【空港】2002.08.13-08.19の動き
●博覧会協会は入札方式を見直し、総額のみの提示から、資材や人件費など詳しい見積りを求める「見積もり合わせ方式」を導入する。総額の最低価格提示者を選定後、個々の費用見積りの価格交渉し、合意できないときは次点と交渉する。
●国土交通省は03年度から「ICカード内臓・携帯電話」を、電車料金や高速道路ETCシステムに利用する未来型交通システムの開発へ、来年度予算要求を盛り込む。04年10月のITS世界会議や万博で実験し、早期実用化をめざす。
●中部国際空港の連絡道路に直結する自動車専用アクセス道路・知多横断道路(約8・5キロ)の用地買収問題で、愛知県は16日、買収が難航している常滑市内の予定地を、土地収用法に基づいて強制収用するため、県収用委員会に裁決を申請した。所有者が買収に応じる可能性がないと判断した。同県が公共事業に反対している地権者に対して裁決申請するのは、1978年12月の「境川浄化センター」建設事業以来24年ぶり。
対象の土地は、常滑市森西町4丁目の住宅地94平方メートル。このうち、住民グループ「土地トラストの会」の13人が800分の1ずつ共同所有し、「環境面の悪影響や健康被害を住民に及ぼす」として売却を拒否している。今年6月末には、県の担当者との交渉で買収価格などを確認したものの、「知多横断道路の必要性を再度説明してほしい」などと県に申し入れていた。県は、2000年秋から予定地の用地買収を始め、7月末現在、必要な計41万5000平方メートルのうち、95%にあたる39万7000平方メートルの買収を終え、残りも順調に交渉が進んでいる。15日間の公告縦覧を経て、県側と反対住民がそれぞれの考えを主張、収用委員会が強制収用の妥当性について判断する。
トラストの会の庭瀬健太郎代表(70)は「まだ任意交渉の最中だと認識していただけに、突然の申請に怒りさえ覚える。なぜ知多横断道が必要なのか、今後の審理ではこちらの考えを正々堂々と主張する」としている。
●交通政策審議会の航空分科会空港整備部会は16日、新東京国際空港、関西国際空港、中部国際空港の民営化の方法について、空港を管理・運営する「上物法人」は3社それぞれ民営化し、滑走路などを整備する「下物法人」は一体化する上下分離方式が「現実的で適切である」とする中間報告をまとめた。国交省は、同審議会が年内にまとめる最終報告を基に、民営化の手法を正式に決めたい考えだ。
しかし、上下分離方式に関しては、関空が抱える巨額債務を成田の黒字で穴埋めすることになる点への批判が航空業界などで強いことから、「最終取りまとめに向けて検討を進める必要がある」ことも盛り込んだ。最終報告の取りまとめまでには、曲折も予想される。
また、中間報告は、今後の整備は大都市拠点空港に重点を置き、効率的・効果的な整備を進めるとした。財源は「空港整備特別会計」が苦しくなるため「緊急性が高く事業効果の大きい大都市圏に重点的に配分を行う」とした。羽田、名古屋、北九州空港の跡地売却益や国際空港民営化による株式売却益も財源として投入することを提案した。大都市の空港整備は、羽田再拡張に東京都などの負担を「導入する方向で検討する必要がある」とし、将来の空港需要の増加に備え首都圏第3空港の検討継続も示した。関西圏では関空の二期工事を推進し国際空港は「関空に限るのが適切」としたが、2007年とされてきた完成時期は明記せず、結論を先送りした。中部圏は名古屋空港の処理能力の問題などから中部国際空港の整備を「予定どおり推進する必要がある」と記した。