【万博】2002.08.27-09.02の動き
●愛知万博に向けて、瀬戸市は26日、万博に訪れる観光客や関係者を一般家庭などに宿泊させる民泊事業を推進する計画を明らかにした。民泊は、ホテルや旅館とは違って、国内外から訪れる人たちに地域独自の家庭の文化に触れ、交流を深めてもらう有効な手段と受け止められている。同市は、宿泊に伴う低廉な必要経費分だけを宿泊者に支払ってもらい、市内の登録家庭への民泊を促したい考えだ。本年度中に、旅館業法など法制面も考慮した事業規則や、具体的な運営方法を検討。15年度には受け入れ家庭と宿泊者の募集を始め、万博が開幕する以前の16年度中に事業をスタートさせる計画。万博後も、事業は継続する。
計画推進に当たり、同市が市民3000人を対象にした意向調査では、「制約はあるが受け入れたい」という意見も含め、1割弱の人が前向きな回答を寄せた。市国際博覧会推進課は「アンケートで浮き彫りとなった、受け入れに際しての障害や制約を、どの程度解消できるかが事業推進のカギ。宿泊者の身元確認や緊急時の対応など、事務局の役割を明確にして、登録家庭をできるだけ多くしたい」と話している。
●常滑競艇場を運営する常滑市は28日、愛知万博の協賛レースを来年2月に開くと発表した。東海地方の公営ギャンブルでは、既に蒲郡市(蒲郡競艇場)が同様の方針を打ち出している。具体的な日程は今後詰めるが、通常の年間開催枠(180日)とは別に6日間開催し、多くのファンを集めるためトップクラスの選手も多く出場する重賞レースとする。売上高の3%を万博協会へ運営費として拠出し、6日間の合計売り上げは13億2000万円を見込んでいる。
●社団法人中部開発センター(名古屋市)は28日、2005年に愛知県長久手町の愛知青少年公園一帯で開かれる愛知万博の跡地利用として、環境問題に取り組む国際機関を誘致する提案をまとめ、発表した。
提案では、国際機関誘致のほか、万博パビリオンを再利用して遊びながら環境への意識を深めることができる体験型テーマパーク「エコ・アミュージアム」の開設も提唱。また、環境関連の国際学会事務局の誘致など、跡地の一部を使って環境問題全般の拠点とするように求めた。開発センターはすでに、提案を愛知県に伝えたほか、今後は「国など関係者に提案をアピールしていく」としている。
●経済産業省が28日にまとめた2003年度予算の概算要求で、愛知万博には、前年度比で2・4倍に上る201億2300万円が盛り込まれた。政府は各省の公共事業費を前年度比97%に削減する方針だが、経産省は「いよいよ開幕が迫ってきたため、万博を立派に成功させるべく増額した」とした。
最も額が大きいのは、来年度から工事が本格化する会場建設の費用で、前年度比2・2倍の142億5500万円。次いで、政府館の詳細設計や出展計画などに、2・9倍の42億4500万円。新規では、政府館でエネルギー問題について広くPRする出展事業に8億4000万円。同省博覧会推進室の荒木由季子室長は「1500万人が訪れる場だけに、広報効果は高い」とし「楽しみながら学べる場を目指したい」と話す。
継続事業では、会場内の汚水を高濃度オゾンで浄化する技術の開発に、前年と同額の2億2500万円。1日に3000トン出る会場の汚水のうち、政府館分を中心に50トンを処理する施設の実用化を目指し、実証実験に入る。環境ホルモンを除去し、排出汚泥を従来の10%に激減させ、消費エネルギーを半減させる効果があるだけに、処理後の水の一部を池などに活用して、技術力をアピールすることも検討する。
●経済産業省は、愛知万博に障害者や高齢者が安心して足を運べるよう、世界初の歩行者向け高度交通システム(ITS)を導入する方針を固めた。iモードなどを活用し、携帯電話かレンタルの専用端末を通して、パビリオンやトイレへ音声と画像で案内する。専用の電動車いすと接続して目的地まで自動運転する機能も目指す。通信会社や家電メーカーと共同で開発する構想で、来年度の概算要求に5億円を盛り込んだ。
ホストコンピューターとの送受信で目的地を入力すれば、通路に埋め込む磁気マーカーと連動して「次の角を右へ」「この先に段差があります」など、専属ガイドのように誘導する。専用の電動車いすには、ガイドに従ってゴルフ場のカートのように自動運転するうえ、赤外線などで歩行者を避ける機能を持たせる。場内イベントの観覧予約や仲間同士の位置確認にも活用してもらう。世界中から訪れる観光客に、日本のハイテクをPRでき、新たなビジネスチャンスを生む上、万博後に中部国際空港や駅、テーマパークなどへ転用されれば、障害者がより気軽に街に出られるようになって「一石三鳥」と同省担当者は話す。
●愛知県国際博推進局は28日、インドネシアが愛知万博への参加を表明したことを明らかにした。外交ルートを通しての正式表明は、これで43か国となった。
●名古屋市は29日、愛知万博の支援事業として計画している笹島地区サテライト事業の共同事業者募集説明会を、市内のホテルで開いた。ゼネコンや飲食、物販関係など全国から121社の担当者が出席、市側の説明を聞いた。
笹島地区のサテライト事業は、万博の玄関口として市が「名古屋パワーの発信、交流拠点」「新しい都心のにぎわい」などをテーマに、民間のアイデアと資金を借りて、共同で開発する。約10ヘクタールの用地を市が用意、借地方式でこのうち9ヘクタールを万博期間中、一ヘクタールを万博閉会後も利用できるような内容の事業計画を公募する。この日の説明会は、ほぼ満席となり、参加企業側から、借地の条件面などについて質問が出るなど、熱のこもったやりとりがあった。市は10月28日から11月1日までアイデアを受け付け、その後、ヒアリング、審査を経て、11月下旬には共同事業者を絞り込み、年度内の契約にこぎつけたい考え。
●愛知万博の目玉として建設が予定されている高架式回廊「グローバル・ループ」が、世界最大級の規模になることが29日、分かった。博覧会協会が同日明らかにした。関係者によると、総事業費は約80億円になる見込み。
支柱などは鉄骨を使うが、床はほとんど木造。中央で重量を支える部分は堅い輸入材、そのほかは間伐材を使う予定。材料の木材の全体使用量などは未定だが、県内産の間伐材を使うことも検討している。耐震性は十分で、阪神大震災級の地震にも耐えられる。同公園会場では混雑時には1日15万人の入場が見込まれることから、約7割と計算すれば約10万人がループ上に一度に乗ることになる。出口は200メートルごとに設けられるが、原田プロデューサーは「安全性からループ上に一度に来場者が集中し過ぎないようにコントロールしなければ。単に通路としてではなく、屋外型パビリオンの一つと考えてさまざまな活用方法を考えたい」と話している。
●愛知県は29日、神田真秋知事が愛知万博への参加招致と仏企業の県内誘致活動のため、6日から15日までタイ、ギリシャ、スウェーデン、フランスの4か国を訪問することを発表した。また、寺西学県会議長も4日から14日まで、ハンガリー、英国を訪れ、万博参加を要請する。神田知事は、パリでは昨年に引き続いて、県内への投資セミナーに出席。仏企業約50社に愛知への進出を呼びかけるほか、日本への進出に意欲を見せている企業数社を訪問する。
●愛知万博開催に向けて、県議会と知多地区5市の市長と市議会議長の意見交換会が30日、東海市荒尾町のしあわせ村で、半田、常滑、東海、大府、知多市の市長ら18人が出席して開かれた。
●万博会場に隣接する尾張旭市の商工会・JA・名古屋産大・社会福祉協議会・地域活動連絡協議会・市地婦連は、万博支援組織「愛・地球博サポート・あさひ」の設立発起人会を、市役所で開催した。
●環境開発サミットのサイドイベントとして1日、ヨハネスブルク市内のホテルで「ビジネス・デイ」が開かれ、トヨタ自動車名誉会長の豊田章一郎氏が「持続可能な交通」について講演し、愛知万博の紹介もした。
BASD(持続可能な開発に向けた企業行動)副代表で、博覧会協会会長でもある豊田氏は、愛知万博を「環境との調和を図り、持続可能な発展を目指し、自然の叡智に学ぶことをテーマとしています」と紹介したうえで、「自然が持っている素晴らしい仕組みに学べば、これまで人類が得てきた経験、知識、知恵を生かして、現在、人類が直面している課題を解決することができると信じています」と語った。
●万博のシャトルバスやマイカー駐車場として利用が計画されている、瀬戸塩草土地区画整理組合の設立総会が開かれた。事業完了予定は2010年、総事業費83億円。