政府が推進する消防広域化で、愛知県は年末、現行37の消防本部を11に合併する広域化推進計画案をまとめました。これは昨年秋、市町村に示した9本部に合併する当初案を手直ししたもの。しかし、変更案に対しても消防力の低下を心配する声や合併の押しつけに反対する声がますます強まっています。
広域化問題で、市町村の自主的判断の尊重や現行の消防力強化を政府に言明させた日本共産党・佐々木憲昭衆議院議員の質問主意書は消防関係者から歓迎されています。県内の同党地方議員は議会質問で広域化の問題点を指摘。せこゆき子、八田ひろ子氏ら同党の衆院選予定候補者は消防関係者と懇談し要望を聞いています。
「広域化は困る」
東三河地方の場合、県の広域化案では、現在、豊橋、豊川、蒲郡、新城、田原各市に合計5つある消防本部を1に減らすとしています。消防関係者は「東三河では最高3時間もかけなければ到着できない地域が発生するのでは」と心配します。
同地方で日本共産党議員は議会質問で取り上げました。これを聞いた消防幹部は「正直言って広域化は困る。一番心配してくれているのは共産党だ。質問で、みんなに広域化の問題がわかってよかった」と話しています。
現在、市単独の消防本部を持つ消防関係者は言います。
「今の本部は地元に密着し、市内の道路事情や消火栓の位置を掌握している。広域化されて他市に転勤になったら困る。消防は地元配置が大事」
県は広域化による人員と装備の効率的運用で必要な消防力の水準は維持できるといいます。これにたいし消防職員は反論します。
「消防力の低いもの同士が集まっても高くならない。逆に広域化しただけ低下する。今の消防力を強化することを優先すべき」
03年に5市の消防本部が合併した衣浦東部広域連合消防本部では、以前に比べ消防車の現場到着時間が遅くなったとの指摘があります。
話が弾む消防団
せこゆき子元衆院議員は年末警戒にあたっている消防団を訪問。チラシを渡して広域化の問題点を報告しました。消防団員からは「地域の自営業者が減って団員が集まらない」「女性団員用のトイレや更衣室を作ってほしい」「広域化に金を使うより地域の消防団に助成を」と次々に要望が出ました。
名古屋市緑区では、もとむら伸子衆院愛知3区予定候補者が、かとう典子市議とともに訪問。ここでも団員は「消防予算が毎年減らされている」「消防が統合縮小されると消防団の負担が重くなる」と消防の充実を訴えました。