戦前、厳寒のオホーツク海で操業する蟹工船での奴隷的な労働実態を描いた、日本共産党員作家・小林多喜二の小説『蟹工船』がブームになっています。多喜二が学んだ北海道小樽市にある官立小樽高等商業学校は、戦前、北海道帝国大学と並ぶ名門校。今日の国立小樽商科大学です。ここの卒業生である日本共産党の佐々木憲昭衆議院議員に寄稿してもらいました。
私が小樽商科大学を卒業したのは、40年前のことです。この大学の前身が小樽高商で、プロレタリア作家・小林多喜二が学んだ学校でした。
私が在学していたときには、多喜二が学んだ古い木造校舎が若草色のペンキで塗られて補修され、まだ授業に使われていました。
その校舎は、廊下を歩くとギシギシと音がしたものです。そのころ読んだ『蟹工船』『不在地主』『東倶知安行』などの作品は、心の底を揺さぶるような力があり、多喜二の“怒りの塊”がズシズシと伝わりました。
いま、かつてない規模で非正規雇用が若者を中心に増加し、低賃金のもとで苦しめられています。その若者たちのうっ積したマグマのような怒りは、時代を超えて多喜二の精神と共鳴しあい、変革のエネルギーへと着実に転化しつつあるように思います。
佐々木憲昭さんの略歴
1945年、北海道生まれ。国立小樽商科大学卒。大阪市立大学大学院博士課程修了、経営学修士。96年衆院選(比例東海ブロック)当選(現在4期)。02年衆院予算委員会で、外交利権問題「ムネオハウス」追及。「ムネオハウス」は同年の流行語大賞に選ばれた。『どうみる世界と日本の経済』『変貌する財界~日本経団連の分析』など編著書多数。現在、日本共産党幹部会委員、衆議院議員・国対副委員長。