【空港】2002.10.22-10.28の動き
●中部国際空港工事の漁業補償を巡り、地元2漁協の補償額が計3億円不正に上乗せされたとする疑惑で、愛知県の神田真秋知事は21日の定例会見で、1998年春ごろ、愛知県常滑市の石橋誠晃市長から事実上の上乗せ要請があったことを明らかにした。
神田知事によると、補償金を支出する県企業庁が、常滑市と2漁協の間で積み残し問題があるのを知ったのは96年ごろ。その後、98年春ごろに、石橋市長から、「県企業庁が実施する空港用地の埋め立て工事を進めるうえで、この問題を解決してほしい」と要請があったという。県は、この問題を含んだうえで、2漁協と補償交渉に入った。「両漁協が補償総額に強い不満を示した」ため、99年5月中旬ごろ、いったん決裂したが、2005年の開港に間に合わせるには放置できず、翌6月からメンバーを一新して交渉を再開した。
再開以降は、積み残し交渉の話は一切出ず、同年7月に県が「基準に沿った」補償額を提示し、妥結した。1か月で妥結したことについて、県は「最初の交渉では、工事の影響などで漁協側と認識の違いがあった。様々なやりとりをして増額した」と説明した。
神田知事は、「最終的には、補償は適正に行われたと認識している。私自身は最近まで上乗せ問題は知らなかった」と話した。この問題について、一方の石橋市長は、今月9日の市議会臨時協議会で「県へ肩代わりを要請したという認識はない。良い面も悪い面も伝えただけ」と述べている。
●中部国際空港建設の土砂搬出事業に伴って、「太平洋セメント」が支払った漁業補償金のうち、1億円以上が使途不明になっている問題で、小中山漁協(愛知県渥美町)の組合長(58)から「補償交渉がまとまっていない」と迫られ、同社が田原町からの土砂搬出を一時中断していたことが22日、わかった。交渉はすぐに妥結し、搬出は2日間しかストップしなかった。中断が長引けば、コストが高い採取地に頼らざるを得なくなることから、同社は補償金の上積みや同県宝飯郡の建設会社を迂回する支払い方法に同意したとみられる。
●中部国際空港会社は23日、愛知県常滑沖の空港島に計画しているホテルの事業者を、名古屋鉄道グループに決めた、と発表した。空港会社が土地を賃貸し、名鉄グループがホテルを建設・運営する。予定地は旅客ターミナルビルの隣接地で、空港島の鉄道駅や港、駐車場への分岐点となる施設「マルチアクセスターミナル(MAT)」の南側。ホテルとMATは長さ十数メートルの廊下で結び、宿泊客の移動がしやすいようにする。
ホテル名など詳細はこれからだが、旅客の利便性を考えて宿泊部門を主体として、部屋数は200−250室程度とする。