愛知民報

【08.08.10】雇用促進住宅 廃止計画撤回を 日本共産党 政府に要求 

県内78住宅 9339戸

 独立行政法人雇用・能力開発機構が運営し、県内に78住宅9339戸ある雇用促進住宅を廃止する動きが強まっています。政府は2011年度までに廃止する方針で、すでに県内で15住宅1818戸の廃止を決定しています。一方的な住宅追い出しに住民の間に不安と怒りが広がっています。
 

変わりない

 廃止が決定し入居募集を停止している汐止住宅(名古屋市港区)に住む女性(57)は「空家が増えて住民が少なくなり集団清掃などが出来なくなりました。市営住宅は競争率が高いし、民間住宅は家賃が高くて代わりの自宅が見つかりません」。

 木場住宅(同)の男性(45)は「家賃が手頃で職場にも近いので7年前から住んでいる。年内に機構が住民説明会を開くと聞いているが、来年5月に契約が切れる。更新しないと言われたら困る」といいます。

自治体買い取りを

 東海市には富木島住宅など4つの雇用促進住宅があります。5月、富木島住宅の一部住民には機構から退去期限は明示されていませんが退去を促す文書が届いています。

 住民から相談を受けた日本共産党の辻井タカ子市議は東海市にたいし「機構は自治体への譲渡を検討している。東海市は市営住宅がないので買い取って市営住宅にしたらどうか」と求めましたが、「保留」との回答でした。

 県内の雇用促進住宅の多くが築20年以上です。公営住宅として存続する場合、耐震補強工事や修繕・維持管理費に費用がかかるとして自治体は買い取りを渋っています。

入居者の声を聞け

 日本共産党の佐々木憲昭衆院議員、せこゆき子元衆院議員らは7月25日、機構を所管する厚生労働省と交渉をおこない、▽入居者の理解を得ないままの一方的な廃止決定は白紙に戻すこと▽入居者の声を十分に聞き、時間をかけた話し合いをおこない、住宅廃止、入居者の撤退を強行しないことを求めました。

【雇用促進住宅】

 雇用保険の保険料で整備・運用する住宅。エネルギー政策の転換により炭鉱離職者の雇用と住居確保を目的に1961年に運用開始。90年代に政府の「行政改革」により廃止方向を打ち出す。政府は昨年12月に廃止計画を前倒し閣議決定売却業務の民間委託など廃止を促進している。