労働者保護 急げ
厚生労働省愛知労働局がこのほど発表した2006年度分労働者派遣事業報告によると、労働者派遣をめぐる問題が深刻化しています。
事業所4年で2.5倍
県内の事業所を派遣元とした派遣労働者数は24万7969人。05年度より3万7375人(17・7%増)増え、過去最大になりました。
派遣労働者の72%は“使い捨て”との批判が強い日雇い派遣。仕事がある時だけ雇用される日雇い派遣の登録者は、17万2983人(前年度比11・6%増)います。
派遣事業所数は前年度より633件(29・1%増)増え、2886件となりました。03年度の1144件に比べ、4年間で2・5倍になっています。
業者33%ピンハネ
派遣労働者の平均賃金(8時間換算)は、一般派遣で1万1089円(前年度比0・4%減)。
派遣先から派遣事業者に支払われる派遣料金(8時間換算)は1万6672円(前年度比2・6%増)となっています。差額の5583円(33・5%)が手数料として労働者からピンハネしていることになります。
短期契約が大半
派遣契約期間は、一般派遣では3カ月未満77・9%、3カ月以上6カ月未満13・9%、6カ月以上9カ月未満3・5%。1年以上3年未満はわずか2・4%です。
ソフトウェア開発など専門職の特定派遣では、3カ月未満24・2%、3カ月以上6カ月未満20・1%、6カ月以上9カ月未満8・5%、1年以上3年未満は5・6%です。
福田首相「好ましくない」
日本共産党の志位和夫委員長は2月8日、衆院予算委員会の質疑で、人間をモノのように使い捨てにする派遣労働の実態を示し、労働者派遣法を「労働者保護法」に改正するよう福田康夫首相に迫りました。
福田首相は「日雇い派遣は好ましくない。非正規雇用が増加、固定することは注意が必要で、中長期的にみた場合、そのような雇用は好ましくない」と答弁せざるをえませんでした。
志位委員長の質問について、中小企業の経営者や正社員からも「日雇い派遣は問題が多いので規制すべき」と共感の声が寄せられています。
日雇い派遣は“不安”
週に3日はインターネットカフェに泊まるというAさん(27)は名古屋市内の派遣事業所に登録している日雇い派遣労働者です。仕事のある時に事業所からAさんの携帯電話に連絡が入り、仕事内容や日当を聞き、現場に行き仕事をします。
Aさんは「引っ越し作業、家の解体、飲食店の開店セールなど人手が必要な時だけ会社から声がかかる。明日は仕事があるだろうかと不安になる。せめて1カ月とか契約してほしい」と話します。