【09.01.25】愛知に再び希望を　他県出身の派遣労働者立ち上がる　

　金融危機の影響で「全国最強の愛知」が「全国最悪の愛知」に暗転しました。「元気な愛知」に希望を託し全国から労働者が集まりました。ところが「非正規切り」で職と住居を同時に失うかつてない事態に。解雇者らは日本共産党や労働組合と出会い、雇用確保に立ち上がっています。

野宿生活

　今月１８日に告示された岩倉市長選挙。日本共産党推薦の浅田光治氏の出発式で、「派遣切り」された２人の若者が紹介されました。

　秋田県と沖縄県から愛知に来て派遣労働者になりました。トヨタ系の大手自動車部品メーカー「東海理化」（本社工場・愛知県大口町）で雇い止めされ、工場に近い岩倉市内の公園で野宿中、共産党支持者に出会い、同党市議を紹介されました。

　市議や浅田氏が市長にかけあい、一時宿舎として市営住宅の空き家に入ることができました。年金者組合岩倉支部の穴沢仂（つとむ）支部長は行政の立ち遅れを指摘します。

　「市営住宅に入れましたが屋根があるだけ。フトンも食器も何もない。風呂があっても使えない。年金者組合の人たちがボランティアで支援しています」

　２人の若者は職探しのかたわら、「雇用安定」を政策に掲げる浅田氏の選挙運動を手伝っています。

　岡崎市にあるトヨタ系の大手部品メーカー「フタバ産業」でも、解雇されかかった沖縄県出身の派遣労働者らが日本共産党に相談にかけ込み、労働組合をつくり雇用維持と待遇改善を求めています。

Ｃ切符

　名古屋市の一時保護所への入所や「Ｃ切符」と呼ばれる帰郷交通費を支給される解雇者が急増しています。

　日本共産党沖縄県議団の嘉陽宗儀団長らは８日、愛知を訪れ、同党愛知県委員会から沖縄県出身者の解雇状況を聞きました。

　職を求めて沖縄県外に出た６７４４人のうち、４９８３人が愛知に来ています。いま、「非正規切り」の直撃を受けています。

　沖縄県議団は、同県にたいし県外で解雇された県出身者の実態把握、宿泊所の確保、帰郷航空運賃の補助など、県独自の緊急支援策を求めました。

　これをうけ、同県は知事が愛知県とトヨタ自動車に沖縄出身者の雇用確保を要請。名古屋市にある沖縄県事務所の緊急相談窓口の相談員を増員することを発表しました。

　全国ネットの日本共産党ならでは取り組みといえます。

トヨタの思惑

　愛知県の雇用対策担当者は暗い表情で言います。

　「好況の時は、全国から労働者を集めるのが仕事でした。いまは逆。全国に失業者を帰すことが仕事とは」

　好況時には全国から労働者をかき集め、不況時には放り出す、在庫を持たないトヨタ生産方式「ジャスト・イン・タイム」の人材版です。

　トヨタ社長は「トヨタの強みをいかんなく発揮できる絶好のチャンス。『地球にいちばんの企業』につながる」と社員に檄を飛ばしています。

　世界不況下での高収益構造の構築と市場制覇のチャンスとの思惑が透けて見えます。

社会的責任

　昨年暮れ、トヨタ自動車の専務取締役ら役員が東京・代々木の日本共産党本部を訪れ、志位委員長ら党幹部と初会談しました。会談後、トヨタ幹部は「大変有意義だった」と語ったとか。

　派遣問題は労働者使い捨ての縮図だと、その規制強化を主張する日本共産党の志位和夫委員長。

　「大企業が衰退していくことを望むわけではありません。大企業が社会的責任を果たしながら健全に発展していくことが当然必要だし、それを国民生活と両立させていくことを求めています」

　愛知の雇用を守るたたかいは、国民本位の日本経済再建に大きくつながっています。

Ｃ切符とは

　クレジットで購入する乗車券。「Ｃ制」の印が押され、現金で払い戻しされない。生活保護の移送費で支給される。

名古屋市の住居喪失者状況（地域別）

★一時保護所新規入所者数と
Ｃ切符支給者　帰省件数は
2008年4月～12月の実績
★愛知県は名古屋市を除く。
東海地方は愛知県を除く。
（名古屋市資料より）