【空港】2003.06.16-06.22の動き
●中部国際空港開港に伴い、国土交通省が名古屋空港周辺自治体への騒音補償の打ち切りを決めた問題で、愛知県の神田真秋知事は16日、同空港が小型機専用空港になった後の騒音予測調査を、防衛庁と共同で実施することを明らかにした。 国交省による補償が打ち切られた後も、補償を継続する根拠となるデータを得るのが目的で、調査結果は今年9月ごろまとまる見込み。
県と防衛庁はそれに基づき負担割合を協議するが、神田知事はこの日の会見で、「名古屋空港が小型機専用空港になれば、騒音の影響を受ける範囲は現在よりも小さくなる」と語り、補償も減額されるとの見方を示した。 名古屋空港の騒音補償は、国交省が来年度で打ち切ることを周辺自治体に伝えているが、自治体側は「騒音に耐えてきた地元の感情が全く考慮されていない」などと強く反発している。
●愛知県、同県常滑市などは、常滑市一帯が中部臨空都市国際交流特区の認定を受けたのに伴い、今夏中にも活動主体として中部臨空都市国際交流特区推進協議会(仮称)を設立する。現在は規制特例措置が「公有水面埋立地の用途変更等の柔軟化」だけだが、中部国際空港の開港や中部臨空都市への企業進出が進むとともに新たな規制緩和措置が必要となることに対応する。
●常滑市議会は、中部国際空港開港に伴う街づくりや中部臨空都市のあり方を考える「空港・臨空都市特別委員会」を設置することを決めた。常滑商工会議所を中心に議論が高まりつつあるカジノ構想についても検討対象に盛り込む。
市議会ではこれまで、「中部国際空港特別委員会」で正副議長を除く全議員が空港関連全般について検討してきた。開港まで2年を切り、「空港の玄関都市としてふさわしい街づくりのための具体的な議論が必要になってきている」(片岡勝城さん)として、テーマを絞り込むことにした。同特別委は定数は8人で、中部臨空都市(空港島地域開発用地と前島)への企業立地や雇用創出の方法を調査研究するほか、次世代エネルギーを生かした街づくり「プロトンアイランズ構想」、国際交流特区などついても検討。カジノについては、他の集客施設構想とともに議論を重ねる。
●中部国際空港建設等暴力対策協議会の総会が20日、常滑市役所で開かれ、2005年の開港まで一連の工事に暴力団を介入させないことをあらためて確認した。同協議会は、空港工事を受注する建設業者らで組織。この日は、共同企業体(JV)ら業者のほか、県警など各種団体の関係者ら約150人が出席した。
堀川政幸会長は「開港まで一丸となって暴力団を排除し、明るい作業環境をつくりたい」とあいさつ。大坪道夫県警組織犯罪対策局長が「暴力団は資金源確保のため、空港や万博の工事に食い込もうとしている。決して弱みを見せず、業界全体がスクラムを組むことが大切」とアドバイスした。また、暴力団を恐れない、利用しない、暴力団に金を出さないの「三ない運動」を徹底することを全員で誓った。
●2005年2月の中部国際空港開港後、国土交通省が名古屋空港の管制業務から撤退する問題で、設置管理者となる愛知県が、防衛庁に対し正式に管制業務の引き継ぎを要請したことが分かった。航空自衛隊では管制官が約30人必要とみており、養成に1年半は要するため、夏には名空港の管制塔で訓練を始めたい意向。
名空港は新空港開港後、小型機中心の「都市型総合空港」となる。神田真秋愛知県知事は今年3月、「管制業務は防衛庁に委託する」と表明、空港周辺の2市1町も同意した。その後、業務を引き継ぐことになる航空自衛隊は、同県の正式な要請を待っていた。