「洗濯物が黒く汚れる」「洗車したのにすぐにざらざらになる」――。東海、知多両市で“降下ばいじん”による苦情が続いています。
降下ばいじんとは、空中を舞うほど細かい物質。ここの場合、鉄、石炭、石灰が主なもの。東海市の調査によると、同市南部の養父(やぶ)児童館地点では1カ月に1平方キロメートル当たり11・8トンも降っています。健康障害を心配する声が上がっています。
両市は製鉄所が集中する「鉄の町」です。とはいえ「環境万博」を開催した愛知で、高度経済成長期のような目に見える公害が今も続いているのは異常です。
最大の発生源は、東海市内の新日本製鉄名古屋製作所と見られています。鉄鉱石や石炭、石灰石を大量に使い、年間数百万トンの鉄を生産しています。
鉄鉱石などの原料は野積み状態でおかれています。風が吹けば、原料の置き場や運搬用のベルトコンベアから粉じんが飛び散ります。鉄鉱石や石炭を粉末に加工する工程からも粉じんが発生します。
日本共産党の安井ひでき東海市議は、粉じんの発生状況を知る同製作所元社員。「粉じん公害防止は可能」といいます。市議会で繰り返し、ばいじん対策を要望してきました。知多市の日本共産党市議団も防止対策を求めてきました。
新日鉄側は、重い腰をあげ、原料置き場の壁やベルトコンベアのカバーの設置など飛散防止対策を始めました。
安井議員は次のように語っています。
東海市の降下ばいじん防止計画は、2013年に1平方キロメートル当たり1カ月3・5トン以内に減らすといっています。これは平均値です。市内のどの地点でも公害被害がないよう抜本的対策をとることが重要です。発生源企業は社会的責任を負うべきです。