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【万博】2002.3.12-3.18の動き

●東部丘陵線で採用されたHSSTを開発する会社に、米政府の技術者が訪問した。試乗し車内の磁力・車体のゆれ・騒音などを調査し、大都市での採用へ費用の半額を補助し研究評価を行う事業者を公募する。

●愛知万博の開催効果を地域に生かす方策を考えようと、名古屋学院大は11日、名古屋・栄の名古屋ガーデンパレスで、シンポジウム「地域を生かす博覧会 ジャパンエキスポ2001から愛知万博へ」を開いた。
昨年、福島、山口、福岡の3県で開催されたジャパンエキスポから学ぶべき点は多いと、まず3博覧会の担当者が成果を検証。「タイアップ事業が、博覧会後もほとんど継続している」(うつくしま未来博)と開催効果を強調する報告があった一方で、収益が赤字となった北九州博覧祭の担当者からは「テーマが難しすぎたのではとの声があった」と反省の弁も。 この後、安井俊夫愛知万博協会総長代理、中谷光孝県国際博推進局長らも加わって五人でパネル討論した。
「NPO(民間非営利団体)センターとうまく結びついたことが、イベントに広がりを持たせた」「難しいテーマをかみ砕いて分かりやすく伝える工夫こそが市民参加を促す」といった意見が出された。

●愛知万博のサテライト会場となる名古屋駅南の笹島地区について、民間のアミューズメント施設などの誘致を目指している名古屋市は11日、市議会総務環境委員会で、開発デベロッパーなど全国30社を対象に実施した企業ヒアリングの結果を公表した。
立地条件について、「都心で駅に近く魅力的」という企業がある反面、「名古屋駅から徒歩15分という距離が問題だ」と答えた企業もあった。市は今後、ヒアリングの結果を元に、7月までには進出募集の条件などをきめ、地区の活用策について全国の企業を対象に、アイデアを募集をする考えだ。
市万博推進室によると、企業ヒアリングは開発デベロッパーや流通業界、シネコンなどのアミューズメント施設を展開している企業を対象に実施した。
開発面積や土地の賃貸料など諸条件が固まっていないため、「具体的な検討に入りづらい」という声が多かったが、複数企業での協同参加を提案する意見や、市に対し、集客の核となるような催事を計画して欲しいという要望も寄せられた。
同推進室では、アイデア公募の要項、審査基準を4月から7月にかけて策定し、7月から10月の予定で、募集をする。多くの企業からアイデアが集まるよう、「企業の進出しやすい参加条件にしたい」(同推進室)としている。

●博覧会協会は12日、万博の環境影響評価(アセスメント)の内容をまとめた修正評価書原案を正式に公表した。
昨年12月に発表された万博基本計画を基に、愛知青少年公園会場(愛知県長久手町)にある森林体感ゾーンの1日の最大入場者数を、従来の約1万5800人から約7000人に修正し、ゾーン内の植物への影響を抑える環境保全措置を新たに盛り込んだ。原案は、3月13日から4月12日まで公開される。協会は、同ゾーンは自然にそのまま親しんでもらう地域だけに、植物にもより配慮する必要があると判断した。また、青少年公園会場と海上会場にある植物への影響の度合いも明示した。こうした予測を基に、会場計画の縮小で環境への影響は概ね低減、回避できたとしている。しかし、環境保全措置をさらに充実させる方針だ。
原案は、協会名古屋事務所(名古屋市中村区)、瀬戸、豊田市役所、長久手町役場で公開する。協会は今後、住民から寄せられた意見と愛知県知事、経済産業省、環境省大臣の意見を盛り込んだ最終的な評価書を6月中にも完成させたいとしている。

●愛知万博開催3年前を記念した市民団体など主催のフォーラム「新あいち発見伝」が13日、長久手町で開かれた。
博覧会協会の泉真也・総合プロデューサーが基調講演し、「ものづくりで発展してきた愛知の伝統を生かし、在来産業にないものを打ち出したい」と、会場づくりの抱負を語った。フォーラムは、「EXPO2005地球市民の会」などで構成する2005年日本国際博カウントダウンイベント実行委員会などが、万博を街づくりの視点から考えようと主催した。「地域のまちづくりと愛知万博」のテーマでのパネル討議もあり、須田寛・JR東海会長は「(愛知万博を成功させるカギは)交通アクセスを完備することで、会場の周辺都市を含めた国際都市づくりを考えるべきだ」と提案。造形作家の夢童由里子さんが「(内外からの来場者の)顔と顔の出会いの場にしたい」と述べた。

●愛知万博会場を、高齢者や障害者にも利用しやすい形にする方策を考える博覧会協会のバリアフリー対策検討委員会が13日、名古屋市内で開かれ、協会は、万博会場の目玉施設であるグローバル・ループ(高架式回廊)のこう配が5%(約2・9度)になると明らかにした。委員からは「具体的なバリアフリーの方策を考えるためにも今後、さらに細かいデータを出してほしい」という要望などがあった。
グローバル・ループは延長約2・5キロで、青少年公園会場内の各施設を結ぶ。協会はこう配のほか、ループの地上高は最大で18メートルになることも明らかにした。これに対し、委員からは「大した傾斜ではないが、万一の際の避難路はどのように用意するのか」「障害者や高齢者がループを上り下りする際に介助するボランティアの体制は出来ているのか」などの質問が続いた。現時点では、委員からの疑問にすべて答えられるほど計画が詰まっていないため、次回の委員会以降、協会がより細かいデータを出し、それらを基に具体的なバリアフリー対策を考えていくことにした。

●博覧会協会が公表した愛知万博の環境影響評価(アセスメント)・修正評価書原案を巡り、日本共産党県委員会・県議団は13日、アセスのやり直しなどを求める意見書を発表した。
意見書では、アセスの実施計画書、準備書、評価書、修正評価書のそれぞれの段階で、会場計画案が異なっていることを指摘、「現在の環境影響評価法では、対象の市町が変われば無条件に手続きをやり直している」とした上で、「(経済産業省の)アセス要領にのっとっても、環境負荷の低減が明らかでないかぎり、やり直しは当然」などと協会の手続きを批判した。

●海上の森クラブなどは協会と県に対し万博推進最高会議を緊急に開催し万博の撤退を求めると共に、ハチクマの営巣情報を7ヶ月も隠した理由を公開するように申し入れた。

●青少年公園の県総合児童センターの閉鎖に反対する市民団体は、存続を訴える文書を自民党県議団に提出したが、県議会健康福祉委員会はセンター廃止への条例改正案を可決した。

●名鉄は、愛知万博支援事業として、15日から、「人と自然が織りなす日本の風景100選」を募集する。「100選」は、人間の営みと自然が作りだした様々な風景を多くの人たちに紹介することで、愛知万博のテーマへの理解を深めてもらう狙い。
審査は有識者と一般市民代表でつくる選定委員会が行う。最終選定地に選ばれた人の中から抽選で20人に3万円相当の旅行券が贈られる。

●県国際博推進局は15日、東京に本部のある「国際連合大学」が愛知万博に参加表明したことを明らかにした。国際機関の表明はこれで5団体目。
国連大学は、国連とその加盟国や国民が関心を寄せる地球規模の問題の解決のために学術面から貢献しており、1975年に活動が始まった。

●博覧会協会は15日、開催1年半前から販売する予定の同博覧会の入場券について、海上会場と愛知青少年公園会場をセットにしたチケット以外に販売予定はないことを明らかにした。
博覧会の基本計画で海上会場の入場者が全体の1割程度と想定され、海上会場の地元瀬戸市関係者の間で「海上会場に入場者が来ないのでは」との懸念が強い。この日開かれた同市議会博覧会対策特別委員会で、海上会場に入場者を導く手法として、委員から「無料化も含め、同会場だけに通用する格安券を販売する考えがないか」と質問が出た。井内摂男同協会経営企画室参事は「一体会場という認識で、運営上も難しい」と述べた上でセット券のみを販売するとした。

●中部地域の国際化を考える「地域国際活動研究センター」のセミナーが15日、同市中村区の名古屋国際センターで開かれた。同センター代表で三重大学人文学部の児玉克哉助教授が講演し、愛知万博を地域の国際化戦略の中で位置づけることの重要性を訴えた。
児玉助教授は1990年代以降、国内で増えた日系ブラジル人が、同国人だけでカプセル的な社会をつくって生活する傾向にあることを指摘。「ブラジル人も日本人も互いに交流しないため表面化していないが、社会的な緊張は潜在的に高まっており、いつトラブルが噴出するか分からない。回避のため相互の交流が必要で、万博を国際化戦略に活用すべきだ」と主張した。産業界にとっても、他地域に抜きんでた国際化が実現すれば、新産業誘致やスムーズな海外進出などでメリットがあると訴えた。

●愛知万博の会場建設工事のため、来月から閉鎖される愛知青少年公園に展示されている音楽ロボットなど5体の行く末が決まっていない。ロボットたちは、1970年の大阪万博に展示された後、同公園内で演奏しながら歌い続け、子供たちの人気を集めてきた。"引退"の可能性もあるだけに、関係者からは「万博に縁が深いので、愛知万博でも活躍させてやりたい」と同情の声が上がっている。
ロボットは、フジパン(本社・名古屋市)が大阪万博のロボット館に、8体を作って展示した。デザインは漫画家の手塚治虫さん。大阪万博後の70年秋、当時の桑原幹根・愛知県知事から、「開園したばかりの青少年公園に展示したい」との要請を受けたフジパンが、愛知県に寄贈した。8体のうち3体は、手塚プロが来春から全国各地で開く「鉄腕アトムの軌跡展」のため、今月15日に引き取った。残る5体は、行く末未定のまま、園内にある県児童総合センターのロボットシアターで展示中だ。入り口に一体が飾られ、ほかの4体は「それぞれ故障があっても、足りないところを補い合って素晴らしい演奏を披露する」との筋立てで、楽器を演奏しながら歌う。終盤には「ワタシタチヲ、ステナイデ」と声をそろえるロボット。歌詞は、青少年公園が万博会場になる前に作られたが、ロボットの将来を考えると、深刻な叫びにも聞こえる。

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