HOME > 資料集 > 万博問題特集 >

<<バックナンバーのインデックスへ

【万博】2002.11.19-11.25の動き

●自民党の2005年日本国際博覧会推進議員連盟の顧問を務める野中広務・自民党元幹事長が18日、愛知万博の会場となる愛知青少年公園と海上の森を視察した。国が仮設を検討している海上の森の政府館について野中氏は「可能な限り残しておくことが大切」として、当初の方針通り恒久施設が望ましいとの考えを示した。

●博覧会協会は19日、世界最小の特殊ICチップを埋め込んだ入場券システムを正式発表した。ICチップのデータで、パビリオンの入場予約や会場内の混雑状況の把握などが可能になるのが特徴で、開幕1年半前の来年9月から売り出す。
入場券はクレジットカードほどの大きさで、デザインはマスコットキャラクターの「キッコロ」と「モリゾー」が使われる見通し。協会では、来年3月までに具体的なデザインを決める。

●世界各国の外交官らと、県の行政や経済界の代表者が親交を深める名古屋国際交流懇談会が19日、名古屋市中区のホテルで開かれた。
県や中部経済連合会などでつくる実行委員会が年1回開催。今回は、オーストラリア、ベルギー両国の特命全権大使や、在名古屋の総領事ら10カ国計25人の外交官が出席。神田真秋県知事や太田宏次中経連会長ら約80人の行政や財界関係者が迎えた。神田知事は、2005年の愛知万博の開催や、中部国際空港の開港などを挙げ「こうした事業を通して世界平和に貢献したい」とあいさつ。オーストラリアのジョン・フィリップ・マッカーシー特命全権大使も「産業が盛んな中部は国際的にも大きな経済力を持っており、私たちも感心を寄せている」と話した。

●地元財界や県による「産業観光推進委員会」は05年度までの推進計画を策定。産業観光を広域・国際的に広げるため、万博との連携を重視。推進計画具体化へ、来年度にも産業観光施設や万博協会などの実務者による「万博連絡会」設置する。

●愛知県議会は20日、愛知万博に対する県内87市町村の要望をとりまとめ、神田知事に提出した。要望は、「全国、世界への愛知万博の広報強化」「市町村の協賛イベントへの支援と財政援助」「会場整備などへの県産品の活用」など5点で、寺西学議長が神田知事に手渡した。
県議会は8月下旬から、県内の13か所で意見交換会を実施。正副議長と国際博推進特別委員会、産業労働委員会の正副委員長が、名古屋市を除く87市町村の首長、議会代表らと、愛知万博をどのように盛り上げていくのかなどを話し合った。
寺西議長は「もっと万博のPRに努め、市町村の万博協賛行事には柔軟に対応し、予算をしっかりと確保してほしい」などと知事に伝えた。

●博覧会協会は20日、愛知万博の青少年会場周辺に生息するオオタカの餌場を増やすため、周辺の森林3か所計14ヘクタールで検討していた手入れを年内に始めることを決めた。
会場の造成工事などで、オオタカが利用している餌場が減少するため、先月、オオタカの保護策について話し合う専門家の調査検討会で方針を決め、協会が具体的な手入れの方法などを検討してきた。3か所では間伐や下草刈りをすることで、エサとなるハトやカラスが飛びやすくなり、オオタカが狩りをしやすくなる。協会は、会場の撤去工事が終わる2006年3月まで年に1回の割合で手入れしていく。

●愛知県は21日、ペットボトルなどを燃やさずに処理して水素を取り出し、燃料電池のエネルギー源とする新技術を、愛知万博で展示することを明らかにした。ゴミを燃やさないため、二酸化炭素やダイオキシンが出ないのが特徴。県では「世界でも例がない技術では」としている。
ペットボトルや木材片をパウダー状に砕き、1000度以上の高温で蒸発させて水素を取り出す技術で、文部科学省の委託を受けた県や名古屋大学などが1999年度から研究していた。 1時間あたり20キロを処理し、一般家庭6世帯分の消費電力にあたる30キロ・ワットを発電できる。県では、愛知青少年公園に作られる外国政府館「グローバル・コモン」の1つに新エネルギー展示室を設置、来場者に見てもらいたい考え。

●博覧会協会は21日、愛知万博の目標入場者数1500万人のうち、5割強の約800万人について、来年9月に売り出す開幕1年半前券で確保を目指す方針を明らかにした。
協会によると、国内の博覧会では、販売された入場券総数のうち、前売り券の割合が徐々に高まっており、つくば科学博(1985年)では全体の18・6%、大阪花博(90年)は48%が前売り券だった。このため、協会では「前売り券をいかに売るかが、入場目標を達成できるかどうかの大きなカギ」とみて、当日販売券より2割安く設定された1年半前券の販売目標を、大阪花博の48%を上回る5割強、約800万枚とした。こうした目標を達成するため、協会では今月末、愛知県や名古屋市、中経連などと販売推進会議(座長・中村利雄博覧会協会副事務総長)を発足させ、1年半前券の売り出しに向けた全国的なPRに力を入れる。

●愛知万博の青少年公園と海上の両会場を結ぶゴンドラ計画について、博覧会協会は、ゴンドラが住宅地に差し掛かると窓ガラスが自動的に曇り、外が見えなくなるスモーク装置を取りつける方針を固めた。ルート周辺住民がプライバシー侵害を理由に建設に反対していることに配慮した。協会は、来月早々にも住民説明会を開き、理解を求める。
導入されるのは、2枚の窓ガラスの間に挟み込んだ液晶分子に通電することで、透明にしたり、曇らせたりするシステム。液晶に電気を通すと、分子配列が規則正しくなり、ガラスが透明に。通電をやめると、分子が散乱して曇りガラスになる。
博覧会協会は、窓のスモーク装置に加え、高さを20−25メートルにすることで、ルートと住宅との間にある樹木が、視界をある程度さえぎることができるとしている。ゴンドラは長さ約2キロ、搬器1台の定員は8人で、70−75台とする方向で検討中。秒速は6メートルで、1時間あたり約2400人の輸送能力を見込んでいる。
このスモーク装置は、神戸市の「六甲ライナー」が既に、周辺住民のプライバシー保護のために導入している。名古屋市中村区のジェイアールセントラルタワーズのエレベーターでは、逆に利用客の展望に配慮して、見晴らしのよくない低層階でスモークがかかるようになっている。

●愛知万博の輸送対策協議会が22日、名古屋市中村区の博覧会協会で開かれ、来場者に渋滞情報などを提供する「情報提供専門部会」を来月に設置することを決めた。同部会ではITS(高度道路交通システム)の利用など円滑な交通を確保するための方策を検討する。
また、地下鉄と東部丘陵線の乗り換え対策についても報告があった。藤ケ丘駅(名古屋市名東区)で予想される滞留客の対策では、JRや愛知環状鉄道を使った迂回(うかい)ルートが必要との意見が出た。

●愛知万博に反対する市民グループなどが24日、初のシンポジウム「愛知万博、いまここが問題だ」を名古屋市中区新栄町のYWCAで開いた。約40人が出席。さまざまな問題点を指摘している10団体が3時間余かけ、現状や今後の見通しについて報告した。
報告は、会場となる海上の森について保護・保全のための市民条例づくりをしている団体、会場を結ぶゴンドラ計画の撤回を求める地元町内会、会場となる青少年公園で万博のため施設が取り壊されることに関し、費用支出の差し止め訴訟を起こしている団体など。
出席者からは「来年2月の知事選で、ぜひ私たちの知事を誕生させたい」「来春の統一地方選で、大型事業に否定的な議員を増やそう」といった意見も出された。

▲ このページの先頭にもどる