【万博】2002.06.25-07.01の動き
●伊藤忠商事は6月24日、愛知万博のマスコットキャラクターやシンボルマークを使った公式商品の独占販売権を取得した、と発表した。7月1日、名古屋支社に担当オフィスを設け、商品の製作や販売を始める。
●愛知万博協会は24日、愛知万博の環境影響評価(アセスメント)手続きの最終段階にあたる「修正環境影響評価書」を公表した。環境相意見などで「評価を盛り込む」よう求められたゴンドラについては、「オオタカの飛行への影響は否定できない」と指摘する一方、「住民の意見を聴きながら、さらに計画の熟度を上げ、追跡調査により予測・評価をしていく」としている。環境問題をめぐり揺れ続けた愛知万博は、追跡調査を除き、これで会場建設に向けた環境面での手続きをすべて終えたことになる。協会は25日に修正評価書を公告し、9月にも会場工事に本格着手する。
ゴンドラは、瀬戸市上之山地区の住宅団地の南側ルートを通る。修正評価書では、ルート周辺の植物、動物、景観について環境への影響を予測した。ゴンドラをつるすケーブルの支柱がオオタカの飛行に影響する可能性があり、支柱を低くする。また、ゴンドラ建設に伴う騒音と振動、大気に与える影響についても追跡調査する。
また、「ゴンドラから生活をのぞかれる」というプライバシー問題について、修正評価書では触れなかったが、協会のアセス担当者は「本来アセスの対象ではなく、別の視点で配慮したい」と説明した。さらに、協会側は、プライバシー問題も含めて、ゴンドラについて、地元に説明するという考えを示した。
環境団体や住民は「環境よりスケジュール優先だ」と反発している。「愛知万博の環境アセスメントに意見する会」の宇佐見大司・代表世話人(愛知学院大教授)は、「ゴンドラのアセスは追跡調査で済まそうとするのでなく、環境相意見に沿って修正アセスにすべて盛り込むべきだった。『経産相意見に沿った』と言っても、万博推進官庁の意見だから環境に十分配慮したとはいえないはずだ」と疑問を呈した。
●愛知万博会場の一つ、海上の森地区で、「自然破壊のボーリング工事をしている」として「海上の森を守る会」など、7市民団体は6月25日、県と博覧会協会などに、ボーリングの中止を求める要望書を提出した。愛知県と協会は、6月17日から「海上の森」地区のパビリオン建設予定地でボーリングを実施している。
7団体は「ハッチョウトンボのある湿地が踏み荒らされるなど、ボーリングは環境に配慮されていない」などと指摘し、中止を求めている。
これに対し、愛知県は「ボーリングは工事ではなく、工事前の調査の一環だ。専門家のサポートで環境にも配慮しており、問題はない」としている。
しかし、現地調査の結果、協会は失態を認め資材運搬用のモノレールの位置変更した。
●小泉首相は6月26日朝(日本時間26日夜)、カナナスキス・サミット開幕を前にブレア首相と会談し、「2005年の(愛知)万博に参加してもらえば、日英関係の強化にも役立つ」と要請した。ブレア首相は万博参加については直接触れなかったものの、「日英2国間関係は大変良好であり、さらに強めたい」と答えた。
●愛知万博での入場客誘致について、神田真秋知事は6月26日の県議会で、「修学旅行をターゲットに、キャラバンを関西、首都圏に派遣したい」と明らかにした。入場客の確保は重要な課題で、「各種団体の大会やコンベンションも誘致したい」(神田知事)として、県も協会の掲げた目標に協力する構え。
●県は6月26日、愛知万博や地震、環境対策事業に限定した「住民参加型ミニ市場公募債」を発行することを明らかにした。この日の県議会で、岩村進次議員(自民)の質問に、神田真秋知事が答えた。特定の事業を目的に、県民から小口の出資を募るミニ公募債は、都道府県では群馬、兵庫県がすでに発行している。
愛知県は今年度、金融機関や共済組合などを対象にした縁故債を約2650億円発行する予定だが、このうち数十億円分をミニ公募債に振り向ける。ミニ公募債は購入上限が設けられるため、機関投資家よりも一般の県民が利用しやすくなる。県では群馬、兵庫の例を参考に、数百万円の購入上限を設ける予定。
●愛知万博に出展する愛知県館について、神田真秋知事は6月26日、来月末をめどに具体的なイメージを公表することを明らかにした。
県館は、海上の森と愛知青少年公園にそれぞれ建設される。県は、ノンフィクション作家の山根一眞氏を総合プロデューサーに迎え、基本設計を急いでいるが、海上の森では「森の鼓動と呼吸」をテーマに、映像や音で森を体験してもらう計画。また、青少年公園では愛知県の「モノづくり」に焦点を当て、伝統や文化の象徴であるからくり技術を演出手法に活用し、意表を突く仕掛けで産業技術の未来像を表現することにしている。県では来月末に、まず館内のイメージを示し、秋には建物の外観を明らかにする方針。
●愛知万博の入場料を検討する博覧会協会の第1回懇談会が6月27日開かれ、大人(18歳以上)の当日券は4600円前後になる見通しとなった。協会側が初めて具体的な金額を示し、懇談会側も異論はなかった。今後、この額を基準に詰めていく。
協会が示した料金案によると、大人の4600円を基準にして、中学、高校生は半額、小人(4歳以上12歳未満)は7割引き、70歳以上2割引き、3歳以下は無料としている。前売り券は3700円前後で、年齢に応じて割り引く。
協会は、閣議了解や博覧会国際事務局(BIE)への報告を経て、年末には正式な料金体系を決める。
●愛知県国際博推進局は6月28日、愛知万博カウントダウンボードを、県庁や博覧会協会など7か所に設置した。
●宮内庁は6月28日、皇太子が愛知万博の名誉総裁に就任と発表した。任期は6月29日から2005年9月25日の万博閉幕まで。
●名古屋商工会議所の磯村巌会頭は6月28日の常議員会で、愛知万博への参加について「博覧会協会が設ける大催事場を、期間を決めて名商が借り、会員企業などに出展を呼び掛けたい」と述べ、万博参加への意欲をあらためて示した。
●愛知万博開催まで1000日に迫った6月29日、名古屋市のJR名古屋駅前のタワーズガーデンで記念イベントが開かれ、博覧会協会が全国から募集していた公式マスコットキャラクターの愛称が発表された。愛称は、「森のおじいちゃん」と呼ばれていた緑色のキャラクターが「モリゾー」、薄緑色の「森のこども」が「キッコロ」。イベントでは、W杯並みの人気を集めたいという願いを込めた「1000日前キックオフ」も行われ、関係者13人が、W杯日本代表のゴールキーパー、楢崎正剛選手のサイン入りボールをけって祝った。