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【万博】2002.08.20-08.26の動き

●政府は18日、南アフリカのヨハネスブルクで今月26日から開かれる環境・開発サミットのテーマ「持続可能な開発」の実現には教育の充実が不可欠として、日本に拠点施設をつくり、国際的に主導的な役割を果たす方針を決めた。愛知万博会場などが候補地として検討されており、非政府組織(NGO)とも連携、世界中の人々が共に学ぶ態勢づくりを目指す。
 政府は人類が地球を守る共通認識を持つためには教育が重要として、国連が10年の期間を設けて取り組むプロジェクト「持続可能な開発のための教育の10年」を、サミットの実施計画案に盛り込むよう提案する。小泉純一郎首相が首脳級会合で表明する予定。具体化には国連総会の決議が必要で、05年からの開始を目指す。環境保全の観点だけでなく、効率的な農業経営や女性差別解消など開発に向けた人づくりにも重点を置く。この拠点施設の好適地として、05年に愛知万博会場予定地が検討されており、「持続可能開発教育センター」(仮称)を設ける構想が挙がっている。交通の利便性を踏まえ、会場内に予定されている政府館と同一施設で運用できないか、調整が行われている。日本の拠点のほか、アジア太平洋地域、アフリカ、中南米にも支部の設置を呼び掛ける。

●名古屋市は20日、愛知万博の支援会場と位置づける名古屋駅・笹島地区の活用について、立地施設やイベント内容などを民間から公募する募集要項を発表した。
事業対象面積は約10ヘクタール。うち万博の会期中を事業期間とする短期事業で1ヘクタール。ほかは閉会後も含めて着工から10年以上−15年以下の中期事業で活用する。市は現地の機能に(1)主会場(愛知県長久手町)とシャトルバスで結ぶ玄関口(2)環境先進都市としての情報発信・交流(3)都心の新しいにぎわいの創造、の3つを見込んでいる。募集要項についての説明会を29日に開き、10月28日から受け付けを開始、11月1日に締め切る。11月上旬の審査委員会を経て、同月下旬には事業予定者を決める予定。

●愛知万博の環境影響評価(アセスメント)に学者が専門的な助言をする経済産業省の意見検討会が20日同省であり、愛知青少年公園会場や海上会場の周辺にすむ猛きん類のオオタカやハチクマの現況や会場設計の変更点などが説明された。
博覧会協会は、会場を周回するループ状通路の形状変更や、無人隊列走行バス(IMTS)のルート決定などにより、造成土量が増加すると報告。大型の30トンダンプカーを使用するほか、土の運搬先を変更することで、騒音など周辺への環境負荷を抑えるとした。また、青少年公園会場の近くにすむオオタカのために、公園周辺の木を一部伐採して、えさを見つけやすくする。海上会場の近くで営巣が確認されたハチクマについては、詳しい営巣状況を調べ、必要ならば保護策を取る。

●武部農水相は21日、愛知万博のメーン会場となる愛知青少年公園を抱える愛知県長久手町を初めて視察した。同町が万博に関連して進めている田園都市づくり計画について、「農水省が取り組む農業再生プランと相通じる中身で、国と連携した素晴らしい町づくりを期待する」と語った。 この計画は、「田園バレー構想」で、農業を通じて、自然と触れ合う暮らしを提案している。産直市場や香流(かなれ)川一帯で親水公園づくりを進めるほか、万博開幕を目標に、観光農園や、地元農産物を販売するマーケットの開設などを掲げている。

●愛知万博の会場地、瀬戸市海上の森の活用を考える県の「里山学びと交流の森検討会」が21日、名古屋市の県中小企業センターで開かれた。県側は海上の森で万博後に残る恒久施設について、里山研究や情報交換などの具体的な活用方法を示した。
愛知県は万博閉幕後に造りたいとしていた、自然の大切さを学ぶ施設について、延べ床面積約1500平方メートルの建物内に、草木染めや紙すき、押し花などを楽しむ工作室、森の自然を紹介したり、多目的ロビー、万博の成果や森の歴史を記録しておく展示室などを設けると、概要を説明した。検討会の委員からは特に異論はなかったが、「高齢者が利用しやすいようにバリアフリー対策を」「森の自然をじっくりと観察するために宿泊機能も備えては」といった意見が相次ぎ、今後、さらに細部を詰めていくことにした。

●愛知万博で会場の青少年公園地区に設けられる「中部広域交流館」(仮称)に共同出展を予定している中部9県の実行委員会は21日、パビリオンの基本計画の策定者を民間から公募すると発表した。
地域の独自文化を生かした話題性の高い展示、演出で世界に「中部」をアピールしたい考えで、受託者を公募し実績や企画力などを審査して選定することにした。企業か公益法人など共同体が対象で、今月30日までに参加表明書の提出を求め、提案書の審査やヒアリングをへて9月19日に選定する。基本計画は来年3月に決定し公表する予定。

●県議会の寺西学議長が21日、博覧会協会を訪れ、職員を激励した。坂本春生博覧会協会事務総長から紹介を受けた寺西議長は、職員約90人を前に「協会は官民合わせた大集団。万博が成功裏に終わるまで、一丸となって、骨を埋めるつもりでやっていただきたい」と励ました。寺西議長のあいさつは回線を通じて、東京事務所にも流された。

●愛知万博への参加協力を求めるため、寺西学県議会議長は、22日から愛知県内88市町村を巡り、首長や正副議長らと会って開催機運の盛り上げを図る。22日には知立市役所で碧南、刈谷、安城、知立、高浜の碧海五市の首長らと会った。5市側は「もっと情報を伝えて」と要望した。30日には東海市を訪れる。巡回は今年11月まで続ける予定。

●県は、愛知万博にちなんだ市町村と住民による共同事業に補助金を出す「愛知万博地域連携プロジェクト支援事業」を来年度から拡充、2005年度までの3年間で、10億円以上の予算を計上する方向で検討を始めた。開幕まで1000日を切り、県民参加の機運を盛り上げるのが狙い。
県は本年度、万博のテーマに関連して官民が一体で行うイベントなどに対し、事業費の半分を補助する予算として3000万円を付けた。しかし、県議会の最大会派の自民党から「予算規模が少なく、市町村や住民の機運の盛り上がりが欠けている。もっと財政面でサポートすべきだ」との指摘があり、県も前向きに検討することにした。同プロジェクトでは、半田市が山車を使ったパレード、瀬戸市が市民参加の陶板づくりを計画するなど、全市町村が万博とタイアップした事業を検討中。また、「尾張西部」「海部」「知多」「新城設楽」「東三河」の各地域は、それぞれ地域ごとの事業も行う予定。

●愛知万博の会場運営に協力するボランティア活動について、博覧会協会は仕事の割り振りや会場内での人員配置などを調整する「愛・地球博ボランティア協会」(仮称)を12月に作り、ボランティアを通じた市民参加を促す。博覧会協会の試算では、ボランティアは会期中に1日平均500人、延べ計約10万人が必要。活動メニューは、会場内の案内や美化はもちろん、通訳、障害者支援、ペット預かりや駐車場の交通整理など13項目に及ぶ。ボランティア協会は、開幕1年前の2004年1月からボランティア希望者を募り、1年間ほどかけて研修してもらう予定。

●愛知万博の開催を機に県の観光振興を図ろうと、行政や経済団体、旅行業界が一体となって「おもてなし愛知」と銘打った観光キャンペーンに乗りだし、27日に協議会を立ち上げる。「おもてなし愛知」には県や名古屋市をはじめ中部経済連合会、県観光協会、バス、タクシー協会など18団体が参加。首都圏や近畿地方などからの観光客誘致と、県内の受け入れ態勢づくりを目指す。本年度は大手旅行代理店などへの働きかけを進める一方、県内の観光業者に対して障害を持つ人と、外国人への対応を学ぶ研修を実施する。

●愛知万博開催に伴い、会場となる愛知青少年公園の管理棟、宿泊棟を約6億6000万円かけて取り壊すのは違法な公金支出にあたるとして、市民グループ「愛知万博中止の会」(影山健代表)のメンバーらは、神田真秋知事を相手に撤去費全額の返還を求める住民訴訟を月末にも名古屋地裁に起こす方針を決めた。

●愛知万博の参加国を増やそうとで、博覧会協会は、今月26日から南アフリカ・ヨハネスブルクで開かれる環境開発サミットで、万博のPRをする。 外務省などが日本の環境への取り組みを紹介するため、サミット会場近くに開設する「日本パビリオン」内で、海部俊樹元首相や大島慶久経産副大臣、協会広報プロデューサーのマリ・クリスティーヌさんらが万博の魅力を紹介する。 また、今月28日―9月3日に、会場近くの「ウオータードーム」の一角でPRビデオの上映やパネル展示などを行う。

●博覧会協会は23日、坂本春生事務総長の下に副事務総長ポストを新設し、前中小企業庁長官の中村利雄氏(56)を充てる人事を正式に発表した。9月1日付で発令する。

●県議会の自民、民主クラブ、公明、県政同志会の各会派が23日、神田真秋知事ら県執行部に対し、県の重点施策や本年度9月補正予算についての要望をした。
自民は、県政2大事業の中部国際空港建設と愛知万博開催に万全を期すとともに、知多横断道路や東部丘陵線などのアクセスの着実な整備を要望。行財政改革では、第3次行革大綱の推進、市町村合併への支援などを求めた。また、国が打ち出した構造改革特区の早期実現のほか、東海地震に備えた地震・防災対策、食の安全の確保、産業・雇用対策の推進、過疎対策の充実などを盛り込んだ。
民主は、健康福祉、文教など8分野に関し要望。県民生活関連では、住民基本台帳ネットワークの稼働に伴う個人情報保護のため、県独自の措置を求めた。産業労働・企業関連では新産業創出などの中小企業支援、愛知万博の気運盛り上げに向けた取り組みを盛り込んだ。このほか万博、中部国際空港関連の道路整備、県立学校の耐震改修など。
公明は、行財政運営の健全化のための施策見直しや合理化、地方分権推進、新産業創出、愛知万博と中部国際空港の着実な実施、福祉の充実など計8本を柱に要望した。
県政同志会は、中小企業の経営安定化に向けた金融対策の充実、行財政改革の推進、男女共同参画社会の実現などを求めた。

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