【万博】2002.06.18-06.24の動き
●愛知万博会場への主要なアクセスとなる東部丘陵線について、事業主体の愛知高速交通が愛称を募集している。
●神田真秋知事は17日の定例記者会見で、愛知万博開幕まで、29日で残り1000日の節目を迎えることについて「今後は、魅力や楽しさを前面に打ち出していくことが重要。できるだけ早く、県パビリオンの全体像を県民に示したい」と意欲を示した。
神田知事は「(計画の)骨組み変更などいろいろな課題があった。ようやくここまで来た、という思いだ」と述べ、会場跡地を活用する新住宅計画の中止や、堺屋太一博覧会協会前最高顧問による計画変更の提案など、曲折続きだった道のりを振り返った。そのうえで「あと1000日というのは大きな節目。これからは残り日数が三けたとなる新たなカウントダウンが始まる。万博の楽しい中身を理解してもらえるように努力したい」とあらためて抱負を述べた。2月に基本計画を公表した県パビリオンについては「プロデューサーを中心に中身を詰めている。できるだけ早く県民の皆さんに全体像を示したい」と述べた。
●博覧会協会は17日、第17回理事会・評議会を名古屋市内のホテルで開き、民間の集合館への出展申請をしていた3つの企業・団体がいずれも辞退したため、集合館建設を中止することを明らかにした。
参加を申し出ていたのは、家電販売会社メルシー(福岡市)とブラザー工業(名古屋市)、連合・連合愛知。共同館など別形態での参加を希望して集合館の出展申請を取りやめ、集合館への出展参加はゼロになった。博覧会協会は、集合館の予定地にはコンベンションホールなど何らかの建物を建てる方針。民間の出展参加は、単独館を希望しているのがトヨタグループや電気事業連合会など7つの企業・団体。テーマに賛同した企業などが共同で1つのパビリオンを出す共同館が中日新聞社1社。博覧会協会によると、ほかに出展を前向きに検討している企業・団体が数件あるという。
●愛知万博の会場建設費1350億円を確保するため、民間企業から集めるとされていた寄付金が、目標の230億円に迫る約200億円に達したことが17日、わかった。民間負担分(450億円)のうち、残る公営ギャンブルからの補助金220億円については、博覧会協会は「交渉中」としており、集まるまでにはもう少し時間がかかりそうだ。金額は、この日に開かれた協会の最高意思決定機関にあたる理事会・評議員会で、坂本春生事務総長が明らかにした。
これまでに地元も含む企業約2100社や31の業界団体に寄付を依頼し、その結果、12団体と662社から約200億円が集まることになったという。一方、今月29日には万博の開催1000日前記念事業が東京、名古屋、瀬戸などで行われる。マスコットキャラクターの愛称発表やカウントダウンイベントがある。
●愛知万博への参加を米ウェストバージニア州が前向きに検討していることが17日、分かった。米国は、国内法の制約で連邦政府として出展することはできないが、州政府や企業の参加は可能。
●愛知万博の開催地域の自治体などが街並み整備に連携する「愛・地球博まちなみ支援連絡会(仮称)」の初会合が18日、長久手町役場で開かれた。万博開催時に向けた美しい街並みづくりに、関係者が知恵を出し合って協力するのが目的。中部地方整備局、中部経済連合会、県、名古屋市、豊田市、瀬戸市、長久手町などの代表約20人が出席した。初めに、会の正式名称を「愛・地球博まちウエルカム連絡会」と決め、それぞれに現段階の取り組みなどを報告した。今後、会合を重ねて、高速道路インターや万博用駐車場の周辺、東部丘陵線沿線等の景観整備や、街並みを乱す看板、広告塔などへの対処についても検討していく。
●愛知万博の観客輸送問題で、万博会場の近くを通る愛知環状鉄道(第3セクター運営)の八草駅(愛知県豊田市)のホームを延ばす構想が19日、明らかになった。ホームを環状鉄道に乗り入れるJR中央線の電車の長さに合わせると同時に、万博会場への主要な交通機関になる東部丘陵線(HSST)の八草駅(仮称)に直結し、乗り継ぎを便利にする狙いだ。
環状鉄道の八草駅ホームは長さ90メートルで、現在の4両編成の電車に合わせてある。中央線の電車(10両)を止めるには、ホームを約150メートル延ばして、240メートルにする必要がある。一方、東部丘陵線の建設計画では、同線の八草駅は、環状鉄道の八草駅から北に約250メートル離れた場所に出来る。このため、博覧会協会や愛知県、環状鉄道会社などは両駅間の乗客の移動手段を考えていた。構想では、環状鉄道の八草駅ホームを北に延ばして、東部丘陵線の八草駅ホームに近づける。両駅のホームはエスカレーターで結ぶ。これで中央線の電車が止まることができ、両駅の乗り継ぎも可能となる。協会、愛知県、環状鉄道会社は現在、ホーム延伸に必要な用地取得や費用負担について調整中で、今年中には調整を終え、延伸工事に入りたいとしている。
●県国際博推進局は20日、イランが愛知万博に参加表明したことを明らかにした。外交ルートを通じて正式表明したのは、これで41か国となった。
●愛知万博への主要な交通機関で、万博後も地元の交通手段として期待されているリニアモーターカーを使った東部丘陵線と、地下鉄、バスとの乗り継ぎ方法を考える中部運輸局や県などによる初の事務レベル会議が20日、開かれた。
参加者は運輸局、県、名古屋市交通局、名鉄などで、この日は東部丘陵線の建設計画や事業の進み具合を確認しあった。今後は、地下鉄藤ヶ丘駅や、愛知環状鉄道、市バスと、東部丘陵線との接続を便利にするための方法を本格的に検討していく。
●愛知万博を推進している県議の有志らが、万博をイメージした「グリーンジャケット」で、機運を盛り上げようとしている。アピールの第1弾として、29日の「1000日前イベント」で着用する。
●名鉄グループが愛知万博支援で設け、世界の民族楽器で演奏する音楽への市民参加を呼びかける「リーオクラブ」は、オリジナル曲の曲名と歌詞を募集している。
●県と友好提携している中国・江蘇省の任彦申・人民政府高級顧問を団長とする文化友好代表団の一行12人が20日、県庁を訪問、長谷川信義副知事と今後の文化交流推進について意見交換した。
●連合愛知と県労働者福祉協議会が協力して、愛知万博を成功させるためのボランティア事業などを企画する「れあろ(連合・労福協万博センター)」が21日、名古屋市熱田区金山町の全労済中部地本会館一階にオープンした。 センターは、小田桐勝巳・連合愛知会長を代表に、専属スタッフ4人が常駐する。ボランティア事業のほか、万博来場者へのいろいろなサービスの内容や、連合・連合愛知として万博に出展するために必要な事務などをする。センターでの開所式では、小田桐会長が「万博の支援や出展を通じて、働く人が未来を展望できるような活動をしていきたい」とあいさつした。連合・連合愛知は当初、愛知青少年公園会場の集合館というパビリオンに出展を計画していたが、集合館がなくなったため、同会場の地球市民村ゾーンに出展する方向で検討している
●愛知万博の中心会場となる愛知青少年公園の既存施設を取り壊す工事の公募型指名競争入札が、来月2日に実施されることが決まった。撤去工事が先行する形で、会場建設が本格的に始まる。
最終的な評価書は、博覧会協会にこれまでに寄せられた経済産業相、環境相、愛知県知事、住民意見などを盛り込み、愛知県瀬戸市、長久手町などで公告・縦覧される。特に、瀬戸市上之山地区の住民の反発が強いゴンドラについては、できるだけ環境に配慮するという見解が盛り込まれるとみられる。
県は今年度予算に、愛知青少年公園の取り壊し費用として6億6144万円を盛り込み、業者の応募手続きはすでに終えている。落札業者は工事車両の進入道路や足場などを造る準備工事を行い、管理棟や宿泊棟の取り壊しに移る。取り壊した管理棟の付近の土砂は、公園内で再利用して整地に使われる。博覧会協会は今秋、パビリオン建設に取りかかる予定。
●約350両と全国屈指の山車を持つ愛知県の伝統文化「山車とからくり」を世界に発信するために、県内で山車を持つ祭り保存会が23日、同県犬山市に結集、「愛知山車祭り保存協議会」を設立した。参加していた地元市長らから行政レベルの保存振興組織の創設も打ち出され、愛知万博への参加を目指して官民一体で取り組むことになった。
保存協議会は、犬山祭保存会(犬山市)、津島山車保存会(津島市)、半田山車祭り保存会(半田市)の共同提案で、設立総会には、県内の16市町から20団体約200人が参加。観光資源として共同してPRすることを決め、当面の目標として、愛知万博への参加を目指すこととした。また、犬山、津島、半田市を核に、行政レベルの「あいち山車からくり保存振興協議会(仮称)」を、今夏の発足を目指して準備していることも明らかにされた。
県国際博覧会推進局では「百を超える山車が会場に集まり、世界に発信していくことは有意義だ」と関心を示している。