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【万博】2002.2.26-3.4の動き

●年間約50万人が利用する愛知県児童総合センターが、愛知万博の会場造成工事のために3月末で廃止される。万博で建物は子ども向けパビリオンに使われるが、工事中の代替施設が近隣になく、万博後の建物の再利用計画も決まっていない。突然の県の廃止方針には戸惑いや不満の声が出ている。
 センターは約65億円をかけて96年7月に愛知青少年公園内にオープンした。「子どもとアートのふれあい」がテーマで、建物と一体化した遊具機能をもつオブジェが並ぶ「プレイアトリウム」や、子どもたちが工作などを楽しめる造形スタジオなどがある。施設は97年に日本建築学会賞を受賞。開館以来、臨床心理士や周辺在住の芸術家らも参加して500種類近い「遊びのプログラム」を開発、実践してきた。基本計画ではセンターは「創造力遊園地」とされているが、具体案はまだ明らかになっていない。
 代替施設として、県は約40キロ離れた同県幡豆町の「愛知こどもの国」に造形スタジオなどの一部機能を移転する。センターの建物と一体化した遊具が移設できないなど機能も限定される。万博閉幕後、同公園は06年度をめどに「都市公園」として再生させるが、センターの後継施設をどうするかは未定。
 センターが来場者に実施したアンケートでは「閉館しないで」「万博でなくなるのは残念」などの声が多く寄せられた。週末にセンターを訪れる一宮市の主婦高木佳代さん(33)は「子どもを屋内で遊ばせる施設でこれだけの規模のものはない」。名古屋市中村区の会社役員蒲裕二さん(31)は「やめていいのか、もっと話し合いをすべきだ」と話す。

●愛知県は25日、愛知万博の2会場に出展するパビリオンの展開テーマを発表した。
メーン会場の愛知青少年公園会場では「環業革命への力」を掲げた。循環型社会の実現に向け、身近な環境に対する課題、最先端技術などを展示する。海上会場は「森の鼓動と呼吸」。会場周辺の里山の生態系を映像や立体展示で紹介、人と自然のかかわりを学ぶ場と位置付けた。青少年公園会場パビリオンの「環業革命」は、環境問題と産業革命を合わせた造語で、県パビリオン総合プロデューサーで作家の山根一真さんのネーミング。

●若者に根強い人気を持つロックバンド「X JAPAN」の元リーダーで、小泉首相とも親交がある音楽家のYOSHIKIさんが愛知万博のイメージソングを作ることになった。博覧会協会の坂本春生事務総長が2月25日明らかにしたもので、YOSHIKIさんは「地球、自然愛の大切さを全世界に伝えるような素晴らしい曲を作りたい」と話しているという。

●愛知万博のPR活動に取り組むため、地元経済団体や中部経済産業局、関係自治体など9機関で構成する「愛・地球博PR推進会議」が2月25日、初会合を開いた。
会議では万博開催3年前の3月25日に、PRイベント「愛・地球博大交流会」を名古屋市内のホテルで開催したり、団体や企業に万博シンボルマークの使用を促すなど「愛・地球博」の知名度向上をPRしていくことを申し合わせた。

●県国際博推進局は2月26日、チェコが愛知万博に参加表明したことを明らかにした。外交ルートを通じての正式表明は、これで26か国になった。
また、韓国の産業資源省は3日、愛知万博に参加することを決めたと発表した。韓国は会場内に韓国館(約1620平方メートル)を開設する計画で、今後3年間で90億ウォン(約9億円)の費用を見込んでいる。同省は今月中に外交ルートを通じ、主催者側に参加方針を正式に伝える。

●愛知万博の開催に反対する市民グループのメンバーらが26日会見し、新聞に意見広告を出すための団体「愛知万博から勇気ある撤退を!意見広告の会」を発足させる、と発表した。会見したのは呼びかけ人の阪野智夫さんらで、「オオタカなど生物への影響が大きく、環境影響評価も不十分。愛知県の財政も圧迫する」として、開幕1000日前に当たる6月29日の新聞紙上に意見広告を掲載するという。

●国が新年度に全国8カ所で設置する方針の「自閉症・発達障害支援センター」(仮称)について、愛知、三重両県が設置場所まで検討しながら計画を見送っていたことが分かった。財政難などを理由としているが、自閉症児の親や専門家から「施策の重要性がわかっていない」と落胆の声がでている。国の担当者も「東海地区には専門家も多く、手が挙がらないとは思ってもみなかった」と驚いている。
構想のきっかけの一つは、00年に愛知県豊川市の主婦が刺殺された事件だった。愛知県豊橋市の福田美智子さん(47)は「自閉症への支援が一歩進むと期待していたのに。『財政難』というが、愛知万博にはあんなにお金をかけている」と話す。

●愛知万博海上の森会場周辺で、猛きん類のハチクマの営巣が確認された問題で、日本共産党県委員会(岩中正巳委員長)は2月27日、神田真秋知事と豊田章一郎・博覧会協会会長に対し、必要な調査検討を行い、保護策が確立するまでは万博にかかわる工事をしないよう申し入れた。

●愛知万博に出展を検討している企業や団体が2月27、28日、メーン会場となる愛知青少年公園を見学した。「現場を見て具体的なイメージを膨らませてほしい」と博覧会協会が主催した。
初日は25社・団体の約40人が参加。協会職員の説明を受けながら、公園中央にあるアイススケート場と温水プールや「こいの池」、児童総合センターなどを約1時間にわたり見学した。

●愛知県は名古屋市中区のテレビ塔を巨大なクリスマスツリーとして飾り付け、愛知万博のPRに活用できるよう検討を始める。2月27日、愛知県議会の代表質問に対して神田真秋知事が「街の話題に上り(万博への)期待が高まる」とし、名古屋市と協議する意向を表明した。
テレビ塔は2003年の地上波デジタル放送開始以降の新しい活用策が決まっていない。塔を世界最大級のクリスマスのシンボルとして生まれ変わらせ、栄地区の活性化にもつなげようというもくろみ。来年のクリスマスをめどに塔で万博のカウントダウンを始め、若者主体の関連イベントを開催することなどを検討する。テレビ塔がある一帯は名古屋市の都市景観整備地区で、市の景観条例や道路管理規則の規制を受けることから、市と協議を行い、実現の可能性を探っていく。

●瀬戸市議会の代表質問が、2月28日始まり、愛知万博・海上会場に建設される国の施設について、増岡錦也市長は「政府出展施設は、恒久施設として国が建設し、(万博終了後は)国の施設として整備するよう働きかけている」と述べた。財政難から、国では県や同市に対し、万博後は施設を買い取るよう求める姿勢をみせている。

●愛知万博の環境影響評価をしている博覧会協会に学者が専門的な助言をする「アドバイザー会議」が2月28日、名古屋市内で開かれた。
会議では、協会が現在、作成している環境影響評価書(修正版)の原案が示され、協会側が内容を説明した。会議のメンバーからは「万博の会場計画が大幅に変更、縮小されたことに伴い、環境への影響がどの程度低くなったのかを、より具体的に示すべきだ」など、アセスメントの内容や評価の根拠を分かりやすく表現するよう注文が出た。一方、会場予定地の外で営巣が確認された猛きん類のハチクマについては、さらに生息状況への影響を調査していくことにした。協会では、この日の意見をもとに修正評価書の原案を作り、4日、経済産業省を通じて、同省のアセスメント検討会に提出する。

●愛知万博の会場づくりに身障者の意見を取り入れようと、博覧会協会は1日、愛知青少年公園と海上の両会場で、協会のバリアフリー対策検討委員会のメンバーら17人が参加して現地調査をした。各施設を結ぶ通路となる延長約2・5キロの「グローバル・ループ」には、特に参加者の関心が集まり、「こう配はどれくらいになるのか」「目の不自由な人の案内方法は」など、質問が相次いだ。

●神田真秋愛知県知事は1日、副知事に長谷川信義・県企業庁長(59)、森徳夫・企画振興部長(59)を充てる人事を発表した。開会中の県議会で同意を得て、4月1日付で発令する。神田知事は「愛知万博、中部国際空港という大プロジェクトは新年度が正念場であり、職員が一丸となって進むため人事を刷新した」と狙いを説明した。長谷川氏が愛知万博、森氏が空港関連を担当する。

●愛知万博の環境影響評価を指導する経済産業省の意見検討会(座長、森島昭夫・名古屋大名誉教授)が4日、同省で開かれ、現在の基本計画を基に、環境への影響を予測した博覧会協会の修正評価書を承認した。
修正評価書は、当初の海上の森約540ヘクタールの計画による環境アセスを、2会場に分散した現在の基本計画でのアセスに変更。当初計画と基本計画の両方で、会場造成が環境に与える影響を予測。基本計画の方が大気や土壌、生態系などの環境負荷は少ないと結論づけた。委員からは「具体的な実施計画をみてからでないと修正評価書は認められないのでは」などの反対意見が出た。
検討会ではこの日の反対意見を修正評価書に明記し、今後も分科会などでさらに議論を進めることを前提に、修正評価書を住民意見聴取など次の段階に手続きを進めることを承認した。

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