【万博】2003.03.25-03.31の動き
●愛知万博への外国の参加を促すため、政府と博覧会協会は24日、発展途上国に対し出展企画や展示館運営などの費用の一部を支援すると発表した。在外公館を通じ各国の意向を聴きながら具体的な支援策や金額などを固める。
●地元財界や自治体などで組織する「愛・地球博PR推進会議」(座長・太田宏次中部経済連合会会長)が24日、名古屋市内のホテルで開かれ、公式マスコットキャラクターの「モリゾー」と「キッコロ」の絵柄を、買い物袋や年賀状などに利用していくアイデアが出された。
●トヨタ博物館は、25日から、世界各国の万国博覧会で展示された自動車を一堂に集めた特別企画展「博覧会と自動車」を開催する。24日には内覧会が開かれ、トヨタ自動車名誉会長の豊田章一郎・日本国際博覧会協会長や坂本春生・博覧会協会事務総長らが出席した。
展示されているのは、パリ万博(1889年)でお目見えしたベンツ製作の初のガソリン自動車や、サンフランシスコ万博(1915年)の「T型フォード」、国内博の名古屋汎太平洋平和博覧会(1937年)で登場した「トヨダAA型乗用車」など計9台。
●愛知万博の会場建設費(1350億円)の一部として、財界が負担する寄付金(目標額230億円)のうち220億円の拠出にめどが立ったことが24日、公表された。
この日開かれた博覧会協会の理事会では、23の業界団体と831社が寄付に応じたことが報告された。博覧会協会では、2005年3月の開幕までに一括して払い込むという原則を見直し、「寄付を3回に分けて行えるようにしたり、博覧会期間中まで寄付の受け付け期限を延ばすなど、寄付の方法や時期について個別に相談に応じる形で理解を求めた」(坂本春生事務総長)。その結果、応諾した業界団体は半年あまりで倍増した。博覧会協会で資金集めを担当する井奥博之・総長代理は、「(トヨタ自動車など)地元の主要9社で100億円の寄付に応じてもらえたことも、目標達成の推進力になった」と語る。ただ、企業を取り巻く経営環境は、デフレ不況に加え、イラク戦争の行方によっては、いっそう厳しくなることは必至だ。日本チェーンストア協会(加盟102社)などは、スーパーの厳しい経営環境に配慮して、「(寄付金を出すかどうかは)まだ検討中だ」としている。
●東海地方の24の産業博物館などで組織する「産業観光推進懇談会」(事務局・名古屋商工会議所)は、修学旅行でこの地方に来る小中高校生に対して、愛知万博の入場券を持参すれば博物館の入場料を割り引く方針を決めた。懇談会のまとめ役である須田寛・JR東海会長が、「愛知万博と連動して、この地方の博物館を観光コースに組み込んでもらうためには、入場料の割り引きが必要」と提案し、各博物館も了承した。
●愛知県国際博推進局は24日、中東のカタールが愛知万博に参加表明したことを明らかにした。参加表明は、これで73か国、6国際機関となった。
●博覧会協会(豊田章一郎会長)は24日、愛知万博の協会企画事業と催事の全体構想を明らかにした。過去の万博では、各国政府、国際機関、民間企業のパビリオンが主体だったが、今回は初めて、博覧会協会と民間企業が合同でパビリオンや催事場を企画・運営する方式も採用され、計7事業を展開する。
既存施設を改築して造られる南北200メートル、東西60メートルの巨大なパビリオンでは、未来へ残していきたい地球と生命の姿が、最新の技術を駆使した映像や貴重な展示物でさまざまに紹介され、愛知万博のシンボル館と位置づけられている。この事業には、日本放送協会(NHK)も最先端の映像で特別協力することになっており、協会はここだけで期間中、500万人の入場者を見込んでいる。
「グローバル・ハウス」に隣接する「愛・地球広場」は、「地球大交流」を体感するコミュニケーションの場。さまざまな催事や高精細映像システムなどを使って、国や宗教、文化の違いを超えたふれあいと入場者参加型の交流を目指す。
食べて元気になる「食育ゾーン」と、遊んで元気になる「遊育ゾーン」で構成されるのが「食と遊びの展示館」。未来の食を体験できるキッチン・スタジアムや「5感」で感じる遊びなどのプログラムが展開される。
このほか、水と光の幻想的なショー「こいの池−ナイトイベント」、世界のNGOやNPOが交流する「地球市民村」「市民交流プラザ」、コンベンションホールも企画する。また、催事では、各国の文化や芸能を紹介する「5大陸芸能・交流イベント」など、多彩な企画が計画されている。
●博覧会協会は24日、作家で日本財団会長の曽野綾子さん(71)の特別顧問就任を発表した。曽野さんは文化的、国際的な社会貢献の観点から、愛知万博について助言などを行う。
●愛知県は24日、愛知万博の海上地区と青少年公園地区に設ける愛知県館の展示内容の概要を発表した。
海上地区では「森の鼓動と呼吸」をテーマに、「森の繭」(幅5メートル、長さ20メートル、奥行き10メートル)を設置する。内部では、からくり人形で表現した森の精霊が、森の大切さを来場者に呼びかける。このほかにも森の息吹を映像で表す「森のカンタータ」などを展示する。
青少年公園地区のテーマは「環業革命への力」で、「環境重視の産業構造への転換」を訴える。原油にみたてた液体が流れる滝の上で、歌舞伎役者が舞う演劇を上演するほか、88市町村の伝統芸能やモノづくりの知恵を紹介する広場などを設ける。
また、パビリオンの屋上に高さ約15メートルの「環業革命モニュメント」を設置する。建設と展示にかかる費用は約40億円。
●博覧会協会は25日、愛知万博に中米のニカラグアと国際熱帯木材機関(横浜市)が参加表明したことを明らかにした。参加はこれで74か国、7国際機関となった。
●愛知万博の開幕2年前にあたる25日、記念イベントが名古屋市と東京で同時に繰り広げられた。名古屋市東区の「オアシス21・銀河の広場」では、ハワイ出身の新人歌手DAHLIA(ダリア)さんが、万博公式イメージソング「I’LL BE YOUR LOVE」(アイル・ビー・ユア・ラブ)をライブで初披露した。
●博覧会協会は、愛知万博最大のパビリオン「グローバル・ハウス」の北東壁面(4000平方メートル)に、緑や花で覆った世界最大規模の「都市緑化壁」を設置する方針を決めた。協会では「緑化壁で周囲の温度が2、3度下がる」とみており、都市部に滞留するエネルギーによって気温が上昇するヒートアイランド現象対策の実験場として、万博の目玉の一つにしたい考え。
●愛知県国際博推進局は26日、愛知万博にリビア、ポルトガルの2か国が参加表明したことを明らかにした。正式表明はこれで83(76か国、7国際機関)となり、大阪万博の80(76か国、4国際機関)を上回った。愛知万博は、100以上の国や地域、国際機関の参加を目標にしている。国内の博覧会では、大阪花博の137(82か国、55国際機関・国際的園芸組織)が最多となっている。
●愛知万博の目玉ショー「こいの池―ナイトイベント」の演出を担当する米国の舞台演出家ロバート・ウィルソンさん(61)が26日、東京都内で会見し、「生命の祝祭や自然の叡智をテーマに、あらゆる人に受け入れられるようなショーに仕上げたい」と抱負を語った。
●博覧会協会は26日、政財界や報道関係者らを対象にした展示説明会を東京都内で始めた。
東京都港区の機械産業記念館で行われた説明会には、ミルソビット・オロチフ駐日ウズベキスタン大使ら参加表明している各国政府の代表者や、万博推進議連会長の海部俊樹元首相ら約200人が出席した。
●名古屋商工会議所は26日、世界に一つしかない技術を持ちながら、単独では愛知万博への出展が難しい中小企業のために提供するパビリオン「モノづくりランド シンフォニア」構想の詳細を発表した。
モノづくりランドへの出展料は、1企業当たり50万円(展示物の制作費用は企業負担)と決まった。会場はコンベンションホール(展示スペースは約1500平方メートル)で、開幕から1か月間開催されるが、名商では約100社の参加を見込んでおり、4月25日に説明会を開き、9月まで全国から出展企業を公募する。
●愛知万博に、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランド、デンマークの北欧5か国が、共同参加する方向で協議していることが、26日までに分かった。出展費用を圧縮するとともに、5か国の連帯をアピールする狙いがあるとみられる。実現すれば、愛知万博では初の共同参加方式となる。
●博覧会協会は、青少年公園地区と海上地区の両会場を結ぶゴンドラ建設、運営の業者を、日本ケーブル(東京都)と名鉄住商工業(名古屋市)の共同企業体に決定したと発表した。
ゴンドラ建設をめぐっては、地元住民の反対もある。協会ではルート上のプライバシー対策として住宅付近を通過するときだけ窓を曇らせる「瞬間調光曇りガラス機能」を取り入れる。測量・設計後に地元に対する説明会を開く。
●愛知万博ボランティアセンターが一般公募していた事務局長に、元人材派遣会社社長の白木勝久氏(53)が内定した。4月1日付で就任する。
●愛知県宅地建物取引業協会(伊藤博会長)は28日、愛知万博ボランティアセンターに、愛知万博のPRユニホーム840着を寄贈した。伊藤会長がこの日、同センターを訪れ、国分孝雄副会長に目録を手渡した。
●愛知万博での合唱披露を目指す名古屋の市民合唱団が“愛・地球博市民親善大使”として今年5月にチェコを訪れ、現地のオーケストラと合同でベートーベンの「第9」を披露することになった。東海3県の小学生から83歳のお年寄りまで約100人が初の海外公演に向けて練習を重ね、「歓喜の歌で愛・地球博のPRを」と意気込んでいる。