【万博】2002.07.02-07.08の動き
●万博関係者用宿舎に活用する長久手町内の県営住宅建設計画について、地元住民は生活環境を悪化させると県に中止を求め要望を出し、担当部署と話し合ったが、県側は「計画を再考する考えはない」と回答した。
●愛知万博の会場計画に関連し、自然保護団体などで作る「海上の森保護保全連絡協議会」は1日、同森の保全に関する独自の「条例案」をまとめるとともに、県が主催している「里山学びと交流の森検討会」で、これらの案を検討するよう求める要望書を神田真秋知事あてに提出した。条例案では、「地域文化を支えてきた海上の森を永続的に保護しつつ、より生命あふれる森にしていくことが求められる」とし、県や瀬戸市に自然保護の義務を課しているほか、自然の種類や用途などに応じた八区域を設け、保護を促進することなどを定めた。
●愛知万博の中心会場となる愛知青少年公園で、会場建設のため既存施設を取り壊す工事の入札が2日、県庁であった。万博関連の会場建設では初の入札で、熊谷組名古屋支店(名古屋市中川区)が、4億3575万円で落札した。同社は、建設リサイクル法に基づく建築廃材の処分方法などを定める手続きを行い、一週間以内に着工する。
工事は愛知県の発注で、公園管理部などが入った中央管理棟や宿泊棟など青少年公園の主要な施設の半分以上を取り壊す。今年12月20日まで行われる予定。順調にいけば、取り壊し工事と並行して今秋、博覧会協会もパビリオンなどの建設工事の入札をしたうえで着手する。
●愛知万博の政府出展総合監督を務めるサックス奏者、渡辺貞夫さん(69)が2日会見し、政府出展EXPO2005キャンペーンの第1弾を発表した。
キャンペーンでは、「渡辺貞夫とこどもたちのコンサート in tempo」を八月一日、愛知県芸術劇場で開き、小、中学生百人とともに、自然の中で生きることの大切さを訴える合唱曲を披露する。また、写真展「One in the Same 笑顔をつなげて」も今月17−23日、同市中区の松坂屋本店で開催する。アフリカやブラジル、チベットなど、渡辺さんが旅行先で撮影した子供たちの写真約50枚を展示する。
●県は東部丘陵線で実際に運行する車両を製作中で、今秋には大江実験線で試験走行を開始。青少年公園東側に整備中の車両基地も今秋には造成工事が終了し、整備工場や中央制御所などの工事に着手の見通し。
●愛知万博の会場に、全長75メートルの本格的な飛行船をドイツから飛ばそうという計画に関連して、話題性を見込んで飛行船を保管する係留地に名乗りを上げる地域が日本国内で相次いでいる。東海地方だけでなく関東や関西からもラブコールが上がっていて、飛行船への期待の大きさを示している。計画を進める株式会社日本飛行船によると、飛行船は04年4月から数カ月かけてフランスやロシアの空を遊覧してから、愛知県瀬戸市と長久手町の万博会場に到着する予定。会場では博覧会協会が開幕式の目玉として大々的に披露することも検討している。
●名古屋米国領事館(名古屋市中区錦)の新しい首席領事にギャリー・G・大庭氏(46)が着任し、3日、記者会見して、「領事館として愛知万博を支援したい」と語った。大庭氏はコロラド州出身だが、祖父母が日本人という日系三世。1日付で着任した。前任は東京の米国大使館政治部で一等書記官を務めていた。
●愛知万博会場のバリアフリー対策について学識者や体の不自由な人たちが話し合う博覧会協会の検討委員会が3日、名古屋市内で開かれ、「上り下りの少ない会場にして、誰でも安全に巡ることができるようにするべきだ」などと提言した。愛知青少年公園と海上の森両会場を結ぶゴンドラや会場に向かうバスを高齢者や身障者にも使いやすい構造にすることなども求めた。
●フランスのシャンソン歌手で女優のジャクリーヌ・ダノさんが4日、神田真秋知事らを表敬訪問し、日仏シャンソン協会日本支局が作った愛知万博のイメージソング「ブラボー! ムッシュ・ルモンド(地球讃歌)」のCDセットをプレゼントした。
●夏休みを利用した米国、オーストラリア、ニュージーランドでのホームステイで、地元の愛知万博をPRしようと、千種区光ケ丘の私立愛知中学・高校の生徒たちが、「EXPO」のロゴ入り陶器を作っている。今年3月の卒業生が記念に残した電気がまで作品を焼き、訪問する学校やホームステイ先への手土産にする。
●愛知県長久手町の町営施設「文化の家」で6月30日に開かれた愛知万博の千日前イベント式典の際、会場の身障者用駐車スペースが、来賓で訪れた市町村代表らの公用車に占用されていたことが分かった。地元市民団体などから「万博では障害者らに優しいバリアフリーモデルを目指しているのに、もってのほかの行為」と厳しい声が上がっている。
●知多市文化協会の一行が5日、県議会を訪れ、寺西学議長や長谷川信義副知事らに、愛知万博応援歌「万博おんど」を正式な応援歌にするよう求めた。
●県議会と県の愛知万博担当者3人が7日、大相撲名古屋場所が初日を迎えた名古屋市中区の県体育館を訪れ、日本相撲協会の北の湖理事長に会って「愛・地球博」PRへ協力要請した。
●シギ、チドリなど渡り鳥の飛来地として知られる名古屋市の藤前干潟(名古屋港)で、同市が用地取得費に見合った財政支援などの要望をしていたことに対する環境省の回答案が7日、明らかになった。用地の買い取りは否定しながらも干潟の近くに愛知万博の関連施設ともなる10億円規模のビジターセンターの建設を提示。廃棄物処理施設への国の補助なども盛り込んでいる。
干潟の周辺に環境教育や研究のための大規模なビジターセンターの建設を検討し、03、04年度に環境保全施設整備費名目で5億ずつ、計10億円を計上する方向としている。 愛知万博は環境をテーマにしており、同省では主会場と連携、渡り鳥などの野生生物と人との関わりや保全をテーマにしたパビリオンを造る構想を進めるとしている。河川の災害対策については「治水対策が最優先」と位置づけた上で、「鳥獣保護との両立を目指し、調整する」としている。
●愛知万博の愛知青少年公園と海上の森の両会場を結ぶゴンドラの建設予定ルートに接する瀬戸市上之山町3丁目の住民(79世帯約300人)は7日夜、住民総会を開き、ゴンドラ計画に反対することを正式に決めた。8日、事業主体の協会や経済産業省に計画の白紙撤回を求める要求書を提出した。