被雇用者(労働者)の自殺者数は“世界のトヨタ”の本社がある豊田警察署管内が日本最多。トヨタ自動車の“繁栄”を支える厳しい労働実態から、「やっぱり」の声も出ています。
警察署別の自殺者数が、今回初めてNPO法人「自殺対策支援センター・ライフリンク」や研究者、弁護士による自殺実態解析プロジェクトチーム(PT)がまとめた「自殺実態白書2008」で明らかにされました。
それによると、2004~07年の自殺者全国総計は13万125人。毎年3万人を超えます。原因・動機は経済・生活問題、病苦が上位。
都道府県別の全国最多は東京都の1万1119人。愛知県は6073人で全国6位。人口10万人当たりの自殺者数を示す自殺率は41・6%の秋田県が全国トップ。愛知県は20・8%で46位となっています。
被雇用者の自殺者数(同計)の全国1位は豊田の93人。このほか、岡崎、半田、春日井、豊橋、一宮が上位50署中に並んでいます。自営者では、豊橋市が37人で全国3位となっています。
被雇用者の自殺者データを分析した生越照幸弁護士によると、上位50署の地帯特性として工場地域があり、推測される自殺要因に長時間労働、24時間交代制勤務、人員整理の影響、派遣社員の不安定な地位、成果主義と過大なノルマなど過酷な労働条件をあげています。
そのうえで、同弁護士は、被雇用者の自殺者数を減らすことが急務と強調。企業、自治体、労働基準監督署、民間団体などが連携して自殺要因を調査し、地域ぐるみの自殺防止に取り組むよう提言しています。
この白書は7月4日、自殺対策担当の岸田文雄内閣府特命相に提出され、日本共産党の小池晃参議院議員が同席しました。
愛知では、同党のせこゆき子、八田ひろ子両衆院比例東海ブロック候補、豊田市議団が7月7日、愛知県こころの健康推進室を訪れ、県の自殺対策を聞きました。
県は今年3月に「あいち自殺対策総合計画」をつくりましたが、担当者は署別データは初めて見たと語っており、データを生かした同計画の改善が求められます。