動き出す環境市民団体 大型開発の転換求める
5月にドイツ・ボンで開かれた生物多様性条約第9回締結国会議(COP9)で、2010年10月のCOP10名古屋開催が決まりました。
これをうけて市民の環境運動サイドでは、環境破壊の大規模開発事業の中止と地球温暖化防止など実効ある環境対策を実現する機会にしようと運動を活発化させています。
「中部の環境を考える会」(宇佐見大司代表世話人)は8日、名古屋市東区の愛知大学で「生物多様性の保全に向けての市民戦略を考える」シンポジウムをおこないました。国・自治体の開発事業と環境保全の矛盾をつく発言が目立ちました。
「六条潟と三河湾を守る会」の市野和夫さん(元愛知大学教授)は、伊勢湾・三河湾の埋立て開発で海の汚濁と生物種減少がすすんでいることや豊川上流に設楽ダム建設が計画されていることを示し、「政治圧力に弱い行政は自然保護に関しては頼りにならない」とのべ、COP10に向け環境NGOの活動強化を訴えました。
日本環境法律家連盟理事の市川守弘弁護士は、日本各地ですすんでいる森林破壊の実態を映像で紹介し、「日本政府は生物多様性条約を拘束力のない政治的宣言というが、条約実行は義務。国際条約で国内の自然破壊を規制しよう」と呼びかけました。
ボンのCOP9を見学した愛知の環境NGO(非政府組織)メンバーから「国際会議は食料問題など国家間のやりとりが中心でした。具体的な地域の環境問題を話題にするためには地元NGOの力が必要」との声が出ました。