愛知民報

【08.03.23】医師不足 地域医療守れ 政策転換を 勤務医 寝る間もなく

勤務医3割が過労死ラインの時間外労働

 医師不足による診療科閉鎖など、地域医療の危機について医療関係者に聞きました。

 名古屋市南区の病院で外科医をつとめる早川純午さんは「外科の勤務医は寝る間もない長時間労働となっている。国や自治体が抜本的対策を講じないと外科医はどんどん辞めていく」と警告します。

 日本医療労働組合連合会が昨年おこなった医師の労働実態調査によると、1日の労働時間の平均は10・6時間。12時間以上が38%。週平均は59時間。65時間以上が34%しめています。時間外労働の過労死ラインといわれる80時間以上働いている医師が3割を超えています。

 日進市の産科医萬羽進さんは「中長期的には医師養成数の増加を図り、安定した医師供給体制をつくること、緊急には地域医療を守るために医師の偏在を解消する総合的な対策が必要」と提言しています。

 愛知県民主医療機関連合会の矢崎正一会長は、問題解決のためには▽国の医療費抑制政策を改め国民生活の実態にみあった医療水準の確保▽医師数抑制政策を撤回し、医師養成数の抜本的増員▽医療の経済性・効率化のみの追求をやめ、社会的弱者に手厚い医療制度実現――を強調しました。

愛知県 医師不足対策費 少ないとの指摘も

 愛知県の医師不足対策費の少なさを指摘する声が出ています。

 愛知県の2008年度一般会計予算案は2兆2543億円。うち医師不足対策費は6273万円。

 京都府の一般会計予算(8223億円)は愛知県の3分の1。しかし、医師不足対策費は5億2049万円。愛知県の8倍です。