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【02.07.19】海上の森 オオタカの営巣失敗

「アセス不十分」と共産党が協会、
知事に中止要請

2002年7月22日 「しんぶん赤旗」

 日本共産党愛知県委員会(岩中正巳委員長)と同県議団(きしの知子団長、3人)は19日、愛知万博会場の一つ、瀬戸市の海上(かいしょ)の森でオオタカの営巣が失敗した問題で、博覧会協会、神田真秋知事、国際博覧会関連オオタカ調査検討会に、保護対策と、不十分な環境アセスメントに立脚した万博計画の中止、開催返上などを申し入れました。

 営巣失敗は、10日の県議会国際博覧会推進特別委員会で、日本共産党の堀一県議の質問に、県側がB、Cと名付けた2つの営巣地での失敗を明らかにしたものです。

 申し入れでは、県など三者が、環境庁の示した「猛きん類保護の進め方」に沿った十分な調査や保護対策を実施しておらず、そうした対応が営巣の失敗につながっていると指摘。飛翔への影響を認めているゴンドラ建設の中止なども求めています。


2005年日本国際博覧会協会会長 豊田章一郎 様
愛知県知事            神田 真秋 様
国際博会場関連オオタカ調査検討会 様

2002年7月19日
日本共産党愛知県委員会
委員長 岩中 正巳
日本共産党愛知県議会議員団
団長  きしの知子

「海上の森」のオオタカ営巣失敗に係る申し入れ

 7月10日に行われた県議会国際博推進特別委員会において、日本共産党の堀県議の質問に対し、県当局は、「海上の森」のB、Cと呼ばれているオオタカの営巣地について、今年の営巣が失敗に終わったことを明らかにしました。

失敗したといわれるオオタカの営巣地は、99年4月末に日本野鳥の会愛知支部によって公表されたもので、愛知県は直後の5月にこの営巣地を確認し、このオオタカの営巣の保護を契機に、万博の海上地区の会場は大幅に縮小されました。そして、県と博覧会協会は、オオタカとも共存できる国際博をめざして、「国際博会場関連オオタカ調査検討会」を設置し、オオタカの調査と保護対策について検討してきたものです。今年3月28日に行われた第16回検討会においても、昨年の営巣地付近で今年もオオタカの繁殖行動の兆候があることを確認していました。ゴンドラの建設問題が住民の厳しい批判を浴びていた6月10日にも、国際博会場関連オオタカ調査検討会はゴンドラが「オオタカの飛行の障害になる」ことを認め、ゴンドラの支柱の高さを下げることを博覧会協会に提言していました。

  県と博覧会協会、国際博会場関連オオタカ調査検討会は、オオタカの保護策を確立しないまま、オオタカの営巣や繁殖には大きな影響がないとして、万博計画を強行し、万博の環境影響評価書のやり直しを拒否してきましたが、その結果が「海上の森」でのオオタカの営巣の失敗につながったものです。

  環境省が作成した「猛禽類保護の進め方(特にイヌワシ、クマタカ、オオタカについて)」という指針では、オオタカの保護方策について、2営巣期を含む1・5年以上の調査を行ったもとで、営巣中心域、高利用域など各利用域の範囲を特定し、繁殖ステージなども考慮したうえで、生息上支障を及ぼすおそれのある行為(森林の開発、オオタカの食物となる鳥獣の生息不適地の増加など)を避けるように特に配慮していくことを求めています。オオタカの営巣の失敗は、営巣の保護、繁殖のための積極的な対応をせず、環境省の指針が示した十分な調査や保護策の確立をしてこなかった愛知県、博覧会協会、国際博会場関連オオタカ調査検討会にも原因があり、その責任は重大です。

  また、オオタカの営巣失敗の結果は、愛知万博計画が自然環境保護を行わない計画であり、環境影響評価がオオタカの保護を始めとした自然環境の保護に役立たないことを示しています。

  これらの点にたって改めて、以下のことを貴職に申し入れます。

1、オオタカの営巣の失敗について、ただちに国際博会場関連オオタカ調査検討会を開催し、その原因を明らかにするとともに、オオタカの保護策をとらなかった自らの責任を明確にすること。
改めて、オオタカの営巣の保護策を明らかにしあらゆる手立てをとり、オオタカの飛行に影響が明らかなゴンドラの建設は中止すること。

2、オオタカの営巣の失敗によって明らかになった、環境影響評価の不十分さを認め、環境影響評価のやり直しを行うこと。
不十分な環境影響評価に立脚した愛知万博計画は中止し、開催を返上すること。

以上

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