【万博】2002.06.11-06.17の動き
●愛知万博の会場建設が7月早々に始まることになった。10日、環境影響評価について、平沼経済産業相が、会場建設について住民や専門家の意見を聞き、環境に悪影響を与えない計画にするよう求める意見書を博覧会協会に提出し、アセスメントの手続きがほぼ完了したため。工事は、愛知県による青少年公園(愛知県長久手町)の管理棟など県施設の取り壊し作業を手始めに始まる。
博覧会協会は、経産相意見をはじめ、これまでに協会に寄せられた環境相、愛知県知事、住民意見などを勘案して今月中に最終的な評価書(修正評価書)を作成し、公表する。公表後、県は取り壊し作業について入札し、7月から取り壊し作業用の足場造りなど工事に入る。作業には半年はかかるとみられ、協会は作業と並行して今秋からパビリオンなどの建設工事に入る予定。
●愛知万博会場周辺にすむオオタカの保護策を専門家が考える調査検討会が10日、名古屋市内で開かれ、青少年公園会場と海上会場を結ぶゴンドラの高さについて、オオタカの飛行をじゃましないよう低くすることを博覧会協会に要請した。協会も実現に向けて検討していく。博覧会協会は現在、ゴンドラの高さを約20メートルとしている。検討会では、オオタカがえさを運んで飛ぶ高さにあたるとして15メートル前後にするよう求めている。 このほか、公園周辺にオオタカがえさ場としている林が4か所あり、博覧会終了時まで、伐採などの手入れをして、えさが取れるような保護策を講じることも要請した。
●国連地域開発センター(名古屋市中村区)の国際研修に参加している開発途上国15カ国の研修生ら約20人が11日、「愛・地球博」(愛知万博)が開かれる長久手町の愛知青少年公園を視察した。主にインドネシア、カンボジア、エチオピア、コロンビアなどの国の政府や地方自治体で働く行政官で、約1カ月半、日本の地域開発などを学習中。万博の予定地視察も、中部圏の一大プロジェクトとして日程に組み込まれた。バスで公園内を一巡した後、大芝生広場近くで博覧会協会の担当者から計画概要を聞いた。緑豊かな景観に「ビューティフル」と声を上げ、環境保全などについて熱心に質問した。
●愛知万博開催予定地の「海上の森」に中型ほ乳類が生息する可能性があるとして、市民団体「海上の森保護保全連絡協議会」(高岡立明代表)は11日、博覧会協会と愛知県に、巣穴の調査を求める要請書を提出した。要請書によると、同協議会は先月、海上の森で「中型ほ乳類のものと思われる巣穴」を発見。巣穴近くには、ほ乳類が移動する際にできたとみられる獣道もあったといい、同協議会では「キツネかタヌキの巣穴の可能性がある」としている。
また、要請書では、「地元のNGOなどを加えたハチクマの保護調査検討会を設置」することを求めている。
●愛知万博の環境影響評価をしている博覧会協会に対し、学者が専門的な助言をする「アドバイザー会議」が13日、名古屋市内で開かれた。会議では、評価書案に対する経済産業相意見や、青少年公園会場と海上会場を結ぶゴンドラ計画の概要などを協会側が説明した。委員からゴンドラ計画について、「付近住民のプライバシーをできるだけ保全すべきだ」「仮設でなく、万博後も残すことも検討するべきだ」などの注文が相次いだ。協会では、この日の意見などを参考に、今月末までに修正評価書を作成する。
●愛知万博に出展する名古屋市館の建設や運営を担当する業者が13日、大手広告代理店の電通に決まった。この日、名古屋市内で開かれた選定委員会で、総合プロデューサーの歌手藤井フミヤさんらが選んだ。
電通は、「POWER OF NAGOYA」と題し、「名古屋市民の力を結集したプログラム」を前面に打ち出した。民話をもとに3万5000人の市民で合唱隊を組織したり、市民で作ったからくり山車を展示したりするなど、市民参加を柱にしている。藤井さんは「この提案で、私のアイデアが広がった。来場者がどのパビリオンよりも、初めに名古屋市館に集まるぐらいのシンボルを作れれば」と意気込みを見せた。委員長の牧村真史・博覧会協会チーフプロデューサーは「いずれも熱意のある提案だった。藤井さんを支援する体制がいかに盛り込まれているかという点で選んだ」と話した。今後、名古屋市は電通の提案をもとに藤井さんと協議を重ね、今月中に基本計画をまとめる。
●第三セクター愛環鉄道は14日、2001年度決算を発表した。営業収益は21億2400万円と12期連続で増益だが、万博のための複線化経費の圧迫で、経常利益は7484万円の赤字となった。12年ぶりの赤字に転落した。
●県は万博のために、市民の反対の声を押し切って一時閉鎖した児童総合センターの機能代替施設として、東浦町の「あいち健康プラザ」を新たに使用する方針を固めた。「愛知こどもの国」が遠すぎて不評のため方針を変更、代替施設を2ヶ所に増やすことにした。7月にも事業を始める予定。
「こどもの国」の代替プログラムは5月から始めて、約1900人の参加で、センター当時の7分の1にとどまっていた。