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【万博】2002.11.26-12.02の動き

●愛知万博で先端・環境技術を展示する方針を表明している県が、県内の企業100社から聞き取り調査を始めた。各企業が研究、開発してきた技術や環境に配慮した取り組みを紹介するための調査で、来年度半ばまで続け、「ものづくり愛知」がアピールできる展示方法を詰めていく考え。
 万博で県は、青少年公園地区と海上(かいしょ)地区の両会場にパビリオンを建設する。青少年地区のテーマは「環業革命への力」。資源を浪費する社会のあり方を反省、環境問題を解決するための新産業などを探るのが狙い。目玉となる「未来エコ工場」は、からくり人形をガイド役にして「愛知」の技術を紹介。800平方メートルの展示スペースがあり、県は地元企業に先端技術や研究内容を披露してもらう構想を立てている。
 このため、県は調査で大手だけでなく中小企業にまで手を広げ、最先端の技術や環境問題に役立つリサイクル技術などの出展を求めていく。自動車部品製造会社などの聞き取り調査は今月から本格化しており、今年度中に50社程度の調査を終えるという。

●日本航空、全日空、日本エアシステムの大手航空3社は25日、愛知万博の「オフィシャルエアライン」となることを博覧会協会と合意した。今後、愛知万博のPR活動などをする。
協会によると、3社は、協会から愛知万博のシンボルマークや、マスコットキャラクター「モリゾー」「キッコロ」を無償で使用する権利を取得したほか、博覧会協会に航空券を提供したり、海外から万博に訪れる要人に対する特別サービスを実施したりする。
協会では、航空機の機体に万博マスコットのデカール(大型広告シール)を張るように三社に要望しており、これが実現すれば、「モリゾー」や「キッコロ」が国内外の空を飛び回ることになる。

●愛知万博に向け、国土交通省中部地方整備局や県、地元市町でつくる連絡会は25日、会場周辺などで進められる町並み整備の51事業をまとめた。連絡会は、国内外の来場者を気持ちよく迎え、地元の生活環境の向上にもつなげようと6月に発足。各団体が万博に向けて個別に取り組んでいたハード、ソフトの町並み整備に関し連携・重点化を進め、全体のレベルアップを目指している。
例えば、名古屋市街地では市が四十五カ所で歩行者案内板を新設、改良。一部は5カ国語(英語、ハングルなど)表記する。会場へのアクセスルートとなる県道名古屋−長久手線などでは、一部区間で県が電線類の地中化を進め、会場隣接地では長久手町が桜の「花見の場」を整備する。また、瀬戸市はシャトルバスルート沿線などに、地元産のせとものを利用したプランターを並べる。中部地方整備局は市民団体などと協力、会場へのアクセス手段として自転車を利用してもらうため「自転車グリーンマップ」を作成。自転車が安全に通行できる推奨ルートなどを選定する。
連絡会は今回、こうしたハード面などの「重点整備エリア」23事業、美化プログラムの28事業をそれぞれ「ウェルカムマップ」にまとめ、公共施設などで配布する。企業や住民にも、町並み向上の取り組みに参加、協力を求めていく。

●愛知県は26日、愛知万博にイスラム会議機構(本部=サウジアラビア)が参加を表明したと発表した。国際機関の参加は6つ目。このほか55カ国が参加を表明している。

●愛知万博の県パビリオン総合プロデューサーを務めている山根一眞氏が、県パビリオンの展示や催事の具体化作業のため、県内の市町村に直接訪問して地元の取り組みや意見を聞く意見交換会が26日、瀬戸市であった。瀬戸市の瀬戸陶磁器卸商業組合、県陶磁器工業協同組合など9団体と同市の関係者らと意見を述べ合った。
瀬戸青年会議所から「瀬戸物をオールラウンドに体験できるような場所を設けたい。例えば、セラミックサウンドとして陶器を使った楽器による演奏ができる場を設けたらどうか」と話すと、山根さんは「世界一薄い焼き物による楽器とか、巨大楽器を陶器で作ってみてはどうか。瀬戸名物のウナギと陶器で『愛知県うな丼』サミットを企画しては」とのアドバイスもあったほか、「瀬戸のとびっきりの茶器セットを最重要人物(VIP)ルームに用意したい」などと、瀬戸PRに向けた具体策にも言及した。さらに、「海上の森」への取り組みについて聞かれた増岡錦也市長は、「環境には徹底的にこだわってやっていきたい。明治時代に全国に先駆けて砂防工事が行われ、その後、戦中の伐採を植林で回復して今の自然ができた」と話すと、山根氏は「素晴らしい遺産だ。ぜひ、パビリオンに採り入れたい」と意欲を見せていた。

●愛知万博に出展される県パビリオンの総合プロデューサーの山根一眞さんが27日、半田市役所を訪れ、パビリオンの展示などの具体化に向けて、榊原伊三市長らと意見交換した。 山根さんは、名古屋市を除く県内の市町村から要望や意見を聞こうと、同様の意見交換会を各地で開いている。知多半島で初の意見交換会には、山根さんや県の万博担当部局幹部、市幹部、地元の半田山車祭り保存会長ら9人が出席した。
山根さんは、「愛知の文化を伝えるものとして山車とからくりはかかせない」と万博会場への山車展示、実演を要望した。これに対し、榊原市長らは「万博を機に半田の山車を世界に発信したい」との考えを示し、「(費用や運送の問題など)条件がそろえば全面的に協力したい」と話した。

●愛知万博の県パビリオン総合プロデューサーの山根一眞さんが27日、高浜市と西尾市を訪れ、特産の「三州瓦」や「西尾茶」の説明を聞き、「愛知の自慢できるものや、こだわりを可能な限りパビリオンに生かしたい」と語った。山根さんはパビリオンの構想を練るため県内の市町村を直接訪ねて意見交換しており、前日から尾張、知多地方を巡った後、三河地方に入った。
高浜市のかわら美術館では、森市長や瓦業者らと懇談。瓦は古瓦の粉末を混ぜてリサイクルしている、との説明を受けて、「愛知万博のテーマは"環境"。パビリオンの建物や周辺の景観に瓦をどのように取り入れるか、大きな検討材料だ」と瓦業者の協力を要請していた。西尾市では、来年四月に開館予定の「岩瀬文庫」を見学したあと、茶の製造業者でもある本田市長らと懇談。「パビリオンのVIPルームで"これが日本の抹茶"と海外の人にアピールする接待ができないか。矢作川上流の清水を使い、和服の子供たちにお点前してもらうのも妙案」などと相談していた。

●ノリタケカンパニーリミテド、東陶機器、日本ガイシ、日本特殊陶業の森村グループ4社は27日、グループの歴史や製品を紹介する「森村・大倉記念館 CANVAS(キャンバス)」を共同で設立する、と発表した。愛知万博に協賛するパートナーシップ事業として同日、博覧会協会に登録し、万博開催直前の2005年3月5日開業を予定している。

●外務省の動き鈍い。自民党の2005年日本国際博覧会(愛・地球博)推進議員連盟と中部国際空港建設推進議員協議会の合同総会が27日午前、都内の党本部で開かれ、両議連会長の橋本龍太郎元首相が博覧会への参加国の招請活動で、外務省の取り組み不足をやり玉に挙げた。
橋本元首相は愛・地球博に英国やイタリアなど欧州の主要国がまだ参加を表明していないことに懸念を表明し、「参加表明していない欧州の外相がせっかく来日しているのに、万博が議論にならない」と指摘。さらに「『大使の分際で(招致活動に)出しゃばることではないので、相手国に話をつないでいません』と言う大使がいる」と痛烈に批判した。

●愛・地球博の参加国の拡大を図ろうと、自民党県連は27日、幹部が都内で、国会議員らでつくる各国の友好議員連盟トップを訪問。参加を表明していない国や機関の招請に協力を求めた。
この日午前中に開かれた同党の万博推進議員連盟などの合同総会では、博覧会の渡辺泰造政府代表が出席者に「表明のない英国やイタリアなどの招請に協力を」と要請。同議連会長の橋本龍太郎元首相も外務省の動きが鈍いと指摘し、議員連盟などへの働きかけを呼び掛ける場面があった。総会終了後、自民党県連は杉浦正健会長、高橋則行会長代理、山本和明幹事長らが北欧やオーストラリアなど十国余の各連盟会長らを"行脚"。法務省ではニュージーランド友好議員連盟の会長を務める森山真弓大臣に、同国の参加が実現するよう橋渡し役として協力を求めた。森山大臣は「分かりました」と応じ、参加費用や会場の状況に関心を寄せていた。

●博覧会協会は、愛知万博のあり方について公開の場で議論する「市民参加の検証と拡充のためのフォーラム」を、来月から2カ月間、連続8回にわたり開催する。会議が形がい化しないよう万博推進派だけでなく、万博参加に積極的でない市民団体にも発言の機会を設けて問題点を浮かび上がらせ、今後の方向性を打ち出す。
愛知万博では「地球市民村」や「市民交流プラザ」で市民団体が企画した催事が行われるが、「協会から市民への呼び掛けが不十分で、住民不在のまま計画が進んでいる」との不満も少なくない。このため、博覧会協会はNPOの支援組織「市民フォーラム21・NPOセンター」代表理事の後房雄名古屋大教授(48)をコーディネーターに、公募で集まった市民団体代表らの生の声を聞くことにした。
テーマは、協会と市民がどのような点に留意して市民参加に取り組んでいくかに絞る。博覧会協会は「推進派以外にも間口を広げるのは、主催者としてはある意味で冒険的な試みだが、市民参加を実のあるものにするには不可欠と判断した」と話している。

●県国際博推進局は28日、ヨルダンが愛知万博に参加表明したことを明らかにした。正式表明はこれで56か国、6国際機関となった。

●博覧会協会は、夜間の会場ライトアップについて、岐阜提灯(ちょうちん)や美濃和紙など中部地方伝統のあかり文化を採り入れ、環境や人に優しい照明を演出する方針を固めた。計画では、高架式の空中回廊「グローバル・ループ」の約50カ所に、1300年の伝統がある美濃和紙を使ったあんどんや岐阜提灯を設置する。長良川の鵜飼いに使われるかがり火のような照明も検討している。協会は、美濃和紙を素材に岐阜県美濃市で毎秋開かれているイベント「美濃和紙あかりアート展」を参考にする。光源も環境万博にふさわしく、省エネの新技術を使う方向で進めている。石井幹子・照明プロデューサーは「会場全体が大きなぼんぼりのようになるようなイメージを描いており、来場者に"懐かしいあかり"を見せられれば」と話している。
夜間営業は青少年公園会場で「国際的な交流を行うにぎわいの場」(博覧会協会)として実施する。閉園時間は3月25日−4月25日が午後9時半、同26日−9月25日が午後10時。

●愛知万博、中部国際空港の2大プロジェクトの愛知県への経済効果(00〜05年度)は1兆6202億円。UFJ総合研究所が28日、こんな試算結果を公表した。同総研はこの効果を持続させるため、空港近隣への企業誘致推進を提言している。
両プロジェクトに伴う愛知県のGDP(国内総生産)の押し上げ効果を試算した。それによると、04年度までの準備段階では、建設需要増などで1兆4439億円、万博開催・空港開港年に当たる05年度には、万博来場者の消費や空港旅客・物流の増加で1762億円の効果が見込まれる。
県のGDPは全国の1割弱に当たる年間約32兆円(00年度)で、年率換算では00〜05年度にかけて毎年0・5〜1・3%程度の押し上げ効果が期待できるという。同総研では06年度以降も、旅客や貨物の増加に加え、空港近隣の生産活動などが期待できると予想。空港近隣では施設建設や生産増などで最高約4000億円の経済効果が見込めるとしている。また、このためには空港近隣への積極的な企業誘致が不可欠だとして、行政などに対し、補助金交付や経済特区の実現などの施策推進も求めた。

●県議会・国際博覧会推進特別委員会が28日開かれ、愛知万博の海上地区、青少年公園地区の両会場を結ぶゴンドラ計画を巡り、計画反対派の堀一委員(共産)と、地元の瀬戸市選出県議で計画推進派の長江幸彦委員(民主)の意見が激しく対立した。
委員会では、堀委員が「地元の瀬戸市上之山3丁目住民はプライバシーを侵害されると住民総意で反対している」として博覧会協会の姿勢をただした。博覧会協会では、12月1日夜、瀬戸市内で地元説明会を開き、ゴンドラ計画について住民の理解を求める予定でおり、協会の坂本春生事務総長は、「プライバシー問題が解決するよう、真剣に考えており、計画の中身については先に住民に話すのが大切」と理解を求めた。
これに対し、長江委員が「上之山3丁目の(ゴンドラルートに面した)5、6戸の少数の住民のわがままだ。県や(博覧会)協会は弱腰だ。少数の住民のわがままを守る必要はない」などと批判。さらに、堀委員に対しても「この委員会は、博覧会の推進のための委員会だ。堀委員にも退席してもらいたいと思うぐらいだ」と発言した。
これに、堀委員が「いかにも乱暴だ。断じて認められない。退席を求める権限もないはずだ。撤回せよ。批判的な意見を排除するのは間違いだ」と反発した。
また、海上地区の政府館「里山日本館」の建設について、坂本事務総長は「暫定的なものと聞いている」とし、恒久施設でなく仮設施設として建設計画が進んでいることを認めた。一方、発展途上国の資金的な出展支援については、博覧会協会が行わず、「外務省など国が支援する」との考えを示した。

●県議会の国際博覧会推進特別委員会が28日開かれ、東海地震など大規模災害時の来場者の避難誘導について、坂本春生博覧会協会事務総長は、強化地域に指定されている県や長久手町の地域防災計画に準じて対応していく考えを明らかにした。東海地震の警戒宣言が発令された場合、多くの帰宅困難者が生じることが予想されることから、県は10月に改定した地域防災計画で、国の判定会招集時に帰宅を促すことを盛り込んでいる。
博覧会協会はまた、災害対策として、青少年公園会場のメーン通路となる全長2・6キロの「グローバル・ループ」(空中回廊)の200メートルごとに出口を設置。芝生が広がる「愛・地球広場」を来場者の避難誘導場所にするとともに、大スクリーンで災害情報を提供する。

●愛知万博の青少年公園会場と海上の森を結ぶゴンドラ計画の地元説明会が1日、瀬戸市上之山町3丁目集会所で開かれた。
「ゴンドラから家の中がのぞかれる」と訴えていた地元住民らに対して、博覧会協会はゴンドラが住宅地に差し掛かると自動的に曇って外が見えなくなる「瞬間調光曇りガラス」を採用する考えを示した。しかし、地元住民らは、保安林内にゴンドラの支柱を建てることなどについて協会側の姿勢をただし「環境や安全面への配慮に欠け、容認できない」と反発。時間切れを理由に質疑の途中で切り上げて退席した瀬戸市職員らに「逃げるのか」などと怒号も飛び、一時険悪な雰囲気になった。

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