【万博】2002.07.30-08.05の動き
●愛知万博で名古屋市館の総合プロデューサーを務める歌手の藤井フミヤさんが29日、同市内で会見し、「光、風、水など自然をありのままに感じてもらえるような、大きな木をイメージしたものにしたい」と、パビリオンのイメージを明らかにした。
藤井さんは「大きな木」について、「万博のシンボルとなるタワーとして、大阪万博の太陽の塔のようなものにしたい」「だれもが名古屋市のパビリオンに来たくなるようなものを」「圧倒的に美しいものを」などと語った。しかし、施設の具体的な規模までは言及しなかった。
パビリオンについては、すでに愛知県や政府館がイメージ図などを明らかにしている。名古屋市は遅れが目立っていたが、この日明らかにされたイメージを元に、来年3月を目標に基本計画づくりを急ぐ。
●中部財界と自治体、国の関係者が集まり、中部圏の交通基盤整備について討議する「第7回21世紀環伊勢湾交流サミット」(中部経済連合会など主催)が29日、名古屋市内のホテルで開かれた。
この中で、中経連副会長の須田寛JR東海会長は、1500万人の入場者を想定している愛知万博会場へのアクセスの重要性に言及し、「ITS(高度道路交通システム)やHSST(常電導磁気浮上式リニアモーターカー)など、交通網自体が万博の展示物になるようにしたい」との考えを述べた。
また、国土交通省の大石久和技監は、公共事業が削減される現状について触れ、「東京五輪や大阪万博を目標に造られた道路が、両地域の経済活動を現在も支えている」として、インフラ整備による経済効果を力説した。須田会長も「東海北陸自動車道などの道路があれば北陸を中心とした環日本海経済圏と環伊勢湾との交流を活発にすることができる」など事例を挙げて、交通網整備が万博終了後の中部経済の活性化に不可欠であることを強調した。
●愛知万博を盛り上げようと民主党は31日、同党所属の国会議員54人で推進議員連盟を結成した。代表は羽田孜・党特別代表、顧問には鳩山由紀夫・党代表が就任した。万博推進議連は、超党派と、自民党によるものがあるが、「民主党としても支援する体制を強化したい」として、単独で組織した。 結成総会には、博覧会協会の坂本春生事務総長や経済産業省の担当室長らが出席し、同党は、世界各国への参加要請活動などに協力することなどを約束した。
●トヨタ自動車は31日、愛知万博の会場で運行するバスに、低公害の燃料電池車や天然ガス車を投入する方針を明らかにした。国内外から訪れる入場者に、トヨタの環境対策技術をアピールする。
トヨタは、万博会場の輸送手段として、自動運転で縦列走行するバス(IMTS)や、単独で走る通常型のバスを運行することを計画している。これらのバスには、水素を酸素と反応させて発電し、電気モーターで動く燃料電池車を採用する予定だ。IMTSについては、将来の不足が懸念される石油だけに依存しない車社会の到来をにらみ、圧縮天然ガス(CNG)を燃料とするバスも投入する。また、トヨタグループが単独館として万博に出展するパビリオンの電力も燃料電池で賄うほか、建設資材にも再利用可能な素材を用いる方針で、環境への配慮を前面に打ち出す。同日、会見した神尾隆専務は、パビリオンの出展内容を9月半ばまでに具体化するとし、「何度も来たくなるような、21世紀の車社会の夢や感動を伝えるものにしたい」と述べた。
●県国際博推進局は1日、アフリカのコートジボワール共和国が愛知万博への参加を表明したことを明らかにした。外交ルートを通しての正式表明は、これで42か国となった。
●名古屋市は1日、愛知万博のサテライト会場となる名古屋駅南の笹島地区の会場整備費が約10億円規模になることを明らかにした。市議会都市活性化特別委員会で説明した。
市によると、会場整備の事業者は、理念や発想などの独自性で競うプロポーザル(提案)方式で、今年8月−11月に募集する。名古屋駅方面から万博会場に出かける人が立ち寄り、万博の情報が得られるように万博会場へのシャトルバスの発着場を設けるほか、映画館や物販店など若者をターゲットにした娯楽施設の建設などが柱となっている。
用地は、市土地開発公社が先行取得している公有地や、日本鉄道建設公団、国際協力事業団、簡易保険福祉事業団の所有地など計12ヘクタール。このうち、短期事業(万博会期中185日間)の9ヘクタールを無償で、中期事業(10−15年)の1ヘクタールを有償で業者に貸し出す予定。また、名古屋市館総合プロデューサーを務める藤井フミヤさんの今年度(今年5月―来年3月)の業務委託費が約860万円、同館の建設・運営を担う大手広告代理店「電通」の基本計画作成費が約2500万円であることを明らかにした。
●トヨタ自動車やデンソー、NECなどが中心となって今秋設立されるインターネットITS(高度道路交通システム)協議会が、愛知万博が開かれる05年に、名古屋市内で15万台規模の大掛かりなインターネットITS実証実験の実施を検討していることが3日、分かった。
●国土交通省中部地方整備局は、愛知万博の開催を機に、名古屋・栄の繁華街の本格的な景観整備に乗り出す。万博テーマの環境という視点も盛り込む。第一弾は万博会場への主要ルート、国道19号と22号の交差点の日銀前歩道橋の再整備で、同局は2003、04年度に総額計2億−3億円の予算を計上する方針。
●県監査委員会は、万博中止の会が提出した、青少年公園管理棟取壊費用の支出は違法との監査請求を、「そのままの使用では耐震対策やバリアフリーかで多額の費用が必要」で違法・不当とは認められないと棄却した。
●愛知県は愛知万博に出展する県パビリオンの総事業費を建設費約20億円、展示約20億円の計約40億円とする方針を決めた。
パビリオンは愛知青少年公園、海上の森の2会場にそれぞれ開設し、敷地は各約3000平方メートル。青少年公園会場は総合プロデューサーの山根一真さんが提唱する「環業革命の力」をテーマに、モノづくりの歴史と環境とのかかわりをからくり人形で紹介する。 海上の森会場では、自然の営みを前面に打ち出した「森の鼓動と呼吸」がテーマ。森に響くさまざまな自然の音を使って音楽に仕立てる「森のカンタータ(交声曲)」などを展示する。
愛知県は展示大枠を先月下旬に公表、9月には外観デザイン、本年度内に詳細な展示や映像の内容を練り上げる予定。約40億の事業費には催事関連費は盛り込んでいないが、国際博覧会のパビリオンの事業費としては平均的とされる。県幹部は「県財政が厳しい中、当初の予定通りの金額を盛り込むことができた」としている。