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【万博】2003.02.25-03.03の動き

●名古屋市内の酒小売店で組織する名古屋酒販協同組合(服部一昭理事長、加盟約1400店)は、化粧箱に「愛・地球博」のロゴを使用し、志野焼の記念ボトルに入った純米酒(720ミリ・リットル2800円)を3月1日から限定3000本販売する。純米酒は、名古屋酒販協が同市中川区の常盤醸造に依頼して作った「なごやの純米酒」。志野焼の器は、愛知県瀬戸市の陶器会社に製作を依頼した。来年は織部焼、万博開幕の2005年には黄瀬戸焼をシリーズで出す。
  服部理事長は「博覧会協会から、海外への土産用として予約がある。名古屋酒販協のホームページでも紹介し、万博の知名度アップに協力したい」という。酒販協は「愛・地球博」のロゴなどのライセンスを管理する伊藤忠商事にライセンス使用料を支払っており、将来的には博覧会協会の収入として運営費に使われる。

●経済産業省から県に2月24日入った連絡によると、中米のベリーズが愛知万博への参加を表明した。これまでに参加を明らかにしたのは、66カ国、6国際機関となった。

●愛知万博の環境影響評価に関する学識経験者らの会議が2月24日、名古屋市で開かれ、博覧会協会が愛知青少年公園地区会場の駐車場「西ターミナル」など3施設について「環境への影響は回避か低減できる」という内容の環境影響評価書の草案を明らかにした。
  この草案の対象は、西ターミナル(約15ヘクタール)と愛知環状鉄道八草駅の周囲に整備する駐車場「八草ターミナル」(約2ヘクタール)、同じ会場に布設する汚水送水管(配管延長約5キロ)。いずれも建設工事中に「排出ガス対策型工事機械」などを活用する。昨年6月に公表した愛・地球博の環境影響評価書で、この2つのターミナルなど8項目については、それぞれの計画が確定してから環境への影響を調査、公表するとしていた。3月に正式な評価書を公表する。

●博覧会協会は2月25日、愛知万博の青少年公園地区に設ける共有型パビリオン「コンベンションホール」の概要を明らかにした。日本科学技術振興財団(東京都千代田区)が「青少年のための科学の祭典」を計画するなど、既に6団体が出展を表明している。協会では出展の一般公募もする。 ホールの展示面積は約1500平方メートルで、複数の団体が時期を区切って展示できるようにする。
  出展を決めているのは、同財団のほかに国土交通省中部地方整備局、日本土木工業協会、日本青年会議所東海地区愛知ブロック協議会、名古屋商工会議所、特許庁の計6団体。愛知万博のテーマ「自然の叡智」に沿った展示を検討している。

●愛知万博について博覧会協会は2月25日、開幕2年前記念事業の概要を発表した。開幕までちょうど2年となる3月25日に名古屋市東区のオアシス21でミニコンサートを開き、東京でも説明会を行う。ミニコンサートは正午からで、歌手DAHLIAさんが公式イメージソング「I'LL BE YOUR LOVE」を歌う。名古屋フィルハーモニー交響楽団もクラシック版を初披露する。
  東京では銀座などの繁華街で花の鉢植え1万鉢を通行人に贈る。3月26日から28日まで、東京都港区のTEPIAホールに政界や出展参加国の関係者を招き、会場計画や環境保全への取り組みをパネルや映像で紹介する。米国のスペースシャトルに3月、愛・地球博のマスコットキャラクターを描いた垂れ幕を積み込んでもらう計画については、坂本春生事務総長は「シャトル事故で亡くなった方に追悼の意を示すのが一番大切」と述べ、無期延期になっていることを明らかにした。

●愛知万博を盛り上げようと、愛知県に本社を置く企業の英国駐在員らが「愛知の会」をつくり2月25日夜(日本時間26日未明)、ロンドン市内で発足式が行われた。
  同会は地元企業として会員が英国の取引先に愛知万博をPRし、参加の働き掛けを目指す。発足式にはJR東海、トヨタ自動車グループ、中部電力などの駐在員や県内出身のビジネスマンら約70人が出席した。来賓として招かれた折田正樹駐英大使は「愛・地球博は愛知県だけでなく、国や財界挙げての大事業。愛知や日本の良さを知ってもらうチャンスだ。英国はイラクとの戦争に入りそうな厳しい状況だが、英国の有力企業が1つでも2つでも参加するよう促してください」と述べた。

●愛知万博で、政府、与党は2月27日までに、発展途上国の参加を促すため、2004年度以降、政府開発援助(ODA)の枠から参加支援のため数十億円を拠出する方向で最終調整に入った。博覧会協会や政府などは、参加申し込み期限の3月25日までに100以上の国・国際機関の参加を目指していたが、2月27日現在で66か国・6国際機関にとどまっている。このため、政府開発援助の拠出方針を各国に示すことで、途上国の参加表明を取り付けたい考え。
2月24日には、東京・永田町の自民党本部で万博推進議連の幹部と、外務、経産など関係省庁の幹部や万博担当者らが会談。元首相の橋本竜太郎同議連会長が、発展途上国に対する支援を要請した。博覧会協会では、途上国の経済負担を軽減するため、当初から外国政府出展施設「グローバルコモン」を無償提供する考えだったが、アフリカやアジアの途上国からは、「さらなる支援を」の声が上がっていた。これまでに参加表明した国のうち、48か国が低所得国。支援を前提として参加表明した国もあり、同協会は政府に支援を強く要望していた。政府、与党では、こうした低所得国を中心にODAを拠出する方針だ。

●愛知万博への出展参加をめぐり、英国政府が1月、日本政府などに対し、「万博参加に国費を拠出するのは難しい」と通告していたことが2月27日、分かった。日本政府や博覧会協会では、英国企業の資金提供で参加できるよう交渉を続ける。
  英国大使館によると、英国外務省が1月13日、ロンドンの日本大使館に対し、「財政難のため、税金を使って万博に参加するのは困難。だが、民間から資金調達できれば、参加も考えたい」とする方針を伝えた。その後、大阪総領事名で、博覧会協会、愛知県、名古屋商工会議所などにも書面で伝えた。日本政府は、「正式な不参加通告ではない」として、引き続き参加交渉を続ける。同協会でも「参加招請が容易でないことは認識しているが、英国政府だけでなく産業界に対しても協力を強く働きかける」としている。英国のほか、イタリアやオランダ、ポルトガル、ノルウェー、オーストラリアなど主要国がまだ参加の意向を示していない。このうち、1998年にリスボン博を開催したポルトガルは「欧州連合(EU)の経済統合で、財政状況の改善を進めなければならず、参加の即断は難しい。関係省庁で可能な方法を模索している」(駐日大使館)としている。

●愛知万博を、歌を通じて広めようと、日仏シャンソン協会日本支局(名古屋市千種区)が万博イメージソングの各国語訳を進めている。昨年1月から、毎月25日に無料コンサート「音楽万博」を名古屋市中区の市音楽プラザなどで開いており、出来るだけ多くの国の人に歌ってもらうのが狙いだ。訳はすでに14か国語にのぼった。今年に入ってスリランカの言語であるシンハラ語にも訳された。かつて瀬戸市で陶器製造を学んだことがあるスリランカ人男性の協力で実現した。

●愛知万博に関し、博覧会国際事務局(BIE)議長の訪日目的などを記した文書を愛知県が非公開としたのは違法として、「愛知万博中止の会」代表の影山健・愛知教育大名誉教授が、神田真秋知事を相手取り、処分取り消しを求めた訴訟の判決が2月28日、名古屋地裁であった。加藤幸雄裁判長は「公開によってBIEとの関係が損なわれるとは認められない」として、非公開処分の取り消しを命じた。
  判決で加藤裁判長は、「文書には訪日目的やBIEの認識、問題点などが記載されていたと推測出来る」と認定。そのうえで「公にされたといってBIEの立場を危うくするとは考えにくい」とした。また、裁判所が外務省を通じ、2度にわたってBIEに照会をしたが、回答がなかったことを明らかにし、「BIEは非公開に固執しているとは推認出来ない」とした。

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