【万博】2002.2.5-2.11の動き
●愛知万博の愛称が「愛・地球博」に決まったことについて、神田真秋知事は4日の記者会見で、「わかりやすく、いい言葉」として今後万博のPRに活用する考えを示した。
神田知事は「愛は愛知にもかかわりがあり、地球には環境との共生が含まれている」と評価した。愛知という地名がないことに、一部の地元関係者から疑問の声が出ていることには、「愛知万博という言葉も使い、場所に応じて使い分けをしてもよい」と話した。
また、博覧会協会の広報プロデューサーにタレントのマリ・クリスティーヌさんが選ばれたことに、「行政とは違ったPRをしてくれるのではないかと期待している」と語った。
●愛知万博への参加を決めている電気事業連合会(会長・南直哉東京電力社長)が、パビリオン出展の3形態(単独館、共同館、集合館)のうち、単独館での出展を検討していることが4日わかった。すでに博覧会協会にもこの意向を伝えたという。
電事連は、博覧会協会の申し出を受けて、先月25日に出展を表明。今月1日には、名古屋市の中部電力本店内に、出展内容を検討する「愛知万博推進室」を置いた。電事連では、大阪万博(70年)、つくば博(85年)、花と緑博(90年)と過去の博覧会にも、単独館である電力館を出展しており、それに沿って単独館での出展を検討していると見られる。電事連では、愛知万博への出展を申し込む(期間3月25日―4月24日)段階で、出展形態を正式決定する。
●愛知万博の支援について検討していた中部経済連合会は、名古屋商工会議所と連携して、「2005年日本国際博覧会支援企業協議会」(仮称)を今年4月をめどに設立することを決めた。4日の中経連の会見で、太田宏次会長が明らかにした。会員は博覧会協会に建設費の民間負担分を寄付した企業約2000社や出展企業などで、協議会の事務局が主に電子メールやメールマガジンを活用し、万博情報を伝えるという。
●愛知万博の環境影響評価をする博覧会協会に対し、自然科学の研究者らが評価の手法について助言する意見検討会の分科会(分科会長・武内和彦東大教授)が4日、経済産業省で開かれ、青少年公園地区での動植物全体への影響について、協会が新たに調査することを了承した。同地区での影響評価では、万博会場建設に伴う大気への影響や、騒音、振動など156項目について協会が調べる。
しかし、動物や鳥類と、そのえさとなる動植物との関係や、ある植物の数の変化が別の植物に及ぼす影響など「生態系の連鎖」の調査を求める意見が一般から数多く寄せられた。このため協会も調査を決めた。また、分科会では「影響評価には『オオタカの繁殖力の低下』という調査項目があるが、調べる手法はない。調査項目から外すべきだ」という指摘もあった。
●愛知県商店街振興組合連合会が昨年12〜今年1月中旬までホームページで販売促進のプレゼント企画の一環として愛知万博への提言を求めたところ、期待する人々と無関心層が交錯する様子が分かった。
有効回答は約5000人。このうち愛知県外が9割弱を占める。内容別では、最も多かったのが「是非見に行きたい・頑張って欲しい」の41・5%。この回答の約9割も県外からで県外でも一定の認知度はある様子がうかがえる。ただ、その次は「特になし」で20・5%。愛知万博そのものを知らない層がいるためでは、と同会はみる。以下、「環境・交通アクセスに配慮してほしい」15・4%、「日本経済再生・未来へのキッカケにして」8・6%、「情報不足・PRが足りない」7・0%など。
●愛知万博への市民参加を呼びかける地域ワークショップが6日夜、長久手町役場西庁舎で開かれ、ボランティアグループのメンバーなど約80人が参加した。
「県民参加ワークショップIN尾張東部」(江尻吉彦・同ワーキンググループ委員代表)主催。地域のNPO(非営利組織)や市民団体のほか、会場予定地の瀬戸市、長久手町など4市2町の自治体職員や県国際博推進局らがオブザーバーとして出席した。
会場ではまず、約20人のパネラーが、万博でやりたいことや多くの人が参加するための方策などについて発表。この中では、自然にやさしいアクセス方法として「万博会場には自転車、徒歩で参加を呼びかけたい」という意見や、イベント案として、知多半島の先から会場までの約60キロを10万人規模で行う「迎え火提灯(ちょうちん)行列大作戦」、3月25日から9月25日まで185日間の期間中、タテ糸を主催者が用意しヨコ糸を入場者が入れる記念の帯づくり「世界を結ぶ最長帯作り機織(はたおり)」など、ユニークな発想なども紹介された。
●愛知万博で、海上の森会場に建設する愛知県パビリオンについて、県は風力や太陽光などの自然エネルギーを活用し、会期中の電力需要を賄うなど「人と自然にやさしい共同体(エコ・コミュニティ)」を具体化する施設として整備する方針を固めた。
構想では、同県田原町や山形県など全国数十カ所にある風力発電所を活用。万博開催前から発電した電力を、あらかじめ電力会社に買い取って保管してもらい、6カ月間の開催期間中に県パビリオンに供給する。さらに、一般県民の家庭にあるソーラーシステムで生み出された電力を寄付してもらうなど、県民が積極的に県出展事業に参加でき、会場と地域をつなぐ方法も検討している。パビリオン内の水供給やし尿処理などにも、積極的に循環型社会のモデルを提示できるような様々な工夫を取り入れる。
海上の森の県パビリオンの展示は「生命の連鎖」をテーマとし、「里山の自然の魅力」を映像などで紹介する。複眼のムシの目を通して「自然の驚異」を体感する仕掛けなど、パビリオン全体を「自然博物館」として整備する方針。
一方、青少年公園会場の同県パビリオンは、自然を生かしながら技術を生んだ愛知のモノづくりの情熱と英知を紹介することを重点とする。モノづくりの技術を自然への負荷軽減に役立てる「環境テクノロジー」のあり方を提示していく。
両パビリオンは、ノンフィクション作家の山根一真・県総合プロデューサーが中心となり、名称や具体的な出展内容を詰めている。
●愛知万博を盛り上げるため、博覧会協会が、1日から受け付けていた「愛知万博パートナーシップ事業」に、8日までに、7件の事業が登録された。この事業は、企業や市民、研究機関などが、博覧会協会のパートナーとなって、万博開催前や会場外で事業を行い、愛知万博をPRする。
中部電力が主催し、市民やプロの歌手が参加する万博支援コンサート(民間企業部門)や、人と自然が織りなす日本の風景100か所を公募し、選定する名鉄グループの「日本の風景百選」事業(民間企業環境部門)、豊田市などがロボットの展示や実演などをする「とよたEXPOスクエア モノづくり・夢づくり広場」事業(行政部門)、花王国・愛知をPRする「フラワードーム2002―あいち花フェスタ名古屋国際蘭(らん)展―」(環境部門)が、各部門で登録第1号となった。
●愛知万博に単独館を出展する名古屋市のテーマが、8日、「日本のこころ、地球のいのち」と決まった。歌手の藤井フミヤさんらが委員を務める「名古屋市出展参加懇談会」の第3回会合で、「日本人が昔から豊かな自然とともに生活し、自然から様々な知恵を学んできたことを世界にアピールできる。21世紀の人類や社会の在り方を地球規模で探るのにもふさわしい」と、一致した。委員のアイデアを基に市が示した骨格案によると、調和の心を大切にし、多くの価値観を受け入れる「日本のこころ」を次世代へ伝えることと、宇宙から地球をとらえ、人類を自然の一員、地球の一員としての将来像を提案して「地球のいのち」を表現することを基本理念としている。
パビリオンは来場者に対し、(1)驚きと感動を生み出す(2)ふれあいと安らぎを与える(3)知的好奇心を満足させる(4)記憶に刻むの4点を狙いとする。展示内容については「ものの展示」にこだわらず、万博後につながる市民の達成感と、本物を見せて体験させることにより生まれる価値観を大切にするとしている。
懇談会ではまた、「工事などで切り倒されそうな世界中の巨木を、万博のシンボルとして会場に移植できないか」「池の水と太陽光を利用した、大きな水車を設置してはどうか」などとの提言も相次いだ。
同市が出展するパビリオンは、青少年公園地区のほぼ中央に建設され、広さは約2000平方メートル。市は、この日の議論を参考に正式に基本構想の骨格をつくり、15日から、これらアイデアを市のホームページなどで公表し、市民の意見を聞いた上、3月25日に予定される次回会合で、基本構想にまとめて市側に提言する。
●「日本青年会議所東海地区愛知ブロック協議会名古屋会議」が9日開かれ、大沢会長は「万博をはじめ地域社会に積極的、能動的にかかわっていきたい」と述べた。
●協会は障害者やお年寄りなど誰でも楽しめる万博へと会場の基本設計に関わるバリアフリー検討委員会設置を決定。障害者・高齢者団体代表も参加する部会を設ける。