漁船の燃油高騰が愛知の漁業経営を直撃しています。漁師は「このままでは廃業だ」と訴え、燃油の引き下げを求めています。全国漁業協同組合連合会(全漁連)や大日本水産会など水産関係団体は15日、経営の窮状を訴え全国一斉休業をおこないます。知多半島の漁業関係者を取材しました。
美浜町の野間漁港で作業をしていた漁師は「船の燃料のA重油の値段は去年の倍になっている。漁に出ても不漁だと燃料代もでない。このままだと漁師を辞めるしかない」。
「借金して5年前に5トンの船を造ったが、出漁しても燃料代に食われ赤字になる。これでは利息も払えない。政府は燃油価格高騰対策など緊急支援策をとってほしい」というのは南知多町・豊浜漁業協同組合の役員。
豊浜港の「魚ひろば」に出店している女性は「魚が安いからお客さんが来てくれる。燃料が上がったからと魚の値段を上げるわけにいかず頭が痛い」
山海海岸でノリ養殖の作業をしていた男性は「ノリを乾燥させるのに大量の油を使う。外国産の安いノリが輸入され、養殖経営は厳しい」と語ります。
愛知の漁業就業者数 05年度比で23%減 すすむ高齢化 65歳以上3割
愛知県のまとめによると、愛知県の2006年度の海面漁業・養殖業生産量は全国21位。とらふぐ、しゃこ、あさり類は全国1位、うなぎ、きんぎょの養殖は2位と、多くの魚種で全国有数の産地となっています。
しかし、中部国際空港など海の埋立てによる干潟やも場の喪失、赤潮、貧酸素水塊の発生、魚価の低迷、燃料費の高騰や後継者不足など漁業環境は厳しさが増しています。
05年6月の海面漁業就業者は5304人。95年に比べ1592人、23%も減っています。男性就業者の67%は50歳以上。65歳以上が29・7%を占め、高齢化がすすんでいます。
漁船で操業する漁師の支出では、原油高騰で燃料代が急増しています。