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【02.05.29】万博アセス案への知事意見

県民の疑問に答えず

県議団 撤回、やり直し申し入れ

2002年5月31日 「しんぶん赤旗」

 日本共産党愛知県議団(きしの知子団長)は29日、神田真秋知事が先に愛知万博環境影響評価(アセスメント)書案への意見書を提出した問題で、これを撤回し、アセス手続きを博覧会協会にやり直すように求める申し入れをしました。

 愛知万博計画は、青少年公園や、海上(かいしょ)の森の自然破壊、県民の大きな財政負担など、強い疑問があり、アセスがこうした問題に答えなければならないのに、知事意見は、現在の開催計画やアセスの内容を前提に、推進する立場になっていると指摘。

 知事意見は「環境問題の解決に向けた世界に誇れる内容にすること」「青少年公園の再整備計画との連携を図ること」などをいっているが、県民の納得していない青少年公園の利用制限や再整備計画が推進されていると強調。東部丘陵線や道路など万博と一体の事業を含めたアセスの実施を拒否していることには何も触れておらず、これらの問題を解決できないものになっているとしています。

 新たに計画に入れられたゴンドラ建設は、環境に大きな影響を与えるもので、あらためてアセスをおこなうべきだとの強い意見がが出ている問題にも、「いっさい触れられていないことは重大」と批判しています。


2002年5月29日
愛知県知事        
神田 真秋  様        

日本共産党愛知県議会議員団
団長  きしの 知子            

2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価書(案) に対する知事意見についての申し入れ

 貴職は5月24日に、2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価書(案)に対する意見をまとめ、2005年日本国際博覧会協会に通知しました。この知事意見は、「環境影響評価書の作成にあたっては、住民などの意見を十分に検討する」ことを求めていますが、知事意見自体は、事前に住民の意見を求め、議会で議論することなくまとめられており、県民の意見を十分にふまえた知事意見とはいえません。

  多くの県民は、愛知万博について、"環境万博といいながら、なぜ、海上の森や愛知青少年公園の自然を破壊するのか""これまでの万博の中で一番重い財政負担を押しつけられ、なぜ、県民の福祉やくらしの施策が後退させられなければならないのか"などの不安と疑問をもっており、こうした問題にきちんとこたえられる環境影響評価書となるように、知事として意見をまとめることが必要です。とくに、新しい環境影響評価の真のモデルを示すとして行われた環境影響評価について、21世紀の初頭に開くものとして適切な内容かどうか、科学的な知見を示すことが求められています。しかし、知事意見は既存の万博計画と環境影響評価の内容を前提とし、推進する立場でつくられており、こうした県民の切実な意見にこたえず、科学的な知見とはいえないものとなっています。

  共通事項では「開催の理念をふまえ、人類が直面している様々な環境問題の解決に向けた世界に誇れる内容とする」「青少年公園の再整備計画との連携」「(東部丘陵線、名古屋瀬戸道路建設事業の工事の関係で)環境への影響を低減するため、関係機関などと十分に連絡調整をはかること」を求めています。しかし、万博計画自体が環境破壊をすすめており、さらに県民が納得していないにもかかわらず青少年公園の利用制限や再整備計画をすすめ、東部丘陵線や道路などの万博と一体となった環境影響評価について博覧会協会や愛知県が拒否しているなどの矛盾については解決できない意見となっていいることです。

  また、個別事項でも、「博覧会来場者に対する鉄道系の誘導等の環境保全対策に努める」「関係機関などと十分連携及び調整をはかり、交通流の円滑化に努める」ことを求め、「博覧会事業の実施にともない、青少年公園の利用が一時的に制限される」という意見を述べていますが、地下鉄東山線と東部丘陵線の輸送量のちがいによる混雑と混乱、現在でも通勤時に渋滞している道路への万博参加による交通量増加という具体的な問題には何もこたえず、児童総合センターなど青少年公園内の施設利用の存続を求める県民の声を無視した意見となっています。

  特に、あらたに付け加えられた環境に大きな影響を与えるゴンドラ計画については、いっさい触れられていないことは重大です。

  さらに、自然保護の問題では、生態系に大きな影響を及ぼす会場の樹木への農薬散布を前提とした「施用量等周辺環境への影響に十分配慮する」との記述や、オオタカやハチクマの保護策が確立していないもとで「オオタカ、シデコブシなど注目すべき動植物については、保全措置などにより影響を回避または低減している」との断定は、とても環境万博を開催するための科学的な意見とはいえません。

  日本共産党は、この評価書案について、3月13日に見解を明らかにして、「修正評価書案は、県民や市民団体、自然保護団体、専門家の意見を十分くみつくし、反映したものではなく、手続きの上からも内容の上からも、『環境影響評価法の趣旨を先取りする新しい環境影響評価のモデルを示す』(旧通産省要領)ものとはなっていません」と指摘し、手続き上、内容上の問題を指摘した上で、「21世紀の初頭に開催される環境万博にふさわしい環境影響評価となるように、また、日本の21世紀の環境影響評価の真のモデルとなるように、愛知万博の環境影響評価の手続きのやり直しを求めます。また、万博開催に向けて環境影響評価の手続きのやり直しが時間的にできないというなら、環境影響評価を不十分ですますのではなく、これまでわが党が主張してきたように、きっぱりと万博を中止して開催を返上すべき」ことを求めました。

  知事意見は、「地域住民からの環境に関する要望に対して迅速かつ適切な対応をはかること」を求めていますが、県知事自身が、愛知万博と環境影響評価にかかわる県民の率直、切実な意見に耳を傾け、県民の不安や疑問にこたえる知事意見を県民や議会の議論をふまえて練り上げてつくるべきです。

  日本共産党は、愛知県が、博覧会協会に通知した知事意見は撤回し、環境影響評価手続きをやり直すよう博覧会協会に対して働きかけることを求めます。

以上

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