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【空港】2002.12.10-12.16の動き

●常滑焼業界が、中部国際空港の工事現場見学者に配布する記念品を、同空港会社から受注した。ささやかな規模ながら業界にとって空港関連の仕事が入ったのは初めて。2005年春の開港を目指し、地元で建設が進む空港の経済効果を実感できないでいる地元関係者は「今後につながれば」と期待する。配布は今月下旬にも始まる予定だ。
 空港島の埋め立てが進み、空港会社は10月から、島内へ一般見学者の受け入れを始めた。当初はステッカーやクリアファイルを渡していたが「常滑らしいものを」(同社広報担当)という意向があったという。製造団体の「とこなめ焼協同組合」や、常滑商工会議所などで組織する「中部国際空港支援協会」といった地元経済団体の働きかけも後押しし、常滑焼に白羽の矢が立った。"公式記念品"の座を射止めたのは、陶器製のコースター。同社が制定した空港の愛称「セントレア」のロゴが刻んである。とりあえずの受注は3000枚だが、11月末時点で約1万人が見学に訪れており、追加注文の可能性も。鯉江社長は「業界全体が元気になればいい」と話す。
 とこなめ焼協同組合は「これを突破口に、新たな製品の売り込みにつなげたい」とした上で、空港会社に対しても「1回限りで終わりにしないでほしい」と、地場産業への配慮を求めていた。

●名古屋空港周辺の駐車場事業者でつくる名古屋空港民間駐車場事業協同組合(鈴木隆一郎理事長)は、2005年の中部国際空港の開港に合わせ、愛知県企業庁が開発している対岸部の前島地区へ一斉に転出する意向を固めた。名古屋空港向けの事業から全面的に撤退する。同空港に関連する事業者の前島転出計画が明らかになったのは初めて。
同組合には13業者が加盟。名古屋空港の周辺で土地を借り、計約2000台分の駐車場を営んでいる。同空港周辺には土地を所有する地元住民らが小規模の駐車場を経営する例が多いが、加盟業者はいずれも大手。
計画によると、前島地区で計約1ヘクタールを借り、現在より多い3000台分の駐車場を整備。新空港まで利用客をシャトルバスでピストン輸送する。
旅行会社などからの予約のほか、空港島や周辺企業との定期契約で、半分程度の1500台分の利用が安定して確保できると試算。空港島内でも空港会社が駐車場4000台分を整備する予定だが、駐車料金を割安に抑えるほか、連絡橋の通行料が不要なことから、残り半分についても十分な需要が見込めるという。既に県企業庁へ進出を打診しており、前島の借地料金が決まる来年度以降に計画を具体化させる。
中部国際空港開港後の名古屋空港については、愛知県が小型機中心の空港として整備する方針。しかし「現状の利用客は見込めない。大型商業施設の誘致など集客が期待できる具体策もなく、このままでは生活できなくなる」(安達賢太郎専務理事)と判断した。
地元自治体などが新空港開港後の名古屋空港の振興を図るため、先月末に空港活用促進協議会を設立したばかり。町財政の3割を同空港関連に依存する豊山町の江崎定男町長は「ある程度出ていかれるのは仕方がない。県は早く具体的な振興策を打ち出してほしい」と話していた。

●県議会12月定例会は11日、企画環境、産業労働、健康福祉の各常任委員会を開いた。2005年開港の中部国際空港開港に合わせ、県が開発している中部臨空都市の造成状況について「開港までには十分、間に合う」との見方が示された。
県側が埋め立ての進ちょく状況を報告。県の造成地のうち、空港島部分が66ヘクタール(進ちょく率62%)、対岸部が62ヘクタール(同51%)で、全体では56%を造成した。中部国際空港については当初予定されていた2005年3月から1カ月前倒しされる見通しだが、県側が「前倒しがあっても、開港までにすべての埋め立てが終わる」と自信をのぞかせた。また、企業誘致について「物流やサービス関係の事業者から多数の問い合わせが寄せられている」と明らかにした。

●13日にまとまった与党3党の2003年度税制改正大綱で、中部国際空港会社などが要望していた関税法施行令の改正が盛り込まれた。これによって同空港島内に、国内空港では初めてとなる「総合保税地域」を設置することが可能になり、同社などは許可申請に向けた計画づくりを急ぐ。
総合保税地域は、業者が空港に到着した部品をその場で工業製品に加工したり、こん包したりしてそのまま海外へ輸出する場合、税関への申請を求められないエリア。通関手数料を不要にすることで、企業などを誘致しやすくする。大阪市のアジア太平洋トレードセンターなど全国4か所に設けられている。
現行の施行令では、総合保税地域の管理主体の要件を、1つの地方自治体からの出資比率を「10%以上」と定めているが、同空港会社に対する愛知県の出資比率は5・87%であることから、同社などは出資比率の要件を緩和するよう求めていた。今回、まとまった大綱では「3%以上」になったため、同空港内への設置が可能になった。

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