【万博】2002.07.22-07.29の動き
●愛知万博のゴンドラ計画に対し、計画ルート近くの愛知県瀬戸市上之山三丁目町内会が白紙撤回を求めていた問題で、博覧会協会などは23日までに、同町内会に「ゴンドラは来場者の円滑な輸送、両会場の一体化のために必要。さらなるプライバシー対策を検討している」との回答書を送付した。 回答を受けた岡田実町内会長は「プライバシー対策はもちろんだが、自然環境、生活環境に与える影響にもきちんと答えてほしい。3度目の住民説明会を早期に開いてもらい、新たな対策について聞いたうえで、町内会の対応を決めたい」と話している。
●愛知万博に向け県は23日から、副知事を県内87市長村(名古屋市を除く)に派遣し支援要請する活動を始めた。自治体に出向き、博覧会への盛り上げと参加を首長に要請するのが目的。初日は長谷川信義副知事が、県市長会長を務める春日井市の鵜飼一郎市長を訪問したのを皮切りに、万博会場の瀬戸市と長久手町を訪れた。
鵜飼市長と懇談した長谷川副知事は、県が計画している「地域連携支援プロジェクト」「1市町村1国フレンドシップ事業」「県パビリオンへの催事出展」「万博会場を校外学習の場として活用」などの項目について概略を説明し、支援と参加を要請した。これに対し、鵜飼市長は「これまでは万博の中身が漠然としており、ムードもなかなか上がらなかった。具体的な内容がはっきりしてくれば関心も高まるだろう。本市だけでなく県市長会としてどう取り組んでいくか早急に検討したい」とこたえた。県では今後、長谷川、森徳夫両副知事が手分けして8月末をめどに各市町村を回る。
●愛知県は23日、愛知万博の県施設の内容を検討する有識者懇談会(座長・堀内守名大名誉教授)を名古屋市内で開き、堆積するゴミの山を展示したり、人間が一生に使う重油の雨を降らしたりして環境や資源保護の大切さを入場者に伝える基本計画案を示した。
計画によると、ゴミの山の展示などは、青少年公園地区(愛知県長久手町)のエコ・パノラマ劇場(仮称)で行う。「資源を大量に消費して環境に負荷を強いてきた人間」を、地球型の映像装置や壁面スクリーンで表現する。そのうえで、からくり人形やモニュメントなどで「愛知県の誇るモノづくりの技術で、環境との調和を図る未来を描きたい」としている。
一方、海上地区は「森の鼓動と呼吸」と名付けた自然発見の場とし、三百人収容の体感シアターや、からくりの模型動物を展示したギャラリーなどで「海上の森の自然の場を学ぶ場」にするという。懇談会では、「子どもが積極的に参加できる催事を」「独自の自然との共生モデルを表現して」などといった活発な意見が出た。同県ではこうした発言を参考に、来月初旬までに基本計画をまとめ、今年度中に建物の設計を終える方針。県施設をプロデュースする山根一真氏は、「人間がいかに地球を食いつぶしてきたかが分かるようなインパクトのある展示をしたい」と抱負を語った。
●愛知県蒲郡市が運営する蒲郡競艇で、愛知万博に協賛する冠レースを開催、レースの売上高の3%を万博会場の建設費として拠出することが24日、明らかになった。愛知万博の会場建設費を、公営ギャンブルの収益から調達するのは初めて。同日開かれた名古屋商工会議所の常議員会の席上、磯村巌会頭が公表した。
レースの開催は9月14日―19日、11月19−24日の計12日間。蒲郡市は合計30億円の売上高を見込んでおり、このうち3%に相当する9000万円を、博覧会協会に会場建設費として拠出する予定。
名商では、公営ギャンブルを運営する他の地方自治体にも協力を依頼しており、蒲郡競艇でのレース開催が決まったことで、今後の寄付金集めに弾みがつくと期待している。
●愛知万博の青少年公園会場と海上会場を結ぶゴンドラ計画について、博覧会協会の坂本春生・事務総長は24日、「ゴンドラから下の住宅地域が見えないようにする技術的な工夫を施して、住民のプライバシーに配慮したい」という考えを示した。
この日の定例会見で坂本事務総長は「海上の森を多くの人に見てもらうためにも、ゴンドラは実現させたい」と建設に意欲を示した。現在、家屋が見えないような方法を専門家が検討中で、ゴンドラ自体に何らかの装置を取り付けることになりそうという。協会では、方法がまとまり次第、住民説明会を開く。
一方、協会は同日、青少年公園会場北側の民間出展ゾーンに参加する9つの企業、団体に割り当てる敷地面積を発表した。電気事業連合会とトヨタグループが5000平方メートル、日立グループが4000平方メートル、JR東海、三菱、三井、中日新聞が3000平方メートル、日本ガス協会、日本自動車工業会が2000平方メートルなど。
●愛知万博の支援会場に位置づけられた名古屋駅・笹島地区の活用で、名古屋市はJR西名古屋港線(西臨港線)沿いの約11ヘクタールを事業対象区域とすることを決めた。立地施設やイベント内容などを民間からの公募で決めるプロポーザルの条件は「環境先進都市づくりの発信・交流」など3つの機能を検討している。
●愛知万博のイメージソングの制作発表会が25日、東京都港区のホテルで開かれた。
この日は、曲作りを引き受けたロックバンド「X JAPAN」の元リーダー、YOSHIKIさんによるメロディーと歌詞が同時に発表される予定だったが、YOSHIKIさんの都合で歌詞が間に合わず、メロディーだけの異例のお披露目となった。
●愛知万博を支援する企業、団体などでつくる「EXPO2005地球市民の会」は、東海三県の小、中学生による「2002東海こども環境会議」の参加者を募っている。
環境や自然保護、エネルギー問題などについて活動している小学校5年生から中学生までのグループ、個人が対象。会議は9月21−23日の2泊3日で、鳳来町門谷の県民の森「モリトピア」で開く。各グループの活動発表のほか、アホウドリの保護活動をしている長谷川博・東邦大助教授や、海洋生物学者の林正道さんとのトーク、県民の森でのフィールドワークなどを予定している。
愛知万博では世界子ども環境会議の開催が決まっており、EXPO2005地球市民の会は「環境保全に取り組む子どもたちのネットワークづくりや、学校や地域のリーダー育成につなげたい」としている。