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“空飛ぶガソリンスタンド”がやってくる

空中給油・輸送機 名古屋空港への配備急浮上

中部国際空港への一元化と有事法の危険

2002年4月14日 「愛知民報」
名古屋空港
空中給油・輸送機の配備が有力視されている官民共用の名古屋空港。
向こう側に駐機している黒い機体はC130H

 定期便が中部国際空港に一元化されると、現名古屋空港はがら空きになります。そこに急浮上してきたのが“空飛ぶガソリンスタンド”と呼ばれるボーイング767空中給油・輸送機の配備問題です。実際に配備されたら、有事法の制定とあいまって、名古屋空港は戦争基地として飛躍的に強化されることになります。

兵たん基地として

 空中で戦闘機に給油でき、軍需物資や兵員の輸送機能をもつボーイング767空中給油・輸送機の導入は昨年12月、政府が決めました。その配備先として際有力視されているのが航空自衛隊小牧基地(名古屋空港)です。

 「名古屋空港はその周辺と合わせた兵たんの拠点」。こう指摘するのは県平和委員会の岩月康範事務局長です。6日、同空港周辺の住民などでつくる「名古屋空港の存続を求める会」が春日井市味美ふれあいセンターで開いた「有事法制と名古屋空港を考える学習会」で講演しました。

 航空自衛隊第1輸送航空隊のある小牧基地にはすでにC130H輸送機15機が配備されています。このC130Hの機能をはるかにしのぐのがボーイング767空中給油・輸送機。当初は同型をベースにした空中警戒管制機(AWACS)を配備している航空自衛隊浜松基地が有力と見られていました。

 しかし戦争は時間を争います。名古屋空港には、隣接して三菱重工小牧南工場があり、戦闘機やヘリコプターの組み立て・修理ができます。近くにはミサイルを製造する小牧北工場があります。春日井市には最近、山火事があった高蔵寺弾薬庫も控えています。

 防衛庁に物資を供給する契約会社で、愛知に本社・営業所などがあるのはロープからベッド用のマットレスまで149社にのぼります。このうち30社は県内に製造工場を持っています。

 いざ戦争となれば、小牧基地の方が断然有利です。

 ボーイング767空中給油・輸送機は、積載量30トン(C130Hは20トン)、搭載人員200人(同92人)、航続距離6500キロ(同4000キロ)。購入費用は4機で約790億円。耐用年数30年で維持費などに約550億円かかります。

 そのとき名古屋空港はがら空きになっています。そのとき名古屋空港はがら空きになっています。名古屋空港を使えというキャンペーンがつよまるのは必至です。航空雑誌では「中部国際空港が完成すれば民間の航空会社はすべてそちらに移動する予定であり、スペースも充分にあることになる」(『航空ファン』3月号)と書いています。

すでに参戦行為が

 名古屋空港はもともと軍用基地として問答無用で農民から土地を取り上げ、旧陸軍が整備しました。戦後は、米軍に収容され、朝鮮戦争の52年末には米軍戦闘機120機、3千人が駐屯しました。

 現在は自衛隊基地と民間機が飛び交う軍民共用の飛行場となっており、自衛隊基地と民間機ターミナルが向き合っています。

 C130H輸送機は自衛隊の人員、車両、物資を載せて東チモールなどすでに何度も海外に飛んでいます。米軍によるアフガニスタンでの戦争では、物資輸送など事実上の参戦に踏み込みました。

 「軍事力での協力は有事立法でさらにつよまる」と岩月さん。2月議会で神田真秋知事は「一元化後も名古屋空港を防衛庁管理にはしないようにしたい」との態度を明らかにしました。

 しかし政府が今国会にかける有事3法案の中には、自衛隊、米軍への「物品、施設または役務の提供」も盛り込んでいます。首相が地方自治体の長を飛び越えて命令することもできます。米軍が我がもの顔で名古屋空港を使用する事態も予想され、「夜の夜中に軍靴が聞こえる基地になる」と危ぐする声が聞かれます。

 C130Hは2日、オイル漏れを起こし、名古屋空港の滑走路が一時閉鎖されました。地元首長につづき、平和委員会や日本共産党の県議団、周辺市町議員団が5日、溝口博伸司令に抗議しました。その際、基地側は「部品の金属疲労が原因」と説明しましたが、自衛隊はその夜から訓練を再開しました。

 ボーイング767空中給油・輸送機は街中にあるガソリンスタンドの貯蔵量7万リットルをはるかにこえる9万〜12万リットルを詰め込みます。墜落したら惨事を招くのは必至です。

 

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