愛知民報

【08.06.15】革新懇講演会 品川正治さん講演 戦争を起こすのも人間 止めるのも人間

品川正治さん
 日本財界3団体のひとつ、経済同友会の重鎮、品川正治さんは3日、名古屋市内で憲法9条論を講演しました。青年時代、陸軍兵士として中国戦線で戦闘し、いまなお被弾した破片が脚に残る過酷な戦争経験をふまえた9条堅持の熱い訴えは、戦争体験のない世代の胸も強く打ちました。「反戦の憲法は絶対守るべきだという話に感激した」などの共感が多数寄せられました。同氏は日本共産党の志位和夫委員長とも対談しています。この講演会は「平和・民主・革新の日本をめざす全国の会」(全国革新懇)と愛知の同会が名古屋市中区の中京大学文化市民会館ホールで共催したもの。配布資料が不足するほどの盛況でした。佐々木憲昭衆議院議員が国会報告に立ちました。

憲法草案読み、感動 戦友と抱き合い泣く

 私は1924年生まれです。小学生の時に満州事変がおこり、中学で日中戦争、高校で太平洋戦争が始まりました。福沢諭吉の言い方を借りると、1世にして2世を生きた男です。22年間は大日本帝国憲法のもとで、60年間は日本国憲法下で生きてきました。

 私は学徒兵として、中国戦線で迫撃戦をたたかいました。迫撃砲の直撃を食らい、まだその破片が足に残っています。

 戦争が終わり、復員する船で新聞が配られました。「日本国憲法草案が発表された。よく読んで国に帰れ」という趣旨だったのです。今の前文も九条もそのまま書かれていました。それを読んで泣かなかった兵隊はいませんでした。

 自分たちはもう戦争をしないと思っている。それを憲法に戦争放棄、国の交戦権を認めないとまで書いてくれた。これなら死んだ戦友の霊も弔える。われらも確固たる生き方をして見せられる、と。

 全員が読んで泣いた事実を忘れられません。これは人生に片時も忘れられないことです。私の憲法への思いの原点はここにあります。

戦争放棄は21世紀の宝

 戦争は天災ではありません。戦争を起こすのも人間、戦争を止める努力ができるのも人間、俺は、どっちなのか。この問いかけが私自身の座標軸になっています。

 押し付けられた憲法というのが改憲理由だとよく言われますが、日本国民は、新しい憲法を歓呼で迎えたのです。押し付けられたのではない。 

 押し付けられたという人は、帝国憲法で政治をやり、利を得た人たちです。戦前も戦後もその立場で政治をやりたい人たちです。

 日本の支配政党は、自衛隊をつくり、米軍との共同作戦のガイドラインや有事立法をつくり、とうとう自衛隊をイラクに派遣しました。

 戦争放棄は、21世紀の宝物のような理念です。この戦争放棄の理念は国際平和のために、必要な理念なのです。

 国際平和のために九条の旗ざおは絶対に放さないという気持ちを、皆さんに持っていただきたい。

9条で世界を変える国民の出番

 アメリカは今、戦争をしている国だということをハッキリ自覚しないと、日本の針路を考えるうえで間違ってしまいます。

 日本国民が改憲にノーを出せば、日本の政治のあり方、経済のあり方、アジアでの立場、アメリカの世界戦略、全部変えざるを得ないのです。

 アメリカとけんかをするのではありません。「日本とアメリカは違う」と言うだけです。そういう時期に日本国民は遭遇したのです。日本国民の出番です。世界史が変わるのです。

 この憲法こそが、日本の子どもたちに残すべきものなのです。