【万博】2002.10.22-10.28の動き
●名古屋商工会議所は21日、愛知万博への出展を表明した国に対して、「何を展示したら人気を呼べるか」といった市場調査やビジネス支援を行う組織をスタートさせる、と発表した。名称は、「愛知・名古屋国際ビジネス・アクセス・センター」(略称はI―BAC=アイ・バック)で、28日に名商ビル(名古屋市中区栄)内に事務局を設置する。
構成メンバーは、名商のほか愛知県、名古屋市、名古屋港管理組合などで、会長には磯村巌・名商会頭、顧問に神田愛知県知事、松原名古屋市長らが就く。運営資金は、1985年3月から4月にかけて名古屋市で開催された「ワールド・インポート・フェア ナゴヤ」(約188万人入場)の入場料収入約6億円をそっくり引き継ぐことで県や市と合意している。すでに「名古屋輸入博記念財団」は、10月1日に解散決議をした。
●2010年の国際博覧会に名乗りを上げているロシアの万博政府代表に、旧ソ連大統領のミハイル・ゴルバチョフ氏(71)が内定したことが22日、外務省関係者の話でわかった。ロシアは愛知万博への参加を表明しており、渡辺泰造・愛知万博政府代表は「国際的に知名度の高いゴルバチョフ氏の就任で、愛知万博への関心も高まる」と期待している。
●愛知万博に出展する国や国際機関などに、会場計画や参加手続きなどを説明する国際企画会議が22日、23日と名古屋市内のホテルで、74か国、5国際機関の関係者ら125人が出席し、行われた。
会議では、豊田章一郎・博覧会協会長が「万博の歴史に残るような質の高い出展をお願いしたい」とあいさつ。渡辺泰造・愛知万博政府代表は「一か国では解決できない山積する国際問題を、地球規模でどう取り組むのかを考える場だ」などと開催の意義を強調した。
続いて、協会側がビデオなどを使って会場計画を説明、公式ソングを披露した。22日午後には主会場となる愛知青少年公園(愛知県長久手町)へ移動し、外国出展施設の建設予定地などを視察した。視察後、博覧会国際事務局(BIE)のロセルタレス事務局長は「愛知万博成功の条件として、テーマなどを世界に広く発信していくことが必要」と述べた。
●博覧会協会は23日、愛知万博への公式参加を目指す非営利組織(NPO)が、米ワシントンに設立されたことを明らかにした。坂本春生・同協会事務総長は「米国の参加は万博成功のカギ。ぜひ実現するよう期待している」と歓迎している。
同NPOは22、23日に開かれた愛知万博の国際企画会議に非公式で出席しており、代表者は「自然の叡智というテーマは非常に素晴らしい。我々の計画が米政府に公認されるよう強く望む」と話した。
●博覧会協会は23日、愛知青少年公園会場の整備構想のうち、外国館が並ぶグローバル・コモン(地球共有地)と名付けた6つの地区の概要を発表した。
6つの地区を五大陸と地域に見立て、アジアは「オアシス」、南北アメリカは「湖畔」、欧州は「花」と「風」、アフリカは「芸術」、オセアニア・東南アジアは「水辺」という概念を設定。各国政府や国際機関などに展示館をデザインしてもらう。
6つの地区は1周約2・6キロ、幅21メートルの空中回廊「グローバル・ループ」(地球の輪)で結ばれ、入場客は地球一周の疑似体験ができる。
●名古屋市が愛知万博の目玉事業として、同市守山区志段味地区に計画している「資源循環型モデル住宅」について同市は24日、愛知万博開幕までに7戸程度を試験的に建設する方針を明らかにした。体験入居者を公募し、最新技術を取り入れた環境型住宅での生活ぶりを、壮大な実験場として公開する考え。
モデル住宅の基本計画は、名古屋市出身で、ニューヨーク在住の世界的芸術家荒川修作さんの構想をもとに策定した。太陽光など自然エネルギーや生ごみ処理施設などを取り入れるだけでなく、家族の触れあいを深め、豊かな人間関係が築けるような住宅づくりを目指す。
市によると、荒川さんは「人間の体は多少の起伏に慣らしたほうがいい」というのが持論。街のデザインには曲線を多用、モデル住宅7戸程度を建設する約2000平方メートルの敷地には、緩やかなスロープを設け、日常生活で起伏を体験する試みも取り入れる。
来年度に実施設計をし、着工する。将来的には市と市住宅供給公社の所有する住宅用地約6・7ヘクタールに400−600戸規模の住宅を建設する計画だ。
●国土交通省中部地方整備局は25日、愛知万博の日本政府館と里山日本館の設計業者を選定した。メーン会場の愛知青少年公園の日本政府館は日本設計(東京都新宿区)、海上会場の里山日本館は山下設計(東京都品川区)に決まった。同省では、それぞれ5業者からアイデアを募り、選考を進めていた。日本政府館は万博の中心施設、里山日本館は神話をイメージした施設という同省の考え方と、両社の提案が最も合致したという。両社は来年3月末までに設計を終える予定。