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中部国際空港アクセス道路

線路変更させた!

名鉄高架事業に住民の怒り爆発

緑地帯も確保へ

2002年5月26日 「愛知民報」

名鉄常滑線線路 中部国際空港へのアクセス鉄道として高架化事業がすすんでいる名鉄常滑線の線路が民家すれすれに計画されていた問題で、かたくなに線路の変更を拒否していた事業者が一転、位置を修正すると住民に知らせてきました。2005年の開港に間に合わせるため、住民にまともな説明をせず、計画をごり押ししようとした事業者が住民パワーに屈しました。沿線住民には「ほとんどあきらめていたけど、よかった」との声がひろがっています。

民家すれすれ→「2メートル離します」

 事業者側が示した変更内容は、全体的に線路の位置を東側にずらし、緑地帯(緩衝地帯)はもともとあった2メートルを確保するというもの。これにより防音壁外側から距離が36センチしかなかった民家では205センチ離れるなど住民側の要望にほぼ沿った内容でした。事業者の常滑市、県、中部国際空港連絡鉄道と設計を担当している名鉄の4者で協議した結果でした。

 民家との超接近が問題となっていた区間は、名鉄常滑線末端部の榎戸−常滑間1・5キロのうち同線西側に位置する新浜町4丁目。事業者は全線高架の中部国際空港連絡鉄道(常滑−空港間4・2キロ)に接続するため高架にすることが必要としています。

 昨年11、12月の工事説明会で事業者側は、旧線路より西側に約3メートルずらす設計にしたという話は一言もしませんでした。

 もともとあった幅2メートルの緑地帯は10数年前、区画整理で住民が市に提供したもの。それも削って設計していました。

 「やけにクイが近い。電車1台分寄ってきそうだ」「実際に線路の位置がどうなるのか」と住民が不安を感じ始めたのはことし1月に工事が始まってから。

 町内長などが市に説明を求めると、「3線だった常滑駅を4線にするため中心線がずれる。そのため従来カーブだった線路を真っ直ぐにしなければいけないから」。計画変更を求めても、「できません」と繰り返すばかりでした。

 3月、住民から訴えを聞いた日本共産党の佐々木志津江市議がすぐ動きました。関係住民にたいする説明会の開催を市土木課に要望した結果、4月20日、現地説明会が実現しました。

 町内長が関係19世帯に回覧板で知らせたため、「うちは離れているので」と安心していた住民らもふくめ約20人が立ち会い、線路内に立ち入って防音壁と民家との距離を実測しました。

 わかったのは、わが家と防音壁との間があまりに狭いこと。最小では36センチしかありませんでした。

 5月3日、地元集会所で開かれた説明会で、事業者は「名鉄と再検討したが、現在の位置が最適」と回答しました。住民側は「設計の時点でなぜ説明しなかったのか。だんまりですまそうとしたのか」「緑地はもともとわれわれの土地だ。ひとことあってもいいのではないか」と怒りが納まりませんでしたが、事業者側は線路の変更についてはあくまで拒否しました。

 常滑線の高架化工事にともない、ことし1月から2年余もバス代替運行で不便を強いられるなど、住民にとってはふんだりけったりの話です。

 住民の間で工事差し止め訴訟も話題にのぼっていた5月11日、事業者側は「検討した結果、変更します」と態度を一変。佐々木議員も立ち会い、町内長宅で沿線住民3人に「みなさんに納得にいく説明をしてこなかったことをおわびします」と謝罪し、その後、各戸ごとに図面を示しました。

 38センチの至近距離に迫られていた民家の男性は「工事用フェンスがいやに近いなあと思ったが、重機を使うのでという説明だけだった。線路を変更するというので、とにかくほっとした」と胸をなでおろしています。


「あきらめず声を」 佐々木志津江議員の話

 住民の安全や環境を無視したやり方は許せないという住民パワーの勝利です。空港関連事業では、工事の騒音や振動、環境の悪化など住民生活にさまざまな影響が出てきており、あきらめずに声を出してほしいと思います。

 

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