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神田知事、県民の目で検証すれば“不合格”リーダーシップなくアイデアもなく理念もなし

2002年10月6日 「愛知民報」

 神田真秋知事は9月24日、県議会本会議で「大勢の方々の力強いはげましのもと、次の知事選挙に出馬することを決意した」と来年の知事選に再選へ向け立候補する意思を正式に表明しました。「地味すぎる」「リーダーシップに欠ける」と評判の芳しくない同知事。この4年間の県政運営は大型開発事業優先、借金財政、福祉・暮らし切り捨てでした。県民の目で検証すれば、どこから見ても不合格です。

開発優先 全国でも突出

 公共事業の見直しが叫ばれ、今年度当初予算では全国47都道府県のほとんどが公共事業費を前年度比で減らしました。増やしたのは2県だけ。それも埼玉県の0・9%増に比べ、愛知県は9・6%増と異常な突出ぶりでした。万博、中部国際空港の2大プロジェクトと関連道路建設などによるものです。

 神田知事は、来年度予算編成でも万博・空港には上限を設けないとする一方、県民生活に直結する施策には大ナタを振るう方針を各部局に示しています。

 「道路の上を福祉も教育も走るんです」と言ってのけたのは鈴木礼治前知事でした。神田知事はその路線を忠実に走ってきました。万博会場予定地の海上の森開発を縮小し、幡豆町からの空港埋め立て土砂取り事業を中止したのは県民世論におされ、2大事業をつぶさないための選択でした。

 神田知事は出馬表明で「グローバル化がますますすすむ21世紀に、中部国際空港や国際博覧会の成果をさまざまな分野で生かしながら、愛知の発展をよりいっそう確かなものにしていきたい」とのべました。

 その中身は「環境先進県づくり」と「活気あふれる国際交流大都市圏づくり」です。環境破壊の万博、航空需要のない空港建設という2大事業の将来不安から県民の目をそらしながら、はっきりしているのは従来の巨大開発型発想です。

 神田知事は「地方には地方の事情がある」と高速道路建設促進の立場です。9月27日、同知事は県議会で、渥美郡につづき旧碧海5市も空中分解した市町村合併に危機感を燃やし、「加速させなければならない」と自ら市町村に働きかける考えを表明しました。すでに発表している将来ビジョンでは、地方自治を根こそぎ壊す道州制の積極推進まで掲げています。

 公共事業抑制、脱ダムの流れに逆らい、開発型政治の流れに乗っているかぎり、県民が夢を抱くようなビジョンは示せません。

借金王 史上初4兆円

 神田知事が就任した99年から4年間で一般、特別、企業の3会計で県債残高を約8200億円増やしました。今年度の県債の新規発行額は前年度当初比159・8%と全国ダントツでした。借金は史上初の4兆円をこえました。

 神田知事はことし2月、財政中期試算を発表しました。県民犠牲の「第3次行革大綱改訂版」をすすめ、08年度には黒字になるとはじいています。しかし「万博が赤字になったらだれが責任をとるのか」との県民の不安にはいっさい答えず、「中部国際空港は借金でのたうちまわる関西国際空港の二の舞になりかねない」との指摘には耳をかそうともしません。

 財政再建の方策は県民や県職員への犠牲押しつけ以外、何ひとつアイデアを出せないでいます。借金の多くは県民が返済義務を負わなればならないものです。

弱者いじめ 福祉をカット

 神田知事は県議会での立候補表明で「くらしの安心・安全の確保」を公約しました。同知事は就任後の99年度、県職員の給与を3・5%カットしました。全国の都道府県で最大のカット率でした。神田知事が任期4年間、人件費、障害者作業所などへの補助金、事業廃止によってカットした額は2995億円にのぼります。敬老金をけちり、私学助成、商店街への補助金も軒並みカット。特別養護老人ホームは民営化する方針です。

 不況・リストラが荒れ狂うなか、県民の暮らしを守るという自治体の理念を投げ捨てています。

 東海地震への備えもお粗末です。県立学校978棟のうち耐震診断Cランク(震度6以上で大きな被害を受ける可能性が高い)が207棟、Bランク(同可能性がある)もふくめると83%にのぼるのに、今後5年間でCランクの176棟を改修するというスローテンポです。

 一昨年9月10日の東海豪雨。神田知事は県下全域に大雨洪水警報が出され、自衛隊の救援を求めていた午後11時まで名古屋市内に止まりながら、県庁には戻らず一宮市の自宅に帰りました。翌日の万博のための東京出張に備えるためというのが理由で「県民の命より万博が大事か」と批判を浴びました。

     ◇

 「中部国際空港や国際博覧会という世紀の大事業を一歩一歩確実におしすすめられ、立派に花開く時期をむかえようとしている」という自民党。民主党も「合格」とし、公明党もふくめ神田知事の相乗り推薦を決めました。

 日本共産党のきしの団長は9月27日、本会議で「第2東名やリニア新幹線の雲行きが怪しくなり、首都機能移転も先送り状態。万博、空港中止こそが最大の『安心』への県政の道ではないか」と神田県政を批判しました。

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