【万博】2003-07.07-07.13の動き
●日本国際博覧会協会とトヨタ自動車は8日、2005年に開催される愛知万博のメーン会場である長久手会場内の移動手段として、3台のバスが隊列を組んで自動運転する次世代交通システム(IMTS)を導入すると発表した。
バス(50人乗り)の外観は、発芽をイメージし、斬新な流線型とした。磁気を感知するセンサーが積まれ、会場内の専用道路(片道1・6キロ)に埋め込んだ磁石に沿って、最高時速約30キロで自動運転する。バス同士は無線で互いの位置や速度を交信して車間距離を一定に保つ。3台1組で4隊列が走行する。長久手会場と瀬戸会場の約3・5キロを結ぶ交通手段としては、トヨタの燃料電池バスが使用される。
「IMTS」と、「燃料電池バス」はともにトヨタ自動車が開発、運行管理を担当する博覧会協会に提供する。IMTSは、最高速度約30キロで、各車両間の通信制御により、車間距離は約15メートル(最高速度時)に保たれる。燃料は、環境に優しい圧縮天然ガス(CNG)を利用する。無人で隊列走行する区間とは別に、運転手が乗り込んで一般道を走行する「マニュアル運転区間」も設定。両区間の分岐点では、3台並んだ最後尾の車両が自動分岐する仕組みも採り入れるという。燃料電池バスは、トヨタとグループの日野自動車が共同開発した「FCHV−BUS2」(定員60人)の改良型を導入する。車両台数は8台程度で、瀬戸会場と長久手会場の間を6−8分ほどの間隔で運行させる計画。
●愛知万博長久手会場の日本政府館で、屋根を光触媒の酸化チタンで覆って水を流し、室温を劇的に下げるユニークな省エネ冷却装置が導入される。光触媒コーティングを使って自然の気化熱で涼を呼ぶ「打ち水」の原理を応用、さらに高度処理によるリサイクル水を組み合わせたシステムをつくり上げ、「環境万博」をアピールする。
光触媒を建物の冷却に利用する取り組みは珍しく、実用化されれば世界初という。都市部で夏場に熱がこもるヒートアイランド対策に向け「有効な実証実験の場にもなる」(経済産業省)と期待されている。
●愛知万博の造成工事の進み具合について、博覧会協会は9日、長久手、瀬戸の両会場とも6月末までに7割が終わったと発表した。県議会の国際博覧会推進特別委員会で、坂本春生事務総長が明らかにした。施設の建設工事は、長久手会場では3工区に分けて造成工事が終わった部分から、瀬戸会場では造成工事完了後に着手する予定で、発注は半分以上済んでいるという。
また、県は同委員会で、会場への主要な交通機関となる東部丘陵線について、工事の6割が完成し、一部の駅舎を除いて、全体の8割が発注済みであることを明らかにした。東名高速と会場を結ぶ有料道路「名古屋瀬戸道路」は、区間の7割が完成したという。
●博覧会協会は9日、愛知万博会場で、燃料電池など複数の次世代エネルギーを組み合わせた世界初のエネルギー供給システムの実証実験に取り組むことを正式に決めた。万博閉幕後はシステムを、中部国際空港の前島に移し、実験を継続する。同空港への移設費については、実験を委託した新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がほぼ負担することになった。実験に参加するのは、博覧会協会のほか、中部電力や愛知県、トヨタ自動車など計9社・団体。2007年度までの5か年で、総事業費は86億円に上る予定。
実験では、太陽光発電と生ごみや木くずなどから作り出した水素を燃料とする燃料電池での発電システム作りなどに取り組む。特に会場内のレストランから出た生ごみの100%を発電に利用するなど、環境に優しい発電技術が期待されている。発生した電力は、長久手会場でアフリカからの公式参加施設「グローバル・コモン5」の協会管理施設や政府館に供給される。
●博覧会協会の坂本春生事務総長は9日、愛知県議会国際博覧会推進特別委員会で、一万年前に絶滅したマンモスの成獣を発掘し、愛知万博の最大の目玉として会場に展示する計画を明らかにした。博覧会協会では、発掘、展示する方針をすでに決めているが、公式の場で表明したのは初めて。また、元通産省事務次官で、電通総研研究所長の福川伸次氏を委員長とする実行委員会を発足させ、準備を進めている。
●博覧会協会は10日、事務局の機構改革を発表した。開幕まであと1年8カ月。9月から前売り券も発売するため、本部長4人体制を5人体制に増強。藤田昌央経営企画室長が事業企画本部長に昇格する。
●2005年日本国際博覧会(愛・地球博)愛知推進協議会(会長・神田真秋知事)は11日から、県内市町村の万博関連事業を紹介するホームページを立ち上げた。
●愛知万博の警備体制などを話し合う安全対策会議(議長・木下冨雄甲子園大学長)が10日、名古屋市の博覧会協会で開かれた。前回の会議で策定された会場警備基本計画などについて話し合われ、防災などの緊急用ヘリコプターの離着陸場を長久手、瀬戸両会場ともバスターミナル内にすることなどが了承された。いずれも当初計画の位置ではゴンドラに近すぎることなどから変更した。
●バス運転手の無免許運転隠ぺい事件などで、10日、国土交通省中部運輸局から厳しい行政処分を受けた名古屋鉄道。 行政処分は、岡崎統括自動車営業所(愛知県岡崎市)のバス使用停止計240日間と、8月19日までに安全運行を徹底させる事業改善の具体策を同局に提出するというもの。今後、愛知万博会場と名古屋市中心部の名古屋駅や栄地区間とを結ぶシャトルバスなど新規路線の開設は原則2年間、認められなくなり、名鉄は新しい収益源も失うことになった。
●愛知万博開催を機に市民ぐるみで環境を考える「なごや環境大学」の基本構想検討委員会が11日、名古屋市役所で開かれ、構想に向けた提言をまとめた。 提言によると、2005年度に開講する環境大学は、すべての市民に環境問題を学ぶ機会をつくることを目標に掲げ、市民や企業、学校、行政が、知識や経験、問題意識を持ち合って学ぶ場と位置づけている。
●愛知万博開催に向けて清潔で快適な街づくりを進めようと、県は万博開催530(ごみゼロ)日前となる10月を中心に県民総ぐるみ運動「あいちクリーンキャンペーン」を実施する。県環境部が4日発表したもので、環境美化活動の基本となる「県民ルール」を県民参加で制定する。
●万博開幕に向け愛知環状鉄道は、豊田市貝津町に「貝津」駅、東梅坪町に「梅坪」駅を新たに開設する。駅舎や駅前広場の建設費11億8700万円は豊田市が負担する。
●県と県内市町村などでつくる万博の愛知推進協議会は総会を開き、02年度事業報告・収支報告を承認し会長に知事を再選した。市町村による関連行事などを紹介するホームページを開設する。
●協会は万博会場への飲食物の持込を禁止する方針を固めた。会場内飲食店の売上確保と衛生管理の観点から判断した。今後、学校の遠足など持ち込みの例外範囲を決める。