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【万博】2002.04.23-04.29の動き

●博覧会協会の00年度文書を非公開とした経済産業省が、01年度の同様の文書は一転、全面公開したことが22日分かった。同省は昨年12月、名古屋地裁から00年度文書の公開も命じられたが、現在、それに反発し控訴中。情報公開を求めてきた名古屋市民オンブズマンは「01年度の文書が公開された以上、00年度の文書の公開を争う意味はない」と批判している。
 この文書は収支見通しなどを記した博覧会協会の財務関連文書。00年度の文書公開を求めた判決では「公開しても協会の利益は害されない」とオンブズマン側に軍配を上げたが、経産省側は「事業に支障を及ぼす」と反論、控訴した。だがオンブズマン側が今年1月、01年度分を公開請求したところ、同様の試算値を記した文書が今度は全面公開された。経産省は「同様の文書でも(00年と01年では)判断の時期が違う」「筋が通っていないとみられるかもしれないが、状況によって判断も変わる」と説明、あくまで争う構え。これに対し、オンブズマン側は「控訴はメンツだけで争っているとしか考えられず、こっけいだ」と話している

●愛知県は22日までに、愛知万博の開催時期に合わせ、県内の希少動植物などの自然環境や、最新の環境技術などをインターネットで紹介する方針を固めた。万博の大きなテーマである環境にかかわる情報を総合的に来場者らに知ってもらうことで、万博会場だけでなく、県全体のPR効果を狙う。同日の県国際博推進本部会議(本部長・神田真秋知事)で環境部会が明らかにした。現在、県には自然環境を紹介する総合的なホームページがないため、部会では、今年度から来年度にかけて詳細な計画を詰めたり、現地調査をしたりして、万博開催前には情報提供を始める考え。
具体的には、県内の貴重な動植物の大まかな分布状況や特徴、保護策、自然公園を掲載するほか、燃料電池や太陽光発電、風力発電など最新の環境技術を導入している企業などを紹介する。県では、万博が開催される前年の2004年度中にホームページを作ることにしている。この日の会議では、青少年公園会場(愛知県長久手町)でグローバル・ループ(高架式回廊)の建設に着手することなど今年度の事業計画や、賓客歓迎、消防防災、警察などの各部会から、開催までの事業スケジュールが報告された。

●愛知万博への出展を表明していた三菱グループは23日、単独館での参加申込書を博覧会協会に提出した。単独館としては、電気事業連合会、トヨタグループ、JR東海、日本ガス協会に次いで5番目となる。

●愛知万博への参加を表明しているチェコのウラジミール・ダルヤニン政府代表が23日、主会場となる愛知青少年公園を視察した。ダルヤニン氏はその後、博覧会協会で、坂本春生事務総長と会談した。会談後、ダルヤニン氏は、「青少年公園は非常にいい会場だと感じたし、愛知万博の成功に向けた協会や県の職員の姿に非常に感銘した」と語ったうえで、「愛知万博のテーマに沿って、チェコ独特の芸術家による出展を考えたい」などと抱負を語った。

●愛知万博の企業出展の参加申し込みが、24日で1か月間の受付期間が終了した。博覧会協会は、企業、団体から計10件の申し込みがあったと発表した。坂本春生事務総長は「不況なので心配したが、民間用の出展スペース(敷地面積で3万平方メートル)は埋まる見通しになった」と語った。
申し込みがあったのは、三菱、日立各グループ、中日新聞社、ブラザー工業、福岡市の家電販売会社・メルシー、連合・連合愛知。このうち、三菱、日立各グループと、既に表明していた電気事業連合会、トヨタグループ、JR東海、日本ガス協会は単独館を造る。その他は共同館、集合館での出展を検討している。これにより、出展が決まった敷地面積は2万5900平方メートルと、民間全体(3万平方メートル)の9割弱になる。今後も申し込みを受け付け、いまのところ、5、6件の申し込みが期待されている。また、協会は出足の鈍い協賛企業の確保に力を入れる方針。一方、長引く不況のため万博参加の利点を疑問視する声もあり、出展以外の協会企画行事への協賛には、企業の反応は鈍い。
大阪万博(1970年)に出展した中部地区の大手食品メーカーは「協賛も含め出る予定はない」という。「大阪万博の時は当社も全国に知られかけており、少々背伸びして出展した。不況で広告宣伝費を切り詰めている今、万博参加にどれほどのPR効果があるのか疑問だ」と言い切る。また、外資系のコンピューター会社も「不景気であり、費用対効果を考えて、参加しないと決めた」という。大手自動車メーカーも「今のところ、参加予定はない。業界全体で出るなら考える」と消極的。
昨秋、東京、大阪、名古屋で開かれた万博計画の企業説明会で坂本春生・博覧会協会事務総長は「企業参加には、イベント開催から人材派遣まで多彩な形がある」「企業が出てくれないと面白い万博にならない」と呼びかけた。協会の計画、催事担当者も「出展すれば利点があると認識してもらえるよう、具体的な万博像を早く打ち出さないと、企業の関心は引けない」と危機感を募らせている。

●政府は24日、愛知万博の関係閣僚会議を首相官邸で開き、国内で初めて導入される常電導磁気浮上式リニアモーターカー(HSST)やアクセス道路建設などを積極的に推進することを了解した。国は今後、関連予算を重点的に配分する方針で、来年度予算の概算要求で関連事業が予算化される見通しになった。
会議に初出席した小泉首相は「21世紀最初の万博であり、官民の知恵を総結集して日本の底力をアピールしたい。成功に向け、関係閣僚一丸となって取り組んでほしい」とあいさつした。この後、平沼経産相がこれまでに31か国、5国際機関から参加表明があったことを報告し、大木環境相は「環境には十分配慮してほしい」と注文した。
リニアモーターカーは、名古屋市営地下鉄の藤ヶ丘駅(名古屋市名東区)と、万博会場近くの愛知環状鉄道八草駅(愛知県豊田市)を結ぶ主要アクセス。このほかに、国・県道の建設、愛知環状鉄道の輸送力を増強するための一部複線化、万博会場の下水道整備などが実施される。
会場アクセス・常電導磁気浮上式リニアモーターカー「東部丘陵線」は、総事業費1075億円と、会場建設費(1350億円)に匹敵するばく大な費用がかかる。万博閉幕後は利用客が減り、累積赤字が解消されるのは21年目。地下鉄東山線藤ヶ丘駅での乗り換え対策も具体化しておらず、地元関係者にとっては不安を抱えたままの発車となる。計画によると、万博開催中の一日平均の乗降客は5万6000人だが、閉幕後は3万1000人に落ち込むと見込まれている。2015年にやっと3万4000人になるが、その後も横ばい状態が続くとみられ、運営主体の第三セクター愛知高速交通は、当初から厳しい経営を迫られている。周辺開発がそれほど期待できないためで、愛知県企画振興部の担当者は「この見通しでさえ、実現できるかどうか分からない」と悲観的だ。
関係閣僚会議では、東部丘陵線を含む関連事業を、国が全面的に支援することが確認されたが、国土交通省都市鉄道課の鈴木史朗調整官は「万博閉幕後の需要は地元の問題だ。県や沿線市町村、運営会社の努力にかかっている」と言い切る。

●県国際博推進局は25日、ルーマニアとラトビアが愛知万博に参加表明した、と発表した。26日には、グルジアが愛知万博に参加表明したことを明らかにした。外交ルートを通じての正式表明は、これで34か国目となる。

●名古屋商工会議所がパビリオンを出展し館内を分割して中小企業などに貸出す構想を発表した。会員企業の反応を見て具体的な検討をする。

●外務省は万博推進幹部連絡会議を開き、現在33ヶ国にとどまっている参加国拡大へ国際会議などあらゆる機会を利用して各国に働きかけることを申合わせた。米国へは州政府単位での参加を要請する。

●愛知万博の知名度を全国的に高めていくため、地元財界や自治体で組織した「愛・地球博PR推進会議」(座長・太田宏次中部経済連合会会長)が26日、今年度の主な活動を発表した。
会議ではまず、3月の会議で了承された「地球大交流への参加を呼びかける」などをうたった宣言文に太田座長ら参加者9人が正式に署名した。活動計画では、「万博の開催まで3年もあるため、認知度は地元と全国とでは温度差がある」などの反省から、首都圏と関西圏を中心にPR活動を強化することを申し合わせた。7月25日からは、毎月25日に、東京駅八重洲口イベントスペースで各種の万博紹介の催しを行う。副座長の市川祐三・中部経済産業局長は、「愛知万博のマスコットキャラクターの愛称を全国紙などで公募したところ、東海4県(静岡県含む)よりも関東地区からの応募数が多かった」として、今後の全国PRへの手応えに自信を示した。

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