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【万博】2002.09.17-09.23の動き

●愛知万博の海上会場に造られる市民交流広場(約5000平方メートル)が、自然の地形を生かして、客席部分が棚田形式の野外劇場になることが16日、わかった。万博のテーマである「自然の叡智」の考えに沿い、起伏の多い森の地形をそのまま活用することで、工事量を減らし、動植物への影響を少なくする狙い。市民交流広場は、博覧会協会が海上会場のほぼ中心に造る。入場者のために、音楽会などいろいろな催事が開かれる。
 計画では、予定地の北東側が低く、南西に向かって緩やかな階段状になっている自然の地形をそのまま生かす。一番低い平地の部分を舞台など催事の中心場所とする。客席部分は扇状に広がり、入場者は段に座って催事を見ることになる。協会は当初、広場を造成して、全体を完全な平地にする予定だった。しかし、起伏のある土地を切り開くという方針について、「自然と技術社会の調和を目指す万博の狙いとは逆方向で、従来型開発ではないか」「森の地形を生かすという海上会場の設計方針から外れる」という異論が出て、再検討した。棚田形式にすることで、完全に造成してしまうよりも自然環境への影響を抑えることができる。また、交流広場全体が野外劇場のような形になり、広場での催事が、高いところからよく見えるという利点もある。協会は現在、棚田の段数や段の形を検討中で、今年中には具体的な建設計画を決める。

●尾張旭市の民間団体や企業、個人が愛知万博を支援する「愛・地球博サポートあさひ」(仮称)の設立総会が17日開かれ、正式に発足した。
会長に内田剱之助・同市商工会長を選出し、当面、会員目標を団体と企業50、個人300に増やすことを申し合わせた。また、組織の名称を来月12、13の両日に開催する市民祭で公募するほか、来年1月13日の開幕800日前イベントを独自企画する計画。

●日本、モンゴル両国で活躍する歌手のオユンナさんが17日、モンゴルのツァンチド文部大臣の親書を携えて、県庁を訪れた。親書は、27日のモンゴル国立民族楽器オーケストラの名古屋公演(県芸術劇場)へのお礼と愛知万博の成功を祈るもので、オユンナさんから長谷川副知事に手渡された。

●瀬戸市の海上の森で希少種のハチクマの営巣が見つかった問題で、名古屋市の市民団体「海上の森保護保全連絡協議会」(高岡立明代表)は17日、愛知万博協会にハチクマの保護策などについて尋ねる質問状を提出した。質問状は「ハチクマ保護策をどう考えるか」「2年連続で営巣が確認されたのに、愛知万博協会の海上会場地区計画モニタリング委員会になぜ諮らなかったのか」など3項目を質問。30日までに回答するよう求めている。

●愛知万博の計画を市民の立場で議論するフォローアップ会議(議長・宇佐見大司愛知学院大教授)が18日、名古屋市中村区の博覧会協会で開かれ、海上の森会場の安全性などを話し合った。海上の森会場では、主な移動通路が幅約4・5メートルの双方向となっていることについて、委員から混雑時の安全面に疑問が出た。協会側は、現段階のシミレーションでは安全性は保たれていると説明。今後、通路を区分して観客がぶつからないように配慮するなど、さらに検討していくとした。

●今月9日に在名古屋米国領事館の商務領事に就任したばかりのスティーブン・J・アンダーソン氏が18日、県公館に神田真秋知事を表敬訪問した。神田知事は、愛知万博への米国の参加をめぐって「県内では15市町村が米国の15都市と姉妹提携をしており、アメリカとの結びつきも深い。ぜひ会場に星条旗を掲げたい」と語った。アンダーソン氏は、「国として参加はできないが、州とか企業とかでの形で協力したい」と参加に前向きな姿勢を示した。

●愛知県国際博推進局は18日、ベトナムが愛知万博に参加表明したことを明らかにした。外交ルートを通じての正式表明は、これで46か国目。

●中部電力は18日、愛知万博で、同社などが開発した300キロワット級溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)と廃棄物から燃料を取り出す廃棄物ガス化装置を組み合わせたシステムを稼働させ、パビリオンの一部の電力として提供する計画を発表した。
燃料電池とごみから生まれる廃棄物ガスを組み合わせた発電システムの実用化は初めて。廃棄物ガスは、万博会場で集めたごみから取り出す。中電は近く、石川島播磨重工業(東京都)と共同で、同様のシステムによる発電実証試験を、新名古屋火力発電所(名古屋市港区)で始める。MCFCは、既に実用化されている自動車や家庭用の固体高分子形燃料電池やリン酸形燃料電池と違い、廃棄物ガスを燃料として使用できるのが特徴。MCFCと廃棄物ガス化の組み合わせによる廃棄物発電は、従来の蒸気タービン方式と比べ小規模でも高い発電効率(40%以上)が得られるため「廃棄物を有効活用でき、二酸化炭素(CO2)削減に貢献できる技術」(中電)と次世代のクリーンエネルギーとしてアピールする。MCFCは、中電を中心とする電力会社や関連メーカーでつくるMCFC研究組合(本部・東京都)が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受けて、1999年から開発を進めてきた。同組合の試験所がある中電の川越火力発電所(三重県川越町)では、千キロワット級試験機が実証運転を終えている。

●博覧会協会の副事務総長に9月1日付で就任した、前中小企業庁長官の中村利雄氏(56)は18日、就任後、初めて会見を開き、「名古屋出身でもあり、地元・愛知での万博開催に特別な思いがある。地元の意気込みを世界の人たちにも分かってもらえるように頑張りたい」と抱負を語った。
万博のテーマについて、中村氏は「自然の叡智は共感できる、タイムリーな理念だ」とし、「記憶に残り、印象的で、楽しい万博にしたい」と強調した。また、目標入場者数の1500万人については、「チケット販売の宣伝活動などを強化すれば、達成可能な数字だと思う」などと語った。中村氏は、名古屋市中川区生まれで、名古屋大法学部卒業後、1970年に旧通産省に入省。総務審議官、貿易局長などを経て、2000年6月から昨年7月まで中小企業庁長官を務めた。

●愛知万博の運営に協力するボランティアのあり方を有識者たちが考える意見交換会は19日、ボランティア体制の基本計画骨子をまとめた。骨子によると、ボランティアセンター(仮称)を今後、設置する。センターは、国際、福祉、学生、エコ、一般参加の5部会からなり。各部会は、ボランティアの活動計画を立てる。

●自民党県連(杉浦正健会長)の政経セミナーが19日、名古屋市内のホテルで開かれ、党員や支持者ら約1500人が出席した。来年2月の知事選、統一地方選に向けて結束を固めた。セミナーでは平沼赳夫経産相が講演した。経済の活性化に向けての政策について説明し、「小泉改革はまだ途中。本格的な結果が出るまでにはもう少し時間が必要だ」などと述べた。セミナー後の懇親会には、神田真秋知事や松原武久名古屋市長、県選出の国会議員らも出席。平沼経産相は「愛知万博はこれから魂を入れる大切な時。全力を尽くしたい」と話した。

●万博主会場となる協会の青少年公園造成工事は、13社が見積もり提出した1区で、熊谷組が19億5000万円で落札。2区は11社が応募し、鹿島が11億4000万円で受注した。

●愛知万博のメーン会場となる愛知青少年公で19日、既存の管理棟や宿泊棟の取り壊し工事が始まった。博覧会協会のパビリオン建設に向け、工事がいよいよ本格化する。足場の設置や電気配線の除去などの作業がほぼ完了したことから、県はこの日午前八時半すぎ、鉄筋コンクリート3階建ての管理棟の取り壊しを始めた。パワーショベルの先端に大きなハサミを取り付けた重機9台が、ガリガリという大音響をあげながら、コンクリート壁を砕いていった。作業で出た25メートルプール44杯分(6万6000トン)のコンクリート片は、公園内でさらに細かく破砕し、万博会場内の道路の材料としてリサイクルされる。 博覧会協会は来月17日、小泉首相らを招いて起工式を開き、パビリオンなどの建設に取りかかる。

●愛知万博のPRと会場建設資金集めを目的に、博覧会協会初の協賛レースが19日夜、愛知県蒲郡市の蒲郡競艇場であった。協会の豊田章一郎会長や坂本春生事務総長はじめ、名古屋商工会議所の磯村巌会頭、松原武久名古屋市長ら政財界のトップや関係者300人余りが観戦した。協賛レースは、今月14日から6日間の日程で開かれ、この日が優勝決定戦。運営する蒲郡市などは売り上げを約18億円と見込み、3%の約5400万円を協会に寄付する予定。

●愛・地球博(愛知万博)でPR役の広報プロデューサーを務めるタレントのマリ・クリスティーヌさん(48)が20日、中日新聞社を訪れ、大島寅夫専務と懇談。「子供たちが楽しめる万博にしたい。万博と同時に愛知県を世界にPRしたい」と意欲を語った。

●博覧会協会は20日、愛知万博の主要施設の起工式を来月17日午前10時半から愛知青少年公園の大芝生苑で開く、と正式に発表した。式には小泉首相や平沼経済産業相、同協会の豊田章一郎会長ら数百人が出席する。

●愛知県瀬戸市の市民グループが愛知万博で、主会場の青少年公園にホタルを飛ばそうという計画が足踏みしている。万博計画が環境に与える影響を検討している博覧会協会の環境影響評価アドバイザーが、「ホタルを人工的に繁殖させると、公園内の生態系が崩れる」と待ったをかけたためだ。市民グループは現在、生態系に影響を与えない方策に頭をひねっている。
ホタルの乱舞を計画しているのは、瀬戸市の「定光寺ほたるの里の会」(加藤収会長)。同市北部でゲンジボタルの保護、繁殖活動に取り組み、毎年6月に市民に公開している。公開は10日間だが、延べ1万人が訪れるという。愛知万博では、同市南部の「海上の森」も会場となっているため、同会は「ホタルの光で地元の万博を盛り上げよう」と、博覧会協会に提案した。当初は海上の森でホタルを飛ばそうと計画したが、夕方の閉園が検討されているため、午後十時まで開園する青少年公園に変更した。
この計画に対し、環境影響評価アドバイザーのうち自然科学系の大学教授らが、「ホタルの繁殖には富栄養化した水が必要で、そうなると池の生態系が変わってしまう」とストップをかけた。メンバーの一人は「ホタルを飛ばすというアイデア自体を否定するわけではない」としながらも、「現在ある自然環境を、可能な限りそのまま活用するのが万博の理念だと思う」と話している。 里の会では、万博を機に青少年公園をホタルの舞う公園にしたいと考えており、今後は長久手町のホタル保護団体とも連携していく。加藤繁紀事務局長は「ホタルを繁殖させた水路の水を循環させて外に出さないようにしたり、場所を変えたりなど、何らかの方策を考えたい」と話している。

●愛知万博の主会場となる愛知青少年公園会場と海上会場を結ぶゴンドラ計画を巡り、ルート直近にある瀬戸市上之山三丁目町内会=岡田実会長(46)=は21日、会合を開き、建設差し止めを求める住民訴訟の検討に入った。
博覧会協会のゴンドラ計画について、町内会は「プライバシー配慮のための納得のいく説明が得られない」などとして強く反発している。この日の会合では初めて弁護士を招き、住民のプライバシーが長期にわたって侵害される不安や、ゴンドラの支柱が保安林内に建てられれば、土砂崩れの危険性があるなどの意見が出た。岡田会長は「協会は、要求している3度目の説明会も開かず、住民無視も甚だしい」と話している。ゴンドラは長さ2キロで、博覧会協会が、会場間で来場者を輸送するために建設する。

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