【空港】2002.1.1-1.7の動き
●中部国際空港会社は12月25日、来年1月に着工予定の旅客ターミナルビルについて、2組の共同企業体と総額708億7500万円で工事契約を締結した、と発表した。同ビルは、空港の総事業費の1割弱を占めるメーン施設。
●名古屋空港内で飛行機を誘導する管制業務が、国土交通省から防衛庁に移管されることが12月31日までに明らかになった。移管時期は、中部国際空港が開港する2005年3月。愛知県は、民間の小型機専用空港として名古屋空港を存続させる意向だが、地元の自治体などは「場内の管制が防衛庁に移ると、隣接する小牧基地の利用が優先され、基地空港の色彩が強まる」と危機感を募らせている。
現在の名古屋空港は、民間と自衛隊が共用しているが、管制業務はすべて国交省が担当している。これを中部空港の開港後には、場内誘導の管制が防衛庁、離着陸の管制は国交省がそれぞれ担当する。ただし、離着陸の管制はレーダーによる計器誘導のため、中部空港の管制官が、遠隔操作で名古屋空港を受け持つ。同省の職員は名古屋空港から引き揚げる。航空法は管制業務について、国交相か、同相の委任を受けた防衛庁長官に限り認めているが、1つの空港で、管制業務の担当が分割されるのは異例。
大阪空港(伊丹市)では、関西国際空港が開港した後も、国内線が一部残ったため、関西空港にいる国交省職員が離着陸、大阪空港の同省職員が場内誘導の管制を担当している。国交省は「定期便が全廃される名古屋空港で、管制を続ける理由はない」としている。
一方、空港周辺2市1町の首長は昨年4月、神田真秋県知事を訪ね、「防衛庁への移管は、名古屋空港の基地化につながる」として、国交省による同空港の管理・運営、管制業務の継続を強く要望している。神田知事は「地元と同じ認識を持ち、一緒に反対していく」と述べていた。管制業務の防衛庁移管について、愛知県豊山町の江崎定男町長は「一部であっても防衛庁が行うことは、自衛隊の機能強化につながるので大反対。住民も強く反対している。正月早々にも2市1町の首長で対応を協議したいが、こうなると、国内線の存続を改めて主張せざるを得ない」としている。
●愛知県は、東海地方の「広域防災拠点」を、名古屋空港に設置する方針を固めた。防災センター、緊急用のヘリポート、災害対策本部が入る施設を建設し、東海地震などの災害に備える。中部国際空港が開港した後、防災施設や避難場所として12ヘクタールを確保する。今後、同県は国、隣接の岐阜、三重、静岡県と具体的な計画を詰める。
愛知県が国土交通省に示した計画によると、国際線ターミナルビルがある空港南西部の約4ヘクタールに、防災施設を集中的に配置する。防災センターは、海外や国内から集まる援助物資などの集配拠点となる。このほか、国や自治体合同の「緊急消防援助隊基地」、食糧などの備蓄倉庫も造る。また、空港北西部の約8ヘクタールは防災用空き地とし、住民の避難先などを確保する方針だ。平常時には、公園的な空間として住民に開放する案も検討されている。
愛知県は、中部空港開港後には、名古屋空港を小型機専用空港として、ターミナル地域約100ヘクタールのうちの約60ヘクタールを購入する予定だが、「小型機専用空港なら60ヘクタールの半分もあれば十分」(同県幹部)のため、その余裕分を防災拠点として活用することにした。