減り続けています。無料交付だった03年度末は、敬老手帳所持者38万4773人に対し敬老パス発行は34万9326人(発行率90・8%)でした。それが有料交付に変った07年度末は、手帳所持者44万446人に対し敬老パス発行は29万4817人に減り、発行率66・9%に落ち込みました。

 敬老パスは、日本共産党と当時の社会党を与党とする革新市政が発足した1973年に「多年にわたり社会の進展に寄与してきた高齢者を敬愛」する制度として、65歳以上に市バス・地下鉄の無料乗車パスを発行したことに始まります。全国に誇る「名古屋の福祉」の一つでした。

 名古屋市政が日本共産党を除く自民・民主・公明の「オール与党体制」に変わると福祉後退が始まり、04年3月に、松原武久市長が財政難を理由に有料制を提案。自民、民主、公明などの与党の賛成で千円と5千円の負担金が導入されました。

 配布方法も民生委員による各戸配達から、郵便局に取りに行く方法に変わりました。高齢者がもらいにくくされてきました。

 有料制導入当時、市議会で日本共産党の山口清明市議は「公共交通機関の利用抑制をまねく」と批判しましたが、松原市長は「利用が減るとは思わない」と答弁しました。それから4年。利用抑制は現実になっています。

 今年度はパスをもらわなかったという南区の男性(76)は「後期高齢者医療保険料など負担が増えた。少ない年金から5千円の敬老パス代は痛い」と話します。

 今、山口市議は「お金がなく街にも出られない高齢者が増えています。敬老パスの発行率が下がれば『高齢者の社会参加を促す』という敬老パスの政策目的が果たせません。公共交通の利用促進のためにも無料化復活が必要です」といいます。

名古屋市政に“福祉の心”を 革新市政の会 太田よしろうさん

 革新名古屋市政時代につくられた『日本一の福祉』がその後どんどん切り捨てられ、残っているのは敬老パスだけになりました。

 有料化で高齢者の皆さんに不自由な思いをさせています。市民のみなさんと力を合わせ敬老パスを無料に戻すなど市政に福祉の心を取り戻します。