【万博】2002.04.16-04.22の動き
●愛知万博開催に伴う環境影響評価案の説明会が15日、愛知県瀬戸市内で開かれ、愛知青少年公園と海上地区の両会場を結ぶゴンドラ建設計画に関して博覧会協会側が、「5月中には具体案をまとめ、地元に示したい」と明らかにした。同計画については、会場内容に関する基本計画が公表される前の昨年11月に、最初の地元説明が行われた。しかし、建設ルートなど具体的な中身はいっさい明らかにされておらず、生活環境への影響について住民の懸念が高まっている。この日、協会側は「地元に説明をした上で、(建設是非も含めて)方針を決める」と説明した。関連する環境への影響は追跡調査で予測、調査するという。説明会の後、ゴンドラの瀬戸市側の発着場所に近い上之山町三丁目町内会は「住民合意なしで、一方的に計画を進めないこと」などと要求する文書を協会側に手渡した。
●愛知万博に名古屋市が単独出展するパビリオンの総合プロデューサーに、歌手の藤井フミヤさんが就任することが、15日決まった。
●県国際博推進局は17日、リトアニア共和国が愛知万博に参加表明した、と発表した。表明国としては30か国目になった。
●東部丘陵線について、計画路線沿線にある大学関係者と県議会企画環境委員会との意見交換会が17日、長久手町の県立大で開かれた。説明役の県当局は、万博後の経営効率策として学割や名古屋市営地下鉄・バスとの乗り継ぎ割引料金を採用する考えのあることを明らかにした。
同線建設工事は、すでに沿線の名古屋市名東区や長久手町、豊田市で始まっており、工事に伴う交通渋滞や、開通時の駅施設の利用方法、スクールバス運行の再編など、大学側の意見、要望を聞くため、昨年8月に続き、会合を開いた。大学側は、県立大や愛知学院大、南山大など9大学から学長、理事長ら、県側は国際博推進局、企画振興部の担当者らが出席した。大学側からは、同線の建設工事で県道の力石・名古屋線が大渋滞し、スクールバスの遅れが出て授業への影響がないようにバイパス路線の整備や、開通後、沿線の新駅からスクールバスを発着できるような施設の建設などの要望が相次いだ。これに対し、県側は、前回の会合で提示した「現行の路線バス並み運賃」を再確認したほか、学生や乗り継ぎ客への割引料金設定を明示した。バイパス整備は困難とする一方、古戦場と青少年公園、八草の3駅で、駅前広場にスクールバス発着用施設を用意すると、答弁した。
●愛知万博に伴う周辺道路整備などの関連事業を推進させるため、政府は関係閣僚会議を今月24日に開き、関連事業計画として了解する方針を決めた。国が、財政難の中でも重点的に予算配分し、会場アクセスとなる鉄道や道路建設など基盤整備について、全面的にバックアップする。愛知万博の関連事業としては、名古屋市営地下鉄の藤ヶ丘駅と愛知環状鉄道の八草駅を結ぶ常電導磁気浮上式リニアモーターカー「東部丘陵線」や、国・県道の建設、愛知環状鉄道の一部複線化、下水道整備などが実施される。こうした周辺の基盤整備を進めるため、17日に神田真秋知事らが平沼経済産業相を訪れ、「開催まで3年を切り、(地元としては)周辺事業を確実に進めることが大切で、政府としてもきちんと位置づけてほしい」と要望した。これに対し、平沼経産相は「関係省庁と連絡を取ってやっていきたい」と答えたという。
愛知万博の関係閣僚会議は、主管する経産省のほか、総務省や国土交通省、外務省などの閣僚が出席する。これまでに、愛知万博の開催が決定した直後の1997年9月と、基本計画の骨子公表後の昨年11月の計2回開かれている。
●愛知万博を全国にPRしようと、トヨタ自動車は博覧会協会と協力して、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団メンバーを中心にした「トヨタ・マスター・プレイヤーズ・ウィーン」を今秋、名古屋市や東京、大阪などで開くと、17日発表した。同タイトルの演奏会は3回目だが、今回はプログラムなどに「万博パートナーシップ事業」と明記し、知名度が低い愛知万博の全国への売り込みも図る。
●知万博の関連イベントを企画、運営する市民ネットワーク「だれでもばんぱく協会」(世話人代表=谷岡郁子・中京女子大学長)が6月1、2の両日、名古屋市西区の庄内川右岸河川敷で、環境保全や自然保護などをテーマに活動する市民グループを集めたイベント「エコストックon水辺」を開催する。市民グループがそれぞれの活動分野を超えて交流し、環境問題を幅広くアピールする狙い。
●県国際博推進局は18日、アフリカのケニアが愛知万博に参加表明したことを明らかにした。外交ルートを通じての正式表明は、これで31か国目となる。
●愛知万博の海上の森会場での市民参加について、博覧会協会は人口爆発や民族対立など地球規模の課題解決に向けた取り組みとする方針を固めた。課題ごとにNPOや企業、個人などの参加者を募り、集まったグループが話し合ってパビリオンでの展示内容を決める手法をとる。
同会場では国、愛知県館と同じ3000平方メートルのパビリオン「市民交流プラザ」を市民参加によって運営し、万博での新しい試みとしてアピールする考え。プラザのほかに5000平方メートルの市民交流広場も用意する。市民交流プラザでは、統一テーマとして「対話」を掲げ、10の課題ごとに例えば作家の大江健三郎さんや天文物理学者のホーキング博士といった世界的な著名人を招き、来場者と会話するコーナーを設ける。人選は課題ごとに集まったグループが決め、交渉や資金集めもそれぞれで行う。10の課題は今後、小川巧記コーディネーターを中心に、NPOや市民グループと話し合って5月中に固める。秋に課題ごとの参加者を世界中から募集する予定。博覧会協会は今回のコンセプトを「海上からはじまる21世紀」として、次回以降の万博開催地に引き継ぎ、同様の形式で議論を継続してもらう意向。地球的規模での課題解決の議論を海上の森会場でスタートさせる考え。
●「愛知万博」と同博の「千日前まつり」(6月7日)をPRしようと、会場の愛知青少年公園がある長久手町の元塾講師、田崎哲寿さんが18日、自転車で県内一周の行脚にスタートした。田崎さんは長久手町を除く県内87全市町村を訪れ、加藤梅雄・長久手町長のメッセージを手渡してくる。
●愛知万博の出展調査のため、県を訪れている駐日アイスランド大使のインギムンドゥール・シグフッソン氏が18日、県庁で神田真秋知事と歓談した。神田知事が「愛・地球博は環境に配慮した計画。つぶさに現地を見て、ぜひ出展を」とあいさつ。シグフッソン氏は「自然を生かした愛・地球博の計画には感心している。参加するかどうかは本国が決めるが、ぜひ参加するように進言したい」とにこやかに話した。
●万博のアセスメントのやり直しなどを求める緊急共同声明を、28人の学者などが発表し、協会・産経大臣・県・地元首長に提出した。