大型ダムによる自然の大規模な破壊や水資源の過剰開発が問題になるなか、国土交通省が北設楽郡設楽町内の豊川・寒狭川上流部に建設を計画している設楽ダムに批判が高まっています。
革新県政の会(羽根克明代表)は21日、「設楽ダムウオッチング」をおこないました。小型バスに乗った一行は、市野和夫「設楽ダムの建設中止を求める会」代表の案内で、豊川のはんらんを防ぐ霞堤(かすみてい)、農業用水や都市用水を取る堰(せき)、オシドリの里、設楽ダム建設予定地を見学しました。
市野氏は、これまでに開発された豊川用水・豊川総合用水事業で水は確保されており、設楽ダムの建設は豊川、三河湾の自然生態系に重大な悪影響を及ぼすとして、建設を止めるべきだと語りました。
設楽町では、同ダム建設の是非を問う住民投票の実施を求める町民グループの伊奈紘さんが、天然記念物ネコギギ(ナマズの仲間)が生息している建設予定地を案内しました。
車内で、革新県政の会役員の林信敏元愛知県議は、長良川河口ぜき、徳山ダム、さらに設楽ダムの建設費負担によって水道事業の経営が悪化し“使わない水”のツケが県民の家計に押し付けられると警告。水資源政策の転換を訴えました。
【設楽ダム】国交省直轄の多目的ダム。高さ129メートル、総貯水量9800万トンの重力式コンクリートダム。総事業費約2070億円。愛知県負担797億円。移転戸数約130戸。ダム建設予定地にはネコギギなど絶滅危惧種が生息する。国交省は基本計画の策定作業中。