5月16日、安保破棄・諸要求貫徹愛知県実行委員会が名古屋市内で開いた集会で、講演した内藤功弁護士(日本共産党元参院議員)は、イラク派兵差し止め訴訟で名古屋高等裁判所が4月17日に出した違憲判決の特徴の一つに「国会質問と政府答弁が反映している」ことをあげました。国会でイラク派兵の違憲性を指摘した経験をもつ八田ひろ子元参議院議員に聞きました。
感動もって
――判決の感想は。
感動をもって受けとめました。バグダッドは戦闘地域であって、自衛隊機がそこに武装兵員を輸送するのは武力行使と一体だ、自衛隊の活動地域を非戦闘地域に限定したイラク特措法にも憲法9条1項にも違反すると明快です。
判決全文をたくさんの人に読んでいただきたいと思います。
平和的生存権
――平和的生存権も注目されていますね。
憲法前文の「平和のうちに生存する権利」を具体的権利性があると位置づけたことは特記すべきです。
これまで平和的生存権は抽象的権利だと言われていました。判決は、平和的生存権が侵害されたら裁判所に保護救済を請求できると例示しています。
戦争やその準備で個人の自由が侵害され、侵害の危機にさらされる場合などです。
ゴマカシ破る
――八田さんの国会質問も生きた。
私は04年2月の参院予算委質問で、自衛隊のイラク空輸活動は違憲の米軍戦争支援だと追及しました。
石破茂防衛庁長官(当時)は「運ぶのは人道物資」と言い張りました。これにたいし私は「米軍の武装兵士を運ぶのか」と具体的に質問しました。長官は「武器を携行する兵員を運ぶことは排除されない」と武装兵員の輸送をしぶしぶ認めました。
判決は、武装兵員の空輸を認定しました。
イラク撤退を
――政府に何を求めますか。
早速、日本共産党愛知県委員会は政府・防衛省にたいし判決の尊重と空自のイラク撤退を申し入れました。
愛知県知事には、空自小牧基地輸送機のイラク派遣に県営名古屋空港を使わせないよう要請しました。
9条バッジ付け
――八田さんの出番ですね。
愛知は米軍依佐美基地を撤去させたように平和運動が強いところです。「9条の会」の運動も発展しています。
海外派兵恒久法の阻止は急務です。憲法9条のバッジをつけ、再び国会にのぼる決意です。