【空港】2002.12.24-12.31の動き
●名鉄は25日、中部国際空港へのアクセス専用に造られる新型特急車両のデザインを発表した。
正面は丸みを帯びた形で、海上空港をイメージした青と白を基調とした配色となる。車体には、空港の愛称である「centrair(セントレア)」のロゴが入る。特急の愛称は決まっておらず、木村操社長は同日の定例会見で、「公募も一つの方法」と話した。これまで名鉄の車両に多く使われてきた赤色は、使用されなかった。
名鉄のアクセス計画では、空港島上の空港駅(仮称)まで昼間は1時間あたり特急3本を運行する。新型車両はこのうち、新岐阜発と犬山方面発の特急に使われ、新名古屋―空港駅間の約39キロを28分台で結ぶ。カーブの多い常滑線に対応して、空気バネの調節でカーブを曲がりやすくする新機能を搭載する。
●名古屋鉄道は25日、中部国際空港の旅客ターミナルビル横に建設・運営するホテルの概要を発表した。名称は「中部国際空港セントレアホテル」。12階建てで、客室数は220室。来年夏に着工し、2005年開港前に開業する。総工費は35−40億円を見込んでいる。
高さは未定だが、航空法上の制限(高さ45メートル)を超えない範囲で、できるだけ高層にして、最上階からの眺望を重視する方針だ。客室の広さや浴室、ベッドの大きさにも配慮した設計にする。24時間空港のため、深夜に海外から到着したり、翌朝の出発に備えて宿泊する客、さらに航空会社の乗務員らを宿泊客として見込んでいる。宿泊料金は「割安に設定したい」(名鉄)としている。ホテル名に社名を入れなかったことについて、名鉄の木村操社長は「(空港名と同じ)セントレアというブランドで、空港とホテルを同時にアピールしていきたい」と話していた。
●中部国際空港の旅客ターミナルビル内に設けられる商業施設について、同空港会社は商品の販売価格を「市中と同じに」という方針を打ち出した。出店を目指す地元中小業者には「テナント料が高く、同一は無理」と困惑の声も上がっている。
空港会社が提示したテナント料は「常滑市街地のおよそ3倍」(地元の商店経営者)で、連絡橋通行料や鉄道運賃も経費に加わる。ある飲食店経営者は「終日満員でお客の回転も相当速くなければ、同一価格は無理だ」と、早くも"降参"。空港会社は「空港内の買い物は高いというイメージを変えるのが狙い」と説明する。中部空港会社営業企画グループの鈴木健一課長は「空港内は独占販売になり、それに甘えた価格設定はやめてほしいという趣旨で、強制ではない」と説明。テナント料が割高との指摘には「採算が合うぎりぎりの水準まで努力した。年間1200万人の利用が見込め、名古屋駅や栄地区にひけをとらないはず」と話している。
●中部国際空港の旅客ターミナルビル内に、名鉄百貨店が大型テナントを出店する方向で検討していることが、26日分かった。新空港を建設中の中部国際空港会社は2003年前半に商業テナントの募集を本格化させる方針で、すでに名鉄百貨店から地元名産品を中心とした出店の提案を受けている。
名鉄百貨店が出店を検討しているのは店舗が集中する4階で、この階の店舗面積(計6000平方メートル)の約3割を確保したい考え。空港会社は、1−4階に物販や飲食などのテナント約80店(店舗面積約1万1000平方メートル)を入れる。このうちテナント料などの入居条件をすでに公表しているのは10店舗分(合計300平方メートル)に過ぎないが、年明け以降、順に条件を示して公募を行い、秋ごろまでに全店を決める。
名鉄百貨店首脳は「名古屋の玄関口で、多くの人が行き来する新空港に出店を考えるのは自然の成り行きだ。今後、テナント料などの細部を詰めていきたい」と、条件面で空港会社をけん制している。
●名古屋商工会議所や中部経済連合会などで組織する「中部国際空港利用促進協議会」は26日、中部地方のビジネス旅客の需要調査結果を発表した。名古屋空港を利用した旅客は57・3%で、成田が34・4%、関西国際空港が8・3%で、遠くても便数が多い成田や関空を4割強が利用している実態が分かった。
中国を除くアジアへの出張者の77・9%は名古屋空港を利用したが、欧米向けの便が名古屋に少ないのを反映し、米国と欧州出張者の約67%は成田や関空を利用していた。同協議会は、「中部地方はビジネス旅客の需要が多いことが証明された。航空各社に調査結果を示し、新空港での路線開設を働きかけたい」と話している。
●中部国際空港で労働災害事故が相次いでいるため、愛知労働局は27日までに、愛知県や中部国際空港会社、施工業者32社などに防止対策の徹底を文書で要請した。
同労働局によると、2000年8月の着工から2002年12月26日までの間に、空港関連工事で3人が死亡、15人が4日間以上のけがをしている。特に、今年に入って2人が日射病などで死亡している。先に開港した「関西国際空港」の工事では、着工の1987年から4年間、死亡労災事故はなく、中部国際空港の事故の多さが目立っており、同労働局が県などに"厳重注意"した形だ。同労働局では「今後、さらに労働者が増えることが予想される。事故防止の徹底を図ってもらいたい」と話している。