死亡事件を受け
アパートも借りにくい低賃金や長時間変則勤務の若年労働者の住居代わりにも使われている個室店で消防法違反が起きています。
大阪市内の個室ビデオ店火災で15人が死亡した事件をうけ10月、愛知県内の消防本部は類似施設の緊急査察を実施しました。
その結果、査察実施店579店中442店(76.3%)が消防法に違反していました。個室ビデオ店は115店中103店(89.6%)、インターネットカフェ・まんが喫茶は208店中171店(82.2%)が違反していました。
違反内容は消防訓練の未実施292店(66.1%)、消防設備の点検未実施235店(53.2%)。
設置の義務のある消防用設備のうち、消火栓は126店のうち60店(47.6%)が未設置。自動火災報知機は364店中92店(25.3%)が未設置でした。
名古屋市消防局が昨年度実施した査察では、22の個室ビデオ店すべてが違反、ネットカフェ・まんが喫茶は33店中30店で違反がありました。
今年10月から施行された改正消防法では個室型店舗はカラオケなどの音量を火災報知機の音量より小さくする装置の設置を義務づけました。
しかし既存店舗については2010年4月まで設置が猶予されています。
ビデオ店など個室型店舗は開店、閉店が頻繁で、消防署が実態をつかみきれず、消防設備の点検がとどかない店舗が多数あります。
足りない予防職員 共産党市議が指摘 名古屋市消防局
名古屋市議会で日本共産党の田口一登議員は、同市消防局が10月に実施した個室ビデオ店の査察状況を質問しました。
市は、査察できたのは小規模雑居ビル402中324(80.6%)、単独の個室ビデオ店35店中22店(62.9%)、ネットカフェ60店中31店(51.7%)にとどまったと報告しました。
田口議員は「本来100%実施すべきもの。実施できない要因に消防職員の不足がある」と指摘しました。
名古屋市の消防職員は07年4月1日現在、基準の2455人に対し2263人で92.2%。査察をおこなう予防職員は基準の280人に対し250人。30人不足しています。
田口議員は「査察強化のため充足率100%をめざすべきだ」と求め、市の担当者は「必要な人員確保に努力する」と答えました。