【02.06.29】田んぼが万博シャトルバス駐車場に?――春日井市
何百年もかけてつくった水田
復元不可能と「返上」求める声
2002年6月29日 「しんぶん赤旗」
愛知万博の会場予定地への送迎バス専用の駐車場(1300台収容)計画で、何百年もかけてできあがった田んぼが消えてしまうという問題が、持ち上がっています。(小川浩記者)
<写真>万博バス駐車場計画の予定地を視察する(左から)伊藤ひろみ市議、八田ひろ子参院議員、柳沢けさ美県政対策委員長(右奥)、内藤富江市議(右手前)ところは、春日井インターチェンジの北に位置し、国道19号と同115号が交差する春日井市大泉寺町。2月下旬、県と万博協会は、駐車場計画について、地元説明会を開きました。2004年4月〜06年3月まで、ほ場整備もしていない昔ながらの水田5ヘクタールを埋めたて、駐車場に一時転用し、その後は、元に戻すというもの。
説明会が反対集会に
たった1回開かれた住民説明会は、“駐車場建設ありきの説明”で、「水田を埋めて、元どおりにできるのか」など、疑問や不安の声が相次ぎ、予定時間を1時間以上オーバー。「説明会は何回でもやれ」と反対集会の様相になりました。
その後、5月には、地域の代表者、水利権者、農業委員、一部地権者で構成する「駐車場対策委員会」と県・万博協会側が水田の復旧問題、車の排出ガス・騒音対策などを話し合いましたが、結論は出ていません。
「予定地になっている水田のため池から水を引く仕組みは、何百年もかけてできあがったもの。それを復元するのは不可能です。建設返上を含めた、住民合意が必要」と話すのは、同市の川地たかまさ農業委員(日本共産党)。万博協会は、「田んぼの復旧は、まったく同じというわけにはいかないかもしれない」と認めています。
自然破壊と税金ムダ遣い
日本共産党の伊藤ひろみ市議は3月議会で、「県は借金財政のうえに、(駐車場計画は)水害の問題、交通渋滞や排気ガス、騒音などの問題もある。計画撤回の考えはないか」と質問。市当局は、「受け入れ撤回という考えには至らない」と述べましたが、伊藤市議の追及に、「地権者の同意を前提にすすめられる事業」と認めました。
川地さんは、「駐車場ができ、バスが出入りすれば、地形が変わってしまう。一時転用後は、ほ場整備を行い、農道や水路を完備して返還する計画であれば、まだ救いようがある。駐車場ができれば、『自然の叡智』とうたう万博が自然破壊をすることになります。税金のムダ遣いになってしまう」と話しています。