HOME > 資料集 > 活動と主張(バックナンバー) >

【02.09.29】瀬戸市「紛争の予防調整条例」 住民との協定義務づけ

2002年9月29日 「しんぶん赤旗」

<写真>産廃処分予定地を見る地元環境団体の人たち=愛知県瀬戸市

 愛知県瀬戸市で十月から、産廃関連施設の設置について、「紛争の予防調整条例」がスタートします。産廃施設を計画する業者は、住民と環境保全協定を結ばなければならないなど、同市のこれまでの関係条例や、県内他市町の類似の条例にはない、一歩進んだ内容を盛り込んでいます。

 焼き物「せともの」の里として知られ、愛知万博問題で「海上(かいしょ)の森」が一躍有名になった同市。岐阜県にも接し、東部、北部は緑の里山が続きます。

 しかし、一歩山中に入ると、産廃処理施設が次つぎに姿を現します。市内には閉鎖したところも含めて五十カ所以上も施設があり、「産廃銀座」とさえいわれる状態です。

 同市では、こうした事態に、一九九九年七月から、産廃処理施設なども対象にする「土地利用調整条例」を施行しました。しかし、ほとんど歯止めはかかりませんでした。

 新しい条例は、説明会の開催義務化や、市長の改善命令とこれに従わない場合の罰金、氏名公表などを盛り込んでいます。市環境課は、「自治体として何ができるか、低いハードルですが、数を増やしたということです」と説明します。

 この条例をつくったのは、一昨年、蛇ヶ洞浄水場すぐとなりにまで産廃中間処理施設が計画されたからです。

 昨年夏には、「浄水場となりに産廃処分場なんて非常識」「オオサンショウウオもすむ自然を守ろう」と、地元環境団体と自治会ぐるみの運動がおこり、一万二千もの建設反対署名が集まりました。県はことし八月、九月、蛇ヶ洞浄水場隣接地と、名古屋学院大学すぐそばに計画された産廃中間処理施設の申請を相次いで不許可にしました。

 条例制定は、この運動のなかで、住民から要求が出、大きな世論に行政が対応せざる得なくなったものです。日本共産党は、住民とともに県交渉をしたり、くわしい情報を載せた「瀬戸民報」を発行し、署名運動でも奮闘しました。市議会でも「住民合意」「立地規制」の必要を主張し、条例に一部は生かされました。

 地元環境団体の一つ「品野の自然を愛する『あけびの会』」代表の水野すみ子さん(50)は「住民の運動の高まりで条例はできました。運動は、法律や条令の不十分さ、行政の対応とのたたかいともいえます。まだまだ大変です」と語っています。


「紛争の予防調整条例」 特長は、事業者、住民間の「環境保全協定」締結を義務化したほか、▽事業者による住民説明会開催義務化と、それが不十分な場合の追加説明会義務化▽紛争発生の場合、市長があっせん▽事業者が改善命令に従わない場合、氏名公表、三十万円以下の罰金を果す――などです。既存の施設に市として立ち入りができ、指導、勧告、改善命令の出せる「運用の指導条例」も同時に施行します。


▲ このページの先頭にもどる